2022年のアメリカ合衆国のスリラー映画。原題は「Fall」。監督はスコット・マン、出演はグレイス・キャロライン・カリーとヴァージニア・ガードナーなど。地上から610メートル強もの高さにある、老朽化したTV電波塔の頂上に取り残された若い女性2人のサバイバルを描いている。
FALL/フォールのあらすじ
冒険好きな夫婦のベッキーと、夫のダン。しかし、夫のダンはフリークライミング中の事故で亡くなり、ベッキーは1年が経っても悲しみに暮れていた。心配する父親のジェームズともケンカになり、女友達でクライマー仲間のハンターはそんなベッキーを元気づけようと、新たなクライミングに誘う。
FALL/フォールの感想
いろんなところでネットがおすすめしてくるので、とうとう見てしまった。
フリークライミング中に滑落死した夫を悼んで1年、いまだ薬漬けのヒロイン(グレイス・キャロライン・カリー)は、冒険YouTuberの友人(実は夫の浮気相手)に誘われ、高さ625メートルの鉄塔クライミングに挑戦して気持ちに区切りをつけようとするが(ちょっと何言ってるのかわからない)、老朽化のため鉄梯子が崩れてしまい降りられなくなるという話(サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワーという塔が本当にカリフォルニアにあり、好事家がジャンプスーツで飛び降りるので有名らしい)。
タイトルバックでFALLという文字が縦に並ぶように、落ちることをテーマとする映画のはずなのに、落下運動はあくまでも縦に描かれることはなく、人はつねに「画面の奥」に落ちていく(「めまい」のように)。ターセム・シンの同題の映画を見習ってほしい。
メインの舞台は600メートル地点にある足場で、俯瞰でも地面は入らず、登ってしまった後は、正直、あまり高さは感じられない。それもそのはずで、低予算の本作はCGを使わず、山頂に組んだ20メートルほどのセットの上で撮られたという(もちろんそれでも高いわけで、二人の女優は高所恐怖症ではないことから起用された)。
ということで、登っていくシーン(鉄骨がどんどん壊れ、帰りはないということが示唆される)以外は大してコワくなくて、中盤以降はサバイバル物になる。救助するにはヘリしかないと思うのだが、ヒロインはラストシーンで塔の脇に止められた警察車両に座っている。駆けつけた父親は「さあ帰ろう」というのだが、死人も出ているのだからそういうわけにもいかないだろう、とツッコミ待ちの映画なのだった。
FALL/フォールのキャスト
ベッキー:グレイス・キャロライン・カリー
ハンター:ヴァージニア・ガードナー
ダン:メイソン・グッディング
ジェームズ:ジェフリー・ディーン・モーガン
FALL/フォールのスタッフ
監督:スコット・マン
脚本:ジョナサン・フランク、スコット・マン
製作:ジェームズ・ハリス、マーク・レイン、スコット・マン、クリスチャン・マーキュリー、デヴィッド・ハリング
製作総指揮:ロマン・ヴィアリ、ジョン・ロング、ダン・アスマ