赤線玉の井 ぬけられますってどんな映画?
昭和33年の新春を迎え、いよいよもうすぐ(この年4月1日より売春防止法施行)赤線よおさらばというころの”東京玉の井”の特飲街に働く売春婦たちの哀歌を描く「赤線シリーズ」大作。
原作は清水一行の「赤線物語」で、脚本・監督とも、いまや映画界の話題を独占している神代辰巳。出演者も宮下順子、丘奈保美、芹明香、中島葵、絵沢萠子、吉野あいといったいままで、神代作品のなかで好演、名演、熱演を示してきた女優陣、殿山泰司、江角英明、蟹江敬三、益富信孝、前野霜一郎、高橋明らの芸達者の男優陣をそろえている。
また、この作品のタイトル画、風俗考証などには、このほど文春漫画賞を受賞した漫画家滝田ゆうがあたって作品の重厚さを加味している。
あらすじ
シマ子は玉の井の特飲店「小福」で働いている売春婦。どういうわけか刺青をしている男に弱く、自分も太モモに花札の桜の刺青をしている。現在はやくざの志波と馴染みを重ねている。新春を迎え、4月1日から売春防止法が発令されることに。公子は正月早々下町のアパートに住む松田と結婚するために辞めた。昨年の正月に繁子が1日に26人の客をとったと聞いた直子は、13人を済ませたばかりだが、繁子の記録を破ろうと大張り切り。帳場の親父から、酔っぱらい相手には“また火鉢”で温めるのがいいと聞かされた女たちが、早速、大火鉢に股がって客を相手にすると効果は抜群、男は次々と終ってしまう。一方、シマ子は、バクチ場から志波の使いが来て金を届けるように伝えられたので、客の了解を得て金を届ける。その帰り路、後を尾けて来た若い男に挑まれるが、勝気な彼女はハネつける。その頃、新婚旅行から帰って来た公子が「小福」に現れた。公子は松田では欲求が満されない、洗って帰れば判らない、といいながら客と一緒に部屋へ上ったので、女将はあきれ顔。一方、直子は他人のことなどかまっていられない。さっと済ませては次の客……と大奮戦。売防法の発令を前に、酔客と女たちの肉の取り引きが火花を散らす勢いで続けられていった。
キャスト
丘奈保美
芹明香
中島葵
吉野あい
絵沢萠子
蟹江敬三
江角英明
益富信孝
吉川義範
殿山泰司
前野霜一郎
五條博
粟津號
高橋明
河野弘
織田俊彦
庄司三郎
清水国雄
小見山玉樹
伊豆見英輔
谷文太
佐藤了一
賀川修嗣
影山英俊
山岡正
陽気で哀しい女たちのエピソードを長回しと音で巧妙につなぐ語り口。
昔買っておいたビデオを再見。映画館でも見たな。
舞台は売防法施行前夜の玉の井(昔の墨東寺島町)。「小福」という売春宿で働く女たちの正月の数日間を描いた映画である。
宮下順子は、どういうわけか刺青をしている男にヨワい女。バクチ打ちでヒロポン中毒の蟹江敬三をヒモにし、自分も腿に花札の桜の刺青をしている。蟹江から離れることができず、金を工面するためにアクセサリーを同僚に売り、賭場に金を届けるが、蟹江に素っ気なくされ、賭場の廊下で自慰にふける。

股火鉢のシーン
丘奈保美は、昨年の正月に先輩の中島葵の去年の正月に一日で26人も客をとったと聞いて、その記録を破ろうと大はりきり。帳場の殿山泰司から酔っぱらい相手には股火鉢が効くと聞かされた女たちは、早速、大火鉢にまたがって客を相手にすると効果は抜群、男は次々と終ってしまう。果たして、丘の記録更新はなるのか。
──と、まあ陽気で哀しい3つのエピソードが同時進行で交互に語られる。
のっけから始まるシーン(現天皇と皇后の軽井沢のテニスの写真がインサートされている)は、布団の上での丘の「仕事」の一部始終から、客を追い出して階下までを一気に見せる長回し。2つのまったく関係ないシークエンスをつなぐ音やカットの使い方は神代辰巳独特のものだが、相米慎二も得意としたやり方である。
さて、この映画の翌々年のこと、宮下順子と絡んでいた前野霜一郎という俳優は、ロッキード事件の渦中にあった右翼の児玉誉士夫邸2階にセスナで突っ込むことになる。隣室にいた児玉は秘書らに背負われて一命を取り留めた。セスナは庭木に接触したため寝室を逸れて隣の茶室に突入したのだった。特攻服に身を包んで七生報国の鉢巻をしていた前野の最後の言葉は「連絡しないで申し訳ありませんでした」「天皇陛下万歳」という落ち着いた無線連絡だったという。
記憶によれば、この事件に対する当時の風潮は、必ずしも否定的なものではなく、どちらかというと同情的であり、賛美する向きすらあった。
赤線玉の井 ぬけられますを観るには?
赤線玉の井 ぬけられます 作品情報
監督 – 神代辰巳
脚本 – 神代辰巳
原作 – 清水一行(徳間書店刊“赤線物語”より)
撮影 – 姫田真佐久
照明 – 直井勝正
録音 – 秋山一三
美術 – 横尾嘉良
編集 – 鈴木晄
助監督 – 鴨田好史
時間 – カラー/78分/ワイド・サイズ
配給 – 日活
公開年月日 – 1974年9月21日
赤線玉の井 ぬけられますの原作(清水一行)
昭和33年の廃止まで全国に知られた赤線玉の井で働く女たちが繰り広げる痴態を、明るさも暗さも取り混ぜて描いた異色作。嬌声と笑いに満ちた性の巷の傑作人間喜劇!(武蔵野次郎)
脚本 – 神代辰巳
原作 – 清水一行(徳間書店刊“赤線物語”より)
撮影 – 姫田真佐久
照明 – 直井勝正
録音 – 秋山一三
美術 – 横尾嘉良
編集 – 鈴木晄
助監督 – 鴨田好史
時間 – カラー/78分/ワイド・サイズ
配給 – 日活
公開年月日 – 1974年9月21日





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