山の音

原節子(山の音)
原節子(山の音)

川端康成の長編小説(第7回(1954年度)野間文芸賞)を原作として、1954年1月15日封切された映画。原作とは異なる結末となっている。昭和29年度のキネマ旬報ベストテンの第6位。第1回アジア太平洋映画祭音楽賞、録音賞、男優賞、女優賞。公開時の惹句は、「溢れくる愁いに ひとりきく山の音 愛情のなだれか 女の嗚咽か……」。山村聡と角梨枝子はドラマ版にも出演。
原作は、老いを自覚し、ふと耳にした「山の音」を死期の告知と怖れながら、息子の嫁に淡い恋情を抱く主人公の様々な夢想や心境、死者の夢を基調に、復員兵の息子の堕落、出戻りの娘など、家族間の心理的葛藤を鎌倉の美しい自然や風物と共に描いた作品[1]。繊細冷静に捕えられた複雑な諸相の中、敗戦の傷跡が色濃く残る時代を背景に〈日本古来の悲しみ[2]〉〈あはれな日本の美しさ〉を表現した。戦後日本文学の最高峰と評され、川端の作家的評価を決定づけた作品として位置づけられている。

山の音の原作

川端康成「山の音」(角川文庫)

川端康成「山の音」(角川文庫)

山の音の原作のあらすじ

尾形信吾は妻・保子、長男夫婦(修一、菊子)の4人で鎌倉に住み、修一も同じ会社で補佐的な役を務めている。近頃もの忘れをするようになった信吾は去年喀血したが、診察も受けず特に支障はなかった。しかしある深夜、地鳴りのような「山の音」を耳にし、死期を宣告されたような恐怖を少し覚えた。最近では、友人たちの訃報も続いてきた。
修一の嫁・菊子はほっそりとした色白の娘で、妻・保子の姉を思い出した。美人で少年時代の信吾の憧れの人だったが若死にした。修一と菊子は結婚してまだ2年足らずだが、修一はもう他に女をこしらえている。だが女が出来てから、前にはない菊子の声を信吾は聞く。信吾は菊子を不憫に思い、修一の浮気の秘密を知る会社の秘書・谷崎英子から、女の居場所を聞き、その家を外から眺めたりした。
長女・房子は夫と不仲で、2人の幼子を連れて実家へ帰ってきたりしていた。そんな家族の鬱陶しい厄介事の重苦しさの中で、可憐な嫁の菊子だけが信吾の「窓」だった。菊子もそんな舅の優しさに親しみを感じていた。
信吾は時々、死んだ友人の夢や若い娘を抱擁する妖しい夢を見ることが多くなった。信吾は亡友の遺品の能面を預かり、その少女のような美少年の中性的な慈童面の唇に接吻しそうになった。
菊子への淡い恋情を意識した信吾は、修一と菊子が夫婦だけで暮した方がいいのではないかと考え、菊子に別居を勧めたが、菊子は1人で修一の帰りを待つことは怖くて淋しいと言った。
修一の浮気相手は戦争未亡人で、修一は酔って手荒いことをした。信吾は、修一が菊子のことを子供だと言っていると知り、怒りに震える。純潔な処女だった菊子を軽んじ、他人に下世話な話をする修一の無神経さが信吾には不可解だった。復員兵の修一は深いトラウマを受けた「心の傷病兵」だった。・・・

山の音の原作の解説

山の音の感想

やはり唐突なこの鼻血のシーンこそ、原節子という女優の極致なんじゃないかという気がする。
川端康成谷崎潤一郎ではその変態性が異なるが、成瀬は、ほんらい変態性とは遠い存在だと思う。

山の音のキャスト

尾形菊子:原節子
尾形修一:上原謙
尾形信吾:山村聡
尾形保子:長岡輝子
谷崎英子:杉葉子
池田:丹阿弥谷津子
相原房子:中北千枝子
相原:金子信雄
絹子:角梨枝子
信吾の友人:十朱久雄
事務員:北川町子
房子の娘:斎藤史子
巡礼:馬野都留子

山の音のスタッフ

監督:成瀬巳喜男
製作:藤本真澄
原作:川端康成
脚本:水木洋子
音楽:斎藤一郎
撮影:玉井正夫
美術:中古智
録音:下永尚
照明:石井長四郎
編集:大井英史
チーフ助監督:筧正典
製作担当者:馬場和夫
特殊技術:東宝技術部
現像:東宝現像所

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