ドラマ2012年のドラマ2010年代のドラマ

事故〜黒い画集〜(2012年版)

3.0
京野ことみ(「事故〜黒い画集〜」(2012年版)) ドラマ
京野ことみ(「事故〜黒い画集〜」(2012年版))
「事故〜黒い画集〜」は、「松本清張没後20年特別企画 事故〜黒い画集〜」のタイトルで2012年12月12日21時-22時48分にテレビ東京系「水曜ミステリー9」枠にて放送。運送会社社長・高田京太郎を主人公として事件の謎を追跡するストーリー設定。

「事故〜黒い画集〜」(2012年版)ってどんなドラマ?

交通事故をきっかけに暴かれていく複雑な人間模様と「偽装工作」の裏側を描いたミステリー。
「偶発的な事故から崩れていく人生」という原作のテーマを2010年代の背景に落とし込んだ構成。運送会社を必死に守ろうとする高橋克実演じる運送会社社長が善人にも悪人にも見える絶妙なバランスが。刑事役の大杉漣や、探偵社を営む近藤芳正など、一癖あるキャラクターたちのアンサンブルが物語の緊張感を維持していました。

あらすじ

杉並の会社重役山西省三の家に運送会社のトラックが突っ込み、門と玄関を破壊する事故が発生。運送会社社長高田京太郎は山西邸を訪問するが、妻の山西勝子は事故を起こした運転手を気遣うなど揉めることなく、予想より安い損害賠償での妥結に成功。ところが事故の5日後、運転手山宮健次の死体が山梨県・小淵沢駅近くの釜無川の断崖で発見。現場付近から凶器は発見されず、有力な容疑者も浮上せず捜査は難航する。
他方、翌日の15時ごろ、甲府市北西部の千代田湖畔で永福興信所所員浜口久子の絞殺死体が発見された。捜査員は所長の田中幸雄から浜口が湯村温泉で建設会社の専務高橋太郎の不倫現場を張り込んでいたと聞く。
「死体の発見されたのは一日違うだけだから、この二つの事件がうまく結び合うと面白いんですがね」。しかし犯人は終始捜査圏外に置かれ、捜査本部は両方の線が接着するものを何も発見できずに解散する。

感想

本作は2012年版だが、それ以前に1972年(市川和子→山西勝子役?)、1975年(田村高廣→田中幸雄役?)、1982年(山口崇)、2002年(古谷一行)と4回テレビドラマ化されているが、いずれも田中幸雄を主人公とする立場のようだ。本作の主人公は運送会社社長を演じる高橋克実で、そこにオリジナルキャラクターである京野ことみが起用されている。田中幸雄を演じるのは近藤朱正で、その暗さがいい。

京野ことみは殺された興信所調査員の山下容莉枝の妹として事件の謎を追いつつ、無意識過剰によって高橋克実を翻弄するという役柄なのだが、こんなに芝居が下手だったかと一瞬驚かされる。しかしじつは下手というよりも浮いていると言ったほうがよく、今は無職だが前職を辞めた理由が社長の愛人関係がバレたから、というキャラクター設定は。本作のプロットの雑音でしかない。本作ラストで高橋克実は原日出子から離婚を言い渡されるのだが、フォローも特になく、まるで京野がファムファタルであるかのような幕切れになっている。蛇足もいいところだ。

本作は高尾山パーキング-下湯村-和田-小淵沢という国道20号と国鉄中央本線をめぐるトリックをめぐるミステリであり、殺されたトラック運転手がこの区間で2回停車したことが事件の鍵になっている。つまり1回目の停車で積み込んだ山下容莉枝の死体を2回目の停車で降ろして移動させたのだが、なぜそんなことをしなければならなかったのはもう忘れてしまった(爆)。

もうひとつの鍵は、杉並の民間住宅にトラックで突っ込んだ事故(これがタイトルである)が故意のもので、山下容莉枝の依頼によるものだったということである。

2つの鍵が組み合わさることで2つの殺人事件が重なり合うという構成は清張ならではの面白さで、杉並の主婦(野村真美)と興信所所長の近藤朱正がデキており、近藤が秘密を嗅ぎつけた山下容莉枝とトラック運転手(斉藤祥太)を殺したという意外性もすばらしいのだが、プロットがよくできているだけに、やはり京野ことみが浮くのである。

「事故〜黒い画集〜」(2012年版)作品情報

キャスト

高田京太郎(運送会社社長) – 高橋克実
浜口亜紀子(浜口久子の妹) – 京野ことみ
高田育代(京太郎の妻) – 原日出子
田中幸雄(興信所所長) – 近藤芳正
山西勝子(専業主婦) – 野村真美
六条幹男(甲府中央署刑事) – 大杉漣
浜口久子(興信所調査員) – 山下容莉枝
宮下健次(トラック運転手) – 斉藤祥太
山西省三(勝子の夫) – 近江谷太朗
高橋太郎(光輪土木専務) – 伊藤正之
中瀬政信(小淵沢の中央署刑事) – 松澤一之
古野正行(同) – 坂本真
小野田剛(甲府中央署刑事) – 阿部亮平
中込久三(トラック運転手) – おかやまはじめ
吉野君子(興信所事務員) – 山野海
浜口菜摘(久子の娘) – 春日香音
佐々行雄(トラック運転手) – 松江健

スタッフ

脚本:田子明弘
監督:星田良子
警察監修:吉川祐二
ロケ協力:富士の国やまなしフィルムコミッション、北杜市フィルムコミッション、裾野市生涯学習センター(ゆうあいプラザ)、秦野市みや古食堂 ほか
技術協力:バスク、ジースタッフ
美術協力:山崎美術
照明協力:サンライズアート
音楽協力:テレビ東京ミュージック
音響効果:スポット
企画協力:ナック(菊池実)
チーフプロデューサー:小川治(テレビ東京)
プロデュース:橋本かおり(テレビ東京)、椿宜和冨田英樹
製作:テレビ東京、BSジャパン、角川映画

「事故〜黒い画集〜」の原作(松本清張)

山梨県内の断崖の下で、血まみれで死んでいる若い男が発見された。翌日、同県の湖畔の竹藪の中から三十すぎの女の絞殺死体が出てきた。男はトラック運転手で、女は興信所員だった。この二つの殺人と東京で起こったトラックの軽い接触事故。何の関係もなさそうな三つの事実の繋がりを追う「事故」。他人の不幸を嗅ぎだすのが趣味の家政婦が、堅い大学教授と上品ぶった夫人の家庭に派遣され、そこで見つけたものは……濃密な文章で読ませる「熱い空気」の中篇二作を収録。

コメント

タイトルとURLをコピーしました