1994年10月20日-12月22日の22:00- 22:54にフジテレビ系列「木曜劇場」枠で放送された鎌田敏夫脚本のドラマ。全10回。キャッチコピーは、「ひとりになりたい夜もある。」、「ひとりじゃ淋しい夜もある。」。最終回のみ30分拡大して22:00-23:24に放送された。第13回向田邦子賞受賞。
29歳のクリスマスのあらすじ
アパレル会社に勤める典子は29歳の誕生日に円形脱毛症ができ、パリコレに派遣されるはずがパブの店長に出向となり、恋人・久保田(神保悟志)にも振られ、おまけに妊娠の心配が生じるなど、散々な1日になる。女の意地で元恋人の結婚式に友人の彩、賢と出席した典子は、業界トップクラスの木佐製作所の御曹司、木佐裕之からプロポーズされるが、「自立して生きていく」ことをモットーにしているため応じなかった。
一方、商社のクレーム係を務める賢は、式で見かけた一流物産会社のOLである上越香奈に一目ぼれし、積極的にアプローチを始める。
カメラマンの彩は、今は結婚しているチェリストの浅葉達也(竹下欣伸)との関係が断ち切れず、借金を抱えて賢の家に同居することに。後に典子も一緒に暮らすことになる。
木佐を相手にしていなかった典子だが、典子の生き方を理解し、親の財力を当てにせず自分の力で生きていこうと決めた木佐に次第に惹かれていく。五反田に開店したパブレストラン「快食倶楽部」の評判も良かったが、木佐の新事業は父に阻まれ失敗。木佐家が典子に出した結婚の条件は「元新聞記者であり典子の父でもある達夫(中村嘉葎雄)が論説員としてロンドンのデイリーニュースへ行くこと」だった。典子は英語をろくに話せない父にロンドン行きを懇願するが、それは肩書きだけで全く仕事の無いポストだった。
一方、浅葉に「妻と別れる」と切り出されるも身勝手さを許せない彩は落ち込み、香奈との関係がうまくいっていない賢と一夜の関係を持ってしまう。
結局、典子は木佐家の条件を断り、代わりに木佐はフィラデルフィアの工場を建て直してから典子を迎えに行くと言って日本を去る。香奈との恋愛が叶い、結婚にまでこぎつけた賢は、自分の子供が彩のお腹にいることを知らずに仙台へと再就職。事実を賢に言わない彩をきつく叱る典子だったが、一人で子供を産む彩の決心を知り、親友として彼女を支えていこうと決意するのだった。
29歳のクリスマスの感想
言わずもなく94年のヒットドラマ。毎年クリスマスが近づくと再放送している気がする。
絶好調の山口智子はやはり輝いていた(翌年ロンバケに出て、休業に入る)。それにしても松下由樹がフジパンおばさんになるとは夢にも予想していなかったなあ。鎌田敏夫の脚本はよくできていて、この時代の29歳(ドラマのメイン視聴者層だったのだろう)の気分を切り抜く内容だが、なぜか苦味があり、いわゆるトレンディドラマと一線を画しているように思う。単にツイていない山口智子がドタバタして十円ハゲを作るドラマではないのだ。
デビューまもない稲森いずみも出ていて、この9年後に「曲がり角の彼女」という同工異曲のドラマを主演することになる。あと、本作はなぜか近藤等則が重要なダメ中年役で登場する。なぜそうなったのか、理由はわからない。
29歳のクリスマスのキャスト
矢吹典子 – 山口智子
新谷賢 – 柳葉敏郎
今井彩 – 松下由樹
木佐裕之 – 仲村トオル
上越香奈 – 水野真紀
深沢真穂 – 稲森いずみ
浅葉達也 – 竹下欣伸
長堀英明 – 近藤等則
矢吹美和 – 吉行和子
矢吹達夫 – 中村嘉葎雄
木佐三千子 – 星由里子
木佐隆一郎 – 森山周一郎
久保田 – 神保悟志
上岡課長 – 大河内浩
真穂の兄 – 石井一孝
浅葉の音楽仲間 – 葉加瀬太郎
29歳のクリスマスのスタッフ
脚本 – 鎌田敏夫
演出 – 鈴木雅之、星田良子
企画 – 宅間秋史、石原隆
プロデューサー – 中山和記
音楽 – 瀬川英史、ROSE、石田勝範 その他
主題歌 – マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」(All I Want for Christmas Is You)
制作 – フジテレビ、共同テレビ