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大切なことはすべて君が教えてくれた

戸田恵梨香(大切なことはすべて君が教えてくれた) ドラマ
戸田恵梨香(大切なことはすべて君が教えてくれた)
大切なことはすべて君が教えてくれたは、2011年1月17日~3月28日の毎週月曜21:00-21:54にフジテレビ系「月9」枠で放送。主演は戸田恵梨香と三浦春馬。

大切なことはすべて君が教えてくれたのあらすじ

私立明稜学園高等学校に勤める高校教師・上村夏実は、同じ学校に勤める教師で同校の生徒時代から付き合っている柏木修二と婚約しており、生徒や同僚からも祝福されていた。しかし始業式前日、修二は自身の生徒・佐伯ひかりと一夜を共にし、そのことは夏実にも知られてしまう。
ひかりは生殖機能の病を抱え、家族の死なども関係した複雑なコンプレックスを抱えながら修二に恋をしていた。ひかりは修二と過ごした証拠となる画像を盾に夏実に嫌がらせをし、二人の仲を裂こうとするが、結局身を引く。そのまま結婚を進めようとした二人だが、ふとしたことから校内にひかりとの関係が知れ渡る。

修二は糾弾され、人気教師としての社会的立場は下落してしまうが、複雑な事情を抱えるひかりを見捨てられず、彼女を見守り続ける。混乱の中で夏実は妊娠に気付き、修二と別れひとりで産み育てることを決意する。事情を知った上で結婚を申し込む男性が現われたものの、夏実は修二への思いを断ち切れず、次第に修二が初めて見せた自発的な意志と、ひかりに対する真意を受け止めてゆく。
修二は教師を辞めるが、ひかりを家族や精神的な問題と向き合わせた上で、本当に愛しているのは夏実だけであると告げ、ひかりを独り立ちさせて別れる。教師としての役目を全うさせた修二はふたたび夏実に求婚。夏実もまた、本当に愛しているのは修二だと気付いてそれを受け止める。転職した修二は街でひかりを見かけるが、その姿はかつて修二が、街ですれ違っても自分の存在に気付かないほど幸せになってほしいとひかりに語った姿そのものだった。夏実と修二もまた、出産した娘と新しい生活を始める。

大切なことはすべて君が教えてくれたを観るには?

大切なことはすべて君が教えてくれたの感想

第1話|反動的なモチーフで着地点が読みにくい

これは面白いドラマになりそうだ、今季でいちばんになるかもしれない。
どういうドラマとして着地するのかが予想できないというのが、面白い理由である。

三浦春馬武井咲と会った経緯を覚えておらず、シーンが再現されることもないので、視聴者にとっても武井が三浦とセックスした理由はわからない。
(じつのところ、こういう冒頭の常として、本当にセックスしたかどうかもわからない)

三浦は生徒にも保護者にも絶大な人気があり、職員室でも一目置かれているほどなのだから、生徒である武井が三浦を知らずにセックスしたことはないと思う。もっとも、中等部から持ち上がった高等部の1学年というわけではなく、2年生だから、生徒の顔をそこまで知らないことがあるのだろうかという気もする。
広瀬アリス菅田将暉のことは知っているのだ。
三浦は春休み中かかって生徒の名前と顔を覚えたといっていたが、そのときに武井咲の顔と名前は頭に入れなかったのか。

武井はなにやら持病を持っているようであり、左腕の火傷のようなひきつれはそれに関係があるのかもしれない。
特待生で家庭が崩壊している剛力彩芽は、武井咲の過去を知っていそうだ。

あそこまで爽やかな先生にリアリティがあるのかどうかはわからないが、生徒と教師の関係は自然に良好であり、学校の描写は珍しく、つくりもの臭くない。
今回、親のいぬ間にセックスしている子供たちを見つけた母親たちが学校に相談に来るというくだりがあるが、交尾中の犬を引き離すようなやり方でなく、見込んだ教師に助けを求めるというのは、三浦が演じるキャラが相手なら、ありそうな気がする。
このへんは三浦の演技のうまさを表しているのだろう。

一方、戸田恵梨香は今のところまったりしている。声の低い戸田は落ち着いた演技をすると思いのほか先生っぽく、結婚を間近に控えて猫のように三浦に甘えるのだが、眼力が強いのでこれはちょっと怖く、三浦は必要以上にびくびくしている。全体に三浦は目を見開いて声も出ないくらい驚いたり、ぽかんとしたりしていて、その演技がこのドラマをサスペンスミステリー仕立てにしている。

結婚直前というのは男女とも不安定な心境に陥る時期ということになっていて、この時期の男女を描く小説やドラマは昔から数多いが、トレンディドラマ以降は古臭いモチーフとなってしまっていたと思う。
今の時代に再びそれを取り上げたことが、このドラマの着地点を見えにくくしている。
先が楽しみである。

第2話|唾棄すべき教師というひねり方

心理捜査物に次いで今季かぶりまくっているのは学園物だが、本作はひねくれた学園物で、主人公である三浦春馬は、唾棄すべき教師として次第にベールを剥がされる仕組みになっている。

前半に、三浦が生徒たちと食堂で定食などを食べる長テーブルに戸田恵梨香が呼ばれ、武井咲剛力彩芽も座るシーンがあった。
武井と剛力(すごい芸名だ)を除く生徒が次々はけ、剛力も立ち上がるのだが、戸田・武井と残りたくない三浦は、何か剛力に話しかけて引きとめようとする。それで懸命に話題を探すのだが、何も思いつかない。

剛力演じる園田望未は、経済破綻、家庭破綻、いかがわしい店への出入り(もう辞めているが)など、教師として把握すべき話題にことかかないはずだし、不登校で特待生という特殊なキャラクターでもある。
心理的に追いつめられている三浦はそれらをすべて忘れているらしいのだが、あげく出てきた言葉は、「君、料理はするの?」というあからさまに性差的な質問だった。
結婚への準備は戸田がリードして粛々と進めているように見えるが、性差に深くとらわれているのは三浦のほうなのである。

今回の見どころは、なんといっても、体育館での戸田と武井の対決シーンであろう。なんといっても話題のドラマで数々の場数を踏んできた戸田は、やはり巧い。
武井咲は「美少女」に頼った演出で、圧倒的に戸田に分があるのだが、物語は盛り上がりを演出するため、三浦の寝顔写真という武器を武井にもたせている。BGMをうまく使ったコミカルなサスペンスタッチの演出は快く、どう展開するのか楽しみな次回である。

第3話|武井咲はこの先が難しい

今週は修羅場の章、来週は職場バレの章と、三浦春馬の試練は続く。
クレジット的には主役は戸田恵梨香なのだが、三浦の役どころが面白いのでつい引き込まれる。こういった配置は、ひと昔前なら、逆だったはずである。何を考えているかわからない女に振り回される男という構図で。
今週の筋書きは、女はなぜ突然怒るのかということを実にわかりやすく解説していた。

戸田の演技力は今週もあっぱれだったが、今後、実力が試されるのは武井咲だろう。
ようやく武石の病気が卵巣機能不全であり、治療を続けないと「女でいられない」ことが明らかにされた。
そして死んだ姉が完璧だったのに対して、自分が出来損ないの欠陥品であるというコンプレックスを持っていることも明らかになった。このコンプレックスが事件の元であり、ナメクジは失敗したカタツムリではないと教えてもらったことが、三浦に執着させることとなった。
完全な姉のワンピースを着ることによって三浦との関係をもつことができたことは、武井の病気にまだ隠された部分があることを表している。
おそらく今後の展開の中で、内田有紀がそれを明かしていくことになるだろう。

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