夏子と天才詐欺師たち

藤山直美(夏子と天才詐欺師たち)
藤山直美(夏子と天才詐欺師たち)

2010年8月14日の21:00-22:51に朝日放送・テレビ朝日系列にて放送された単発スペシャルのテレビドラマ。父親の工場の融資で銀行に騙され、絶望のドン底にいた女が、ひょんな事から凄腕詐欺師チームに参加し、銀行の不正融資を暴き出す物語。藤山直美の2時間ドラマ初主演作品であり、NHK大阪放送局の名物ドラマディレクターだった長沖渉の民放ドラマ初演出作品であり、大阪のキャスト・スタッフで作られた久々の関西発信のテレビドラマである。

夏子と天才詐欺師たちのあらすじ

東大阪で小さなネジ工場を営む父、茂(佐川満男)と二人暮らしの鏑木夏子(藤山直美)。父は宝島銀行から2000万円の融資をしてもらうが、突然、銀行から4000万円の返済を迫られ、返せなければ、工場を競売にかけられるという危機に(借りたのは2000万円だが、なぜか借用書には4000万円と書かれていた)。
銀行にだまされた茂と夏子は親子心中を図ろうとするが断念。そんな中、夏子は空腹のあまりコンビニでメロンパンを万引きし、人気のない教会の懺悔室で神父の権藤(岸部一徳)に罪を告白、許しを得るのだった。
数日後、夏子の働く美容室に見知らぬ男が現れ、宝島銀行の小倉支店長が迂回融資をしていると告げる。夏子の父が融資を受けたとされる4000万円の半分は支店長の女に流れていた。なんと男は夏子が罪の告白をした神父の権藤だった。
かつては大手の銀行マンだった権藤の正体はグリフター=詐欺師。結婚詐欺を生業とする美女の富士子(鈴木京香)、印鑑・書類関係を鮮やかに偽造する奥田(多賀勝一)、情報収集に長けるホストの北島(高知東生)の4人は、かつてチームを組み、詐欺を働いていた。もう2度と詐欺はしないと決めていた権藤だったが、偶然、ニセ神父として夏子の話を聞いてしまい、支店長からお金を取り戻すため、チームゴンドーを復活させる。動き出したチームゴンドー。夏子も詐欺だと知りながら、父のためにグリフターの世界に足を踏み入れる ――。

大阪+スマートなコンゲーム、ブレンド失敗(夏子と天才詐欺師たちの感想)

主演は藤山直美、言わずと知れた藤山寛美の三女(5姉妹だが、長女・次姉は母の連れ子)である。
脚本の大石静によれば「基本的にはテレビに出ない人」であり、NHKのテレビ小説には多く出ているし、阪本順治の映画「」で良い演技を残していたりするが、基本、大阪の舞台の人で、東京の人間には知名度が低い。
ということで、これは裏番組だった倉本聰「帰國」に対抗した、大阪・朝日のスタッフ、監督・長沖渉も大阪の人によるお盆のスペシャルドラマである。(大石静は東京の人だけど)

舞台はもちろん大阪、それも東大阪市(東京で言うと大田区?)、ストーリーは大阪らしいカネがらみ、というコテコテの予感に、半分退きながら見始めたのだけれど、結局、大阪っぽさはなんだか、いささかわざとらしい感じ。
大阪のおばちゃんである藤山直美の芸が中心だから、詐欺で与えられた「修道女」「女編集者」「和装の奥様」やらの役を演じる、という七変化が楽しいところのハズなのに、そのへん、形だけになってしまってる。
そもそも岸部一徳とラブストーリーになるのが唐突で、納得いかない。
冒頭から裏切り、最後のサゲまで、基本的にコンゲーム物のフォーマットに沿った筋立てで、恋愛のサブストーリーも教科書通りみたいな感じだが、謎の女である鈴木京香の扱いも含めて、そこがすごく未消化と感じられた。

夏子と天才詐欺師たちのキャスト

鏑木夏子:藤山直美
権藤和則(詐欺師チームボス):岸部一徳
桜田富士子(詐欺師チームメンバー):鈴木京香
北島雄一郎(詐欺師チームメンバー):高知東生
奥田幸男(詐欺師チームメンバー):多賀勝一
高杉喜和(クラブのママ):純名里沙
鏑木茂(夏子の父):佐川満男
猿山一郎(民自党衆議院議員):ベンガル
桂川昌夫(銀行の頭取):曾我廼家玉太呂
小倉厚志(銀行の支店長):曾我廼家八十吉
タクシー運転手:井之上チャル
その他:市川奈穂大橋梓三輪美優緒方ちか田村ツトム廣芝友孝

夏子と天才詐欺師たちのスタッフ

脚本:大石静
監督:長沖渉
監督補:鐘江稔
助監督:小河久史、春本雄二郎
音楽:梅林茂
協力:東通企画、東通ライティング、アイネックス、MBS企画
プロデュース:深沢義啓、志村彰
製作協力:The icon
製作:朝日放送

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