1986年のアメリカ映画で原題は「Aliens」。『エイリアン』シリーズの第2作。監督はジェームズ・キャメロン。
ホラー要素が強かった前作から打って変わり、『ターミネーター』で一躍名を馳せたジェームズ・キャメロンを脚本・監督に迎え、原題が示す通り無数に繁殖したエイリアンと未来兵器に身を固めた兵士との戦いを描くアクション映画として製作された。
当時はCG技術がまだ未発達だったためすべて実写で制作され、エイリアンが画面に一度に登場する数は数体だったが、動体探知機が何十体もいるように反応する画面を表示したり、カット割りによって多数のエイリアンがいるように見えるように工夫された。
1986年のアカデミー賞では視覚効果賞、音響効果編集賞を受賞。2009年、イギリスの雑誌『エンパイア』が発表した「史上最高の続編映画」で1位に、2014年に情報誌『タイム・アウト(英語版)』ロンドン版にて映画監督、作家、科学者や評論家150名が選定した「SF映画ベスト100」にて第5位にランクインした。
エイリアン2のあらすじ
序盤~惑星LV-426へ向かうまで
前作の生き残りエレン・リプリー航海士の脱出艇が地球周回軌道付近の宙域で偶然発見される。宇宙ステーション内の病院で目覚めたリプリーは、ウェイランド・ユタニ社の社員バークから、自らが57年間も宇宙を漂い、11歳の娘アマンダが2年前に自分より先に他界したと告げられる。
査問会でノストロモ号爆破の責を問われたリプリーはエイリアンとの遭遇を主張するが証拠がなく信用してもらえず、精神異常を疑われ、結果航海士資格も無期限停止にされてしまう。リプリーは倉庫で作業員として働くことになったが、チェストバスターの夢にうなされる毎日だった。
ノストロモ号が着陸したレチクル座ゼータ第2星系の小惑星「LV-426」は、20年前からテラフォーミングが行われ、多くの入植者たちが居住していたが、連絡が途絶え、入植民157人が消息不明に。調査のため植民地海兵隊が派遣されることとなり、リプリーは航海士としての復帰と引き換えに、「エイリアンの研究や持ち帰りはせず、殲滅させるのみ」という条件付きで戦略アドバイザーとしてバークに同行することに。
LV-426へ出発 – エイリアンとの初戦闘まで
宇宙戦艦スラコ号で隊員達とLV-426に向かったリプリーは、乗組員のビショップがアンドロイドだと知り、ノストロモ号のアッシュ
思い出して露骨な不快感を示す。作戦会議でエイリアンの危険性を訴えるが、ほとんどの隊員は危機感もなく、冗談混じりに茶化すばかりだった。
一同はスラコ号から発進した降下艇でLV-426に降着し、装甲兵員輸送車(APC)でコロニーの施設へ潜入。入植者たちの抵抗の跡があり、医務室の実験用カプセルにはフェイスハガーも保存されており、入植者達がエイリアンと接触していた事が判明する。一行は、通風管の中を逃げ回って生き延びたニュートと名乗る少女を保護する。
海兵隊は環境システム施設内からの生命反応を追ってAPCで現場に急行。そこはエイリアンの巣窟と化しており、惑星大気改造用の大気製造プラントの誘爆を避けるため、隊員たちはパルスライフルの発砲を禁じられてしまう。繭化された入居者の腹から飛び出したチェストバスターを倒したためエイリアンの大群の奇襲に遭い、隊員は次々に犠牲となり、現場は大混乱に陥る。APC内で指揮していたゴーマン中尉はパニックに陥り、見かねたリプリーはAPCで救助に向かい、辛うじて現場からの撤退に成功する。残されたのはヒックス、ハドソン、バスクエスの3名だけだった。
リプリーはスラコ号への撤退と核攻撃で惑星ごと殲滅すべきだと主張。バークは反対するが、気絶したゴーマン中尉に代わって指揮を引き継いだヒックスはリプリーに同意する。しかし艇内にエイリアンが潜入していたため降下艇は墜落しAPCを巻き込んで爆散。
LV-426基地内での籠城 – バークの企み
リプリーたちはコロニーの司令室内にバリケードを築き、通路にセントリーガンを設置して救助が来るまで篭城を始めるが、墜落した降下艇の爆発で施設の電気系統と核融合炉の冷却システムが停止し、4時間後に大爆発することが判明する。スラコ号から予備の降下艇を遠隔操作で誘導するため、ビショップはパイプ内を移動して通信施設に向かった。コロニーの一同は、セントリーガンでエイリアンを撃退するが、仮眠を取っていたリプリーはフェイスハガーの襲撃を受ける。火災報知機を作動させて助けを呼び聞きを脱したリプリーは、これが密かにエイリアンを持ち帰ろうとするバークの企てだと糾弾した。
コロニー内での戦闘~スラコ号への脱出
突然電源が落ち、天井裏からエイリアンたちが大挙して来たため、医務室に退避しようとする一同。バークが立て篭っていたが、そこにもエイリアンが入り込んでいたため餌食になる。リプリーたちはニュートの案内で通風管を伝い、必死に逃げる。後衛のバスクエスは近距離でエイリアンを撃ち強酸の返り血を浴びて動けなくなる。救出に戻って来たゴーマン中尉の拳銃も弾が尽き、追い詰められた2人は手榴弾で自爆。その爆風でニュートはダストシュートに落ちてしまった。ビショップの遠隔操作による降下艇に、エイリアンの返り血で負傷ヒックスを乗せたリプリーはニュートを救出しに引き返す。
繭にされる直前にニュートを救出したリプリーは、卵を産み続けるエイリアン・クイーンの巣に入り込み、火炎放射器やありったけの弾丸で巣を火の海に。激怒したクイーンは産卵管を切り離して追撃してきたものの、辛くも降下艇に逃げ込んだリプリーたちはLV-426から脱出した。
クイーンとの対決~エンディング
降下艇の格納脚にしがみついていたクイーンはビショップを尻尾で串刺しにし、真っ二つに引き裂き、ニュートに襲いかかる。リプリーはパワーローダーに乗り込んで肉弾戦を展開し、エアロックからクイーンを宇宙空間に放逐することに成功。リプリーを「ママ」と呼ぶニュートを含め、生存者一同はハイパースリープに入った。
エイリアン2の感想
やはり本作の白眉は、みんな大好きバスクェスを演じたジェニット・ゴールドスタインだろう。この人は元々重量挙げの選手だったらしいが、筋肉美女が好物のキャメロン(「ターミネーター2」でリンダ・ハミルトンの肉体を改造させ、とうとう結婚までしてしまった)に気に入られて女優デビュー。「ターミネーター2」にも「タイタニック」にも出ている。
植民地海兵隊の面々が冷凍睡眠からの目覚めの悪さに顔をしかめる中、まずは懸垂でひと汗流すバスクェスは、ブリーフィング前にも懸垂仲間の機銃手と何やらじゃれあっている様子が描写されているが、ひとたび戦地に投入されると、ひときわ大袈裟な機銃を構えて先頭に立つ戦士となる。最初の核融合炉施設への侵入作戦でも一行を先導しているが、単なるフェチストというわけでもないらしく、直後の悪夢のような撤退の中で、強酸を浴びた懸垂仲間を助けようとする漢気の人でもある。これに限らず危険地帯に乗り込む際には常に先頭もしくはしんがりを務めており、最初から犬死にの予感がある。
コロニーから放送塔までの脱出において、ついに多勢に無勢の絶体絶命に陥るが、最初の失敗以来役立たず扱いしていた中尉(本隊指揮系統のボス)が戻ってきて、二人で自爆する際の最期の台詞「あんたって本当にダメな男ね」は、あまたの戦争映画ファンを泣かせるのだが、本作を見るたび、この「植民地海兵隊」というのはどこまで本気の軍隊なのだろうと思わざるを得ない。黒人の鬼軍曹、レイバンサングラスの女性降下艇機長など、パロディそのものであり、ウェイランド・ユタニ社はコストをケチって誇大妄想狂たちの自称軍隊ユニット(企業に雇われているのだから私兵である)を調達してしまったのではないかと思うのである。
エイリアン2のキャスト
民間人
エレン・リプリー – シガニー・ウィーバー
ニュート – キャリー・ヘン
ビショップ – ランス・ヘンリクセン
ラス・ジョーダン – ジェイ・ベネディクト
ティモシー・ジョーダン – クリストファー・ヘン
植民地海兵隊
ドウェイン・ヒックス – マイケル・ビーン
ウィリアム・ハドソン – ビル・パクストン
ジェニット・バスクエス – ジェニット・ゴールドスタイン
スコット・ゴーマン – ウィリアム・ホープ
マーク・ドレイク – マーク・ロルストン
アル・エイポーン – アル・マシューズ
リッコ・フロスト – リッコ・ロス
シンシア・ディートリック – シンシア・デイル・スコット
トレヴァー・ウィズボウスキー – トレヴァー・スティードマン
ティム・クロウ – ティップ・ティッピング
コレット・フェッロ – コレット・ヒラー
ダニエル・スパンクマイヤー – ダニエル・カッシュ
その他
カーター・J・バーク – ポール・ライザー
ヴァン・リューエン – ポール・マクスウェル
ライデッカー – ウィリアム・アームストロング
救助隊隊長 – スチュアート・ミリガン
エイリアン2のスタッフ
監督 – ジェームズ・キャメロン
脚本 – ジェームズ・キャメロン
原案 – ジェームズ・キャメロン、デヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル
原作 – キャラクター創造 ダン・オバノン、ロナルド・シャセット
製作 – ゲイル・アン・ハード
製作総指揮 – ゴードン・キャロル、デヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル
音楽 – ジェームズ・ホーナー
撮影 – エイドリアン・ビドル
編集 – レイ・ラヴジョイ
公開 – アメリカ合衆国の旗 1986年7月18日
日本の旗 1986年8月30日
上映時間 – 劇場公開版137分/完全版154分
エイリアン2を観る
エイリアン2を観た人の感想
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