檀ふみ(藏)
檀ふみ(藏)

宮尾登美子の長編小説(1992年3月~1993年4月毎日新聞朝刊連載、1993年9月毎日新聞社刊)を原作に、1995年6月4日-7月9日、NHK衛星第2テレビジョン「BS日曜ドラマ」で放送。全6話。衛星放送としては最高の視聴率を獲った。
大正~昭和初期、越後の銘酒『冬麗』の蔵元・田乃内家を舞台に、跡取り娘の盲目の美少女・烈を軸に苛酷な運命を生きる家族の愛憎と絆を描く。連載中から大きな反響を呼び、舞台→テレビドラマ→映画化された。原作では「佐穂が意造に密かな想いを寄せるようになった経緯」「若い烈と涼太がどのように想いを通わせるようになったのか」等についての詳しい描写はなかったが、演劇・ドラマ・映画化に当たっては、この問題に関してそれぞれが想像をめぐらし、オリジナルエピソードをも交えてストーリーを構成している。
『春燈』(1998年)、『櫂』(1999年)へと続く宮尾登美子原作、松たか子主演による3部作の第1作にあたる。松たか子は出演当時はまだ知名度が高くなく、当時の文献には「松本幸四郎2女」と書かれていた。

藏の原作

宮尾登美子「藏」 (角川文庫)

宮尾登美子「藏」 (角川文庫)

藏の感想

95年のNHKBSドラマで、宮尾登美子の原作は92〜93年の毎日新聞連載。95年に浅野ゆう子(佐穂役)で映画化もされている。

朝比奈彩乃(藏)

朝比奈彩乃

松たか子(藏)

松たか子

高橋恵子(藏)

高橋惠子

大正〜昭和初期の越後を全3回で描く短いドラマだが(ところが今調べると全6回らしい。短縮版だったのか)、出づっぱりのヒロインは檀ふみ。その姉を朝比奈彩乃という謎の女優が演じている。稀に見る美貌に目を見張るが、その後の活動状況はわからず、引退したと思しい。残念なことである。

朝比奈が演じているのは短い少女時代だけで、越後の蔵元に嫁いだ後は高橋惠子が引き継ぐ。8回も出産したのに全部死産だったという高橋はすっかり伏せがちな半病人なのだが、9回目にようやく物語上のヒロイン烈を産んだものの、烈は視力が落ちていく病気に罹り(網膜色素変性症と説明される)、回復を祈願して越後三十三ヶ所観音札所巡礼の旅に出て客死する。ここまでで3回のうち1回。

烈の面倒を見させるために高橋が呼び寄せた妹を演じるのが檀ふみで、高橋は旅出前に「自分に何かあったら妹を後添えに」と遺言したのだが(そもそも当家に嫁ぐ予定だったのは妹の方だった)、当主(鹿賀丈史)は芸者(洞口依子)を後妻にしてしまう。その気になっていた檀は失意のあまり実家に戻るが、懐いていた烈にほだされて戻ってくる。ここまでが2回。

最終回では成長した烈を松たか子が演じる。松は病気の進行ですでに失明しているのだが、出入りの蔵人に恋してしまい、当主が決めた縁談を蔑ろにしてしまう。

一方、洞口はせっかく産んだ跡取りの男子が事故死して立場を失い、離縁を訴えるが鹿賀は承諾せず、昼から酒を飲む毎日を送り亡霊のように屋敷に暮らしている。壇は実質的な女当主にも関わらず名前のない立場を耐えて毎日を過ごす。松は蔵人への思いを募らせて結婚を許さない鹿賀を恨む。という3人の女優がそれぞれに悩むクライマックスから、最後は一気にハッピーエンドに終わるのは少々ご都合的だが、視聴者はすっかり檀ふみ(今で言うと黒木華だろう)に感情移入しているから、涙涙である。

大変楽しめた。

藏のキャスト

田乃内烈 – 松たか子(少女時代 – 井上真央河野由佳
佐野佐穂 – 檀ふみ(少女時代 – 小島聖
田乃内意造 – 鹿賀丈史
田乃内賀穂 – 高橋恵子(少女時代 – 朝比奈彩乃
田乃内せき – 洞口依子
お郁 – 正司歌江
綾 – 和泉ちぬ
彦造 – ト字たかお
奥田医師 – 品川徹
常石医師 – 伊藤克
昌枝 – 渡辺えり
北山正博 – 峰恵研
篠山征義 – 青山裕一
坂下涼太 – 前田耕陽
佐野豊松 – 大出俊 (俳優)
佐野八重 – 落合ひとみ
佐野武郎 – 平田満
佐野キネ – 鈴木光枝
平山晋 – 東野英心
田乃内むら – 香川京子
田乃内三左衛門 – 大滝秀治
矢島健一江藤漢斉三田村周三朝霧舞 ほか

藏のスタッフ

脚本:中島丈博
演出:大山勝美
音楽:深草アキ
ナレーション:柳生博
ロケ先は新潟県関川村の渡邉邸(国の重要文化財)と山形県川西町の樽平酒造株式会社

タイトルとURLをコピーしました