2004年のアメリカ合衆国のSFサイコスリラー映画。原題は「The Forgotten」。監督はジョセフ・ルーベン、出演はジュリアン・ムーアとドミニク・ウェストなど。飛行機事故で亡くした9歳の息子の存在がはじめからなかったことにされていると知った母親を描いている。公開当時は「『シックス・センス』以来、最も衝撃的なスリラー」と宣伝された。
フォーガットンのあらすじ
9歳の息子サムを航空事故で亡くしたテリーは心の傷が癒えず、マンス医師の治療を受けているが、ある日、写真からなぜかサムの姿のみが消え、思い出の他の写真やビデオテープさえも消えていた。夫ジムは息子などはじめからいなかったと言う。友人エリオットも同じことを言うう。テリーは同じ事故で娘ローレンを亡くしたアッシュに会うが、アッシュも自分には娘などいないと言われるが、書斎にローレンの落書きを発見して娘のことを思い出した。テリーはアッシュと事故のことや、なぜ子供たちの情報が消えたのかを調べ始めるが……。
フォーガットンの感想
あの「ズバコーン」の映画って何の話だったっけ?ということで、2回目の視聴(「ズバコーン」で検索すると出てくる)。
再視聴でも件のシーンで驚かざるを得ないのは、ヒロインがジュリアン・ムーアというマジメな女優だからだろう(ひとつ前の出演作は「めぐりあう時間たち」、その前は「エデンより彼方に」で、大量の映画賞をとっている)。なぜこんな映画に出ることになったのか。
二度とストーリーを忘れないように書いておこう(結末まで書くので注意)。
ムーアは14ヶ月前に飛行機事故で9歳の息子を亡くし、神経衰弱のために今も精神科医に通う日々を過ごしているが、ある日突然息子の写真やビデオがかき消え、夫も精神科医も「息子など初めからいない、記録が消えたのは妄想が治癒しつつある証拠だ」と言い始める。図書館で新聞を調べてみると、たしかに件の飛行機事故は起きていない。
というリチャード・マシスン的な展開にも自らの正気をまったく疑うことなく、ムーアは同じ事故で娘を亡くしたパパ友ドミニク・ウエストのアパートを訪ね(この父親も娘の存在を忘れている)、人んちにもかかわらず壁紙をビリビリと剥がして「ほら! あなたの娘の落書きよ!」とウエストの記憶を呼び覚ますことに成功する。
ここに安全保障局の男たちなども現れ、国家的陰謀をにおわせるので、ムーアとウエストは男たちを捕らえて子供たちの行方を詰問する。ここで第一のズバコーンが起こるのだが、二人はさほどショックも受けず、なおも子供たちを探し続けて第二のズバコーンが起こり、ついに、一連の出来事は超越論的存在による、人間の親の子どもに対する心理実験だったという真実に辿り着く。途中から周辺に出没していた不死身の男が実はその存在の使い魔で、「この実験が失敗すると自分もただではいられない」などと言い、ムーアの出産の記憶を奪って「やったぞ」と喜ぶのだが、ムーアがまだ妊娠時の記憶を失っていなかったため、第三のズバコーンになり、実験は失敗し、子供たちは無事帰ってきたのだった。
最後の方はメチャクチャで筋が通らないし、夫の記憶や新聞の記録などが元に戻ったのか、ズバコーンになった人は帰ってきたのか等も不明のまま、観客を置いてけぼりにして映画は終わる。「ミステリアスすぎる導入部にはキレイなオチをつけられない」というマシスンの法則に超斜め上から挑んだ珍作と言える。
フォーガットンのキャスト
テリー・パレッタ – ジュリアン・ムーア
アッシュ・コレル – ドミニク・ウェスト
ジャック・マンス医師 – ゲイリー・シニーズ
ジム・パレッタ – アンソニー・エドワーズ
アンナ・ポープ刑事 – アルフレ・ウッダード
ブレッシャー刑事 – フェリックス・ソリス
親切な男 – ライナス・ローチ
サム・パレッタ – クリストファー・コバレスキー
サム・パレッタ(5歳) – マシュー・プレシェヴィチ
ローレン・コレル – キャスリン・フォーナン
カール・デイトン捜査官 – ロバート・ウィズダム
アール・ペタリス捜査官 – リー・ターゲセン
エリオット – ジェシカ・ヘクト
アレック・ウォン捜査官 – ティム・カン
リサ・フランクス捜査官 – スーザン・マイズナー
会計士アイリーン – アン・ダウド
フォーガットンのスタッフ
監督 – ジョセフ・ルーベン
脚本 – ジェラルド・ディペゴ
製作 – ダン・ジンクス、ジョー・ロス、ブルース・コーエン
製作総指揮 – スティーヴ・ニコライデス、トッド・ガーナー
音楽 – ジェームズ・ホーナー
撮影 – アナスタス・N・ミコス
編集 – リチャード・フランシス=ブルース
製作会社 – レボリューション・スタジオ、ジンクス/コーエン・カンパニー、ヴィジュアル・アーツ・エンターテインメント
公開 – アメリカ 2004年9月24日 日本 2005年6月4日
上映時間 – 92分
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フォーガットンの予告映像
フォーガットンを観た人の感想
- フォーガットン [一体何だったんだろ。この映画・・・](自主映画制作工房Stud!o Yunfat 改め ALIQOUI film 映評のページ)
- 見た人の何割かは確実に拒否するが、それもやむをえない(前田有一 – 超映画批評)
- 『フォーガットン』:2004、アメリカ(ポンコツ映画愛護協会)