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空白を満たしなさい

鈴木杏(空白を満たしなさい) ドラマ
鈴木杏(空白を満たしなさい)
平野啓一郎による日本の長編小説(モーニング2011年40号~2012年39号連載)を原作に、2022年6月25日~7月30日にNHK「土曜ドラマ」でドラマ化。全5回。主演は柄本佑。
主人公は3年前に自殺だったと伝えられるが、死んだ時の記憶はなく、自殺する理由も思い当たらないため、殺されたのではないかと考え、自らの死の理由を追求していく中で、生きること、死ぬこと、そして幸福ということの意味を知っていく。

空白を満たしなさいの感想

平野啓一郎の小説(2012)のドラマ化で、ちょうど先日「ある男」(2018)を読んだところなので、これはある程度面白くなりそうだという見当がつく(この2作は分人主義の前後期に分かれるらしいのだが、分人主義って何?)。

ビル屋上から落下して死んだ柄本佑が「復生者」として生還し、戸惑う妻(鈴木杏)と暮らしながら、自分がなぜ死んだのかを調べはじめ、阿部サダヲの怪しすぎる警備員に殺されたのではないかと思い至る、とさいうところまでが第1話。

鈴木杏が良い。じつは「anone」にも出ていたのだが、見直したのは昨年の「今ここにある危機とぼくの好感度について」から。

空白を満たしなさい 見どころ

主人公の「空白」に満ちた生と死の謎を巡る、ミステリアスで哲学的・人間的なドラマ。ある日突然「社会的な死」を迎え、なぜか「再生」した主人公が、自身の身に何が起こったのか、そしてこの世界の秘密は何なのかを解き明かしていく。

  1. 「再生」というSF的な設定と哲学的問い
    主人公が「社会的に死んだ」後に「再生」するという、ユニークかつSF的な設定が物語の核。この現象が一体何を意味するのか、人間にとっての生と死の境界線、存在とは何か、という哲学的な問いを投げかけられる。単なるミステリーに終わらない、知的刺激に満ちた作品。
  2. 柄本佑の繊細かつ力強い主演演技
    主演の柄本佑が、突然の出来事に翻弄されながらも、必死に自分の存在意義と真実を追い求める主人公・徹生を、説得力のある演技で表現。困惑、絶望、そして再生への希望といった複雑な感情の機微を繊細に演じた。
  3. 平野啓一郎原作の重厚な世界観
    平野啓一郎作品特有の複雑な人間関係、深い内面描写、そして哲学的なテーマを忠実に再現。原作ファンも納得のクオリティで、じっくりと物語の世界に浸れる。
  4. 謎が謎を呼ぶサスペンス要素
    徹生に何が起こったのか、なぜ彼は「再生」したのか、そしてこの現象に関わる組織や人々は何を企んでいるのか、次々と謎が提示される。先の読めない展開が緊張感を与えている。
  5. 「空白」を持つ人々との出会いと連帯
    徹生は自分と同じように「空白」を持つ人々との出会いを通じて、互いに支え合い、連帯していく。孤独を抱える人々、共に真実を追求し、新たな生き方を見出していく姿は、ヒューマンドラマとしても感動的。妻を演じる鈴木杏さんをはじめ、彼を取り巻く個性豊かな俳優陣にも注目。

空白を満たしなさい あらすじ

土屋徹生(柄本佑)は家族にも恵まれ、一見平穏な日常を送っていた。しかしある日突然失踪し、会社の同僚からも家族からも「死亡した」と認識され、社会的に存在しない「空白」の人間に。ところが彼はなぜか生きており、肉体的にも完璧な状態で「再生」を果たす。
混乱する徹生は、戸籍も仕事も失い、かつて住んでいた家にも戻れず、自分が誰なのか、なぜこんなことになったのか、全く理解できない。そんな彼が「自分と同じように空白を持つ者たち」の存在を知り、彼らと交流する中で、この奇妙な現象の背後にある秘密、そして人間にとっての「生と死」の真の意味を追求していく。
家族(妻を演じる鈴木杏さんなど)との関係性の変化や、彼を取り巻く人々の思惑が複雑に絡み合い、哲学的な問いを投げかける。

空白を満たしなさいを観るには?

空白を満たしなさいのキャスト

■主要人物
土屋徹生 – 柄本佑
土屋千佳 – 鈴木杏
佐伯 – 阿部サダヲ
■徹生の関係者
土屋保 – 野川雄大
土屋璃久 – 斉藤拓弥
土屋恵子 – 風吹ジュン
徹生の祖母 – 大方斐紗子
■千佳の関係者
田村滋 – 国広富之
田村薫 – 木野花
■「トレジャーハント」とその関係者
秋吉浩一 – 萩原聖人
比嘉 – 井之脇海
クレームの女性 – 占部房子
■堂島製缶とその関係者
安西部長 – 渡辺いっけい
権田工場長 – うじきつよし
権田アイ – 永瀬莉子
園田直樹 – 永岡佑
西澤香 – 中川紅葉
警備員 – 松井ショウキ
石沢ビールCMタレント – 中山卓也
■復生者とその関係者
オカダ – 岡部たかし
木下郁男 – 藤森慎吾
ラデック – ブレーク・クロフォード
野本こいし – 禾本珠彩
野本栄一 – 日下部そう
野本ふみ – 和田光沙
大石彩花 – 瀬戸さおり
飯田江理子 – 梅舟惟永
佐藤稔 – 岩谷健司
復生者 – 赤間麻里子
金縁眼鏡の男 – 本田博太郎
太田司郎 – 野間口徹
司会者 – 村岡希美
澤井真悟 – 鎌田規昭
復生者排斥デモ主宰者 – 湯浅浩史
古ヶ崎 – 大河内浩
■その他
警部補 – 奥田洋平
刑事一課長 – 多田木亮佑
ニュースキャスター – 山田泰三
不動産会社 就職面接官 – みのすけ
不動産会社 就職面接官 – 池田良
就職面接官 – 奥田達士
レポーター – 石渡愛
池原聡 – 滝藤賢一

空白を満たしなさいのスタッフ

原作 – 平野啓一郎『空白を満たしなさい』(講談社文庫 / 講談社刊)
脚本 – 高田亮
音楽 – 清水靖晃
制作統括 – 勝田夏子(NHKエンタープライズ)、落合将(NHK)
演出 – 柴田岳志(NHKエンタープライズ)、黛りんたろう

空白を満たしなさいの原作

\原作小説はこちら/


世界各地で、死んだ人間が生き返る「復生者」のニュースが報じられていた。生き返った彼らを、家族は、職場は、受け入れるのか。土屋徹生は36歳。3年前に自殺したサラリーマン、復生者の一人だ。自分は、なぜ死んだのか?自らの死の理由を追い求める中で、彼は人が生きる意味、死んでいく意味、そして幸福の意味を知る・・・。講談社現代新書『私とは何か』と併せて現代日本の切実なテーマに向き合う注目作。

ある日、勤務先の会社の会議室で目覚めた土屋徹生は、自分が3年前に死亡したことを知らされる。死因は「自殺」。しかし、愛する妻と幼い息子に恵まれ、新商品の開発に情熱を注いでいた当時の自分に自殺する理由など考えられない。じつは自分は殺されたのではないか。とすれば犯人は誰なのか、そして目的は? 記憶から失われた自らの死の謎を追求していく徹生が、やがてたどりついた真相とは・・・? ミステリー仕立てのストーリーを通し、自殺者3万人を超える現代の生と死、そして幸福の意味を問う傑作長編小説!講談社現代新書『私とは何か 「個人」から「分人」へ』と併せて現代のテーマに向き合う注目作。モーニング連載の話題作。

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