アルフレッド・ヒッチコックによる1966年のアメリカ合衆国のスリラー映画。原題は「Torn Curtain」。出演はポール・ニューマンとジュリー・アンドリュースなど。冷戦時代のドイツ民主共和国(東ドイツ)を舞台にしている。長年ヒッチコック映画の音楽を担当してきたバーナード・ハーマンとは内容をめぐって対立し、以後完全に袂を分かった。このため、前作の『マーニー』がハーマンと組んだ最後の映画となった。
引き裂かれたカーテンの感想
実は学生時代に見てひどく退屈だと思い込んで以来の鑑賞なのだが、大変面白かった。一体どこを見ていたのか。
凡庸な印象を与えるのはヒチコックがバーナード・ハーマンをクビにしてしまったことが大きい。それとジュリー・アンドリュースのミスマッチである。
本作は企画としてまさに「スパイの妻」なのだが、なぜか途中からポール・ニューマン視点になり、「レベッカ」であれほど避けられていたはずの「語り手が見ていないシーンの映像モンタージュ」まで挿入されたりして、愕然とする。そのへんから話が崩壊していっていると思う。
農場での殺人シーン(すごい速さでカットが変わる)など、もっと記憶に残ってもいいはずなのだが……
言葉のわからぬ異国を舞台にした後半の脱出劇は手に汗握るものであり、哀れなポーランド人の公爵夫人のくだりや、プリマドンナの伏線などみごと。評価もまた「引き裂かれる」映画なのかもしれない。
引き裂かれたカーテンのキャスト
マイケル・アームストロング – ポール・ニューマン
サラ・ルイス・シャーマン – ジュリー・アンドリュース
カール・マンフレッド教授 – ギュンター・シュトラック
ハインリッヒ・ゲルハルト保安省長官 – ハンスイェルク・フェルミー
グスターヴ・リント教授 – ルドウィヒ・ドナート
ヘルマン・グロメク – ヴォルフガング・キーリング
クチンスカ伯爵夫人 – リラ・ケドロヴァ
農夫 – モート・ミルズ
農夫の妻 – キャロリン・コンウェル
コスカ医師 – ギゼラ・フィッシャー
ヤコビ(バスでの脱出協力者) – デヴィッド・オパトッシュ
バレリーナ – タマラ・トゥマノワ
ヒューゴ(劇場からの脱出協力者) – モーリス・ドナー
ヴィンケルマン教授 – ロバート・ブーン
グートマン教授 – ノーバート・シラー
オトー・ハウプト(護衛) – ハロルド・ディレンフォース
フレディ(本屋) – アーサー・グールド=ポーター
タクシー運転手 – ピーター・ローレ・Jr
グレーテル・コスカ – アンドレア・ダルビー
ホテル旅行案内係 – エリック・ホランド
密航協力者 – レスター・フレッチャー
引き裂かれたカーテンの人物相関図
引き裂かれたカーテンのスタッフ
監督 – アルフレッド・ヒチコック
脚本 – ブライアン・ムーア、ウィリス・ホール、キース・ウォーターハウス
製作 – アルフレッド・ヒッチコック
音楽 – ジョン・アディソン
撮影 – ジョン・F・ウォーレン
編集 – バッド・ホフマン
製作会社 – ユニバーサル・ピクチャーズ
配給 – ユニバーサル・ピクチャーズ
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