ドラマ2010年代のドラマ2011年のドラマ

名前をなくした女神

4.5
尾野真千子(名前をなくした女神) ドラマ
尾野真千子(名前をなくした女神)

今、試される親子の絆|試されたのは子役の演技力

イヤハヤ…先週予想した通り、早速、子供たちがコワレ始めた。
羅羅(DQNネームである)ちゃんの憎々しさは、まああんなものだろうけど、健太君の涙ボロボロは、すごい演技力だなー。
どんな子供にとってもママは絶対で、感情の動きを敏感に察知する。
倉科カナの憎悪を汲んだ羅羅ちゃんもしかり、お金を持たされていないから外食できず、体調を心配されて妊娠を疑われる尾野真千子の、早く帰らなきゃ!という焦りを敏感に察するメガネの爽君もしかりである。
かなりいい子の部類に入る、りょう家の海斗・空斗兄弟はまだ大丈夫だが、木村佳乃家のレイナちゃんはお父さんの薫陶が怪しい。8個の飴を3人で分けるにはどうすればいいのか悩んでいる彩香ちゃん(小林星蘭に、彩香が3個欲しいならそう主張して相手を説得しろ、とけしかける父親である。ビジネスハックに凝りかたまった、イマドキの成功者をよく表した父親像であらん。
ほんとにこんな親がいるのかなあ。

次回は悪夢のお茶会との由ww

お受験ママたちの赤い涙|杏はヒロインではなく登場人物の一人に過ぎない

尾野真千子の息子・爽君が泣きながら、「おとうさんが…おこっています、おかあさんが…ないています」と文章を作るくだりは、前々回の健太君の「仲間はずれは…ボクです!」と同じであり、なぜこの演出を二度繰り返したのかがわからない。
東郷チャイルドスクールは、まるで子役の集団面接会場のようだ。

4人のママたちをほぼ均等に追っているから、エピソードは満載であり、それぞれがどうつながっていくのかも容易に予想できるから、サスペンスが否応なしに高まる仕掛けである。

木村佳乃バカにするなを罵って喫茶店の席を立つ場面で、どうしたのかしらとオロオロする杏を、無神経すぎる、尾野真千子が冷静に指摘する。
ダークサイドに落ちかかっているし、他人の顔色を敏感に察知する毎日を送っている尾野ならではの台詞、という形をとってはいるが、ほとんどの視聴者は、ここでこの指摘をもっともだと思ったはずだ。
麿顔の夫・高橋一生に、尾野が妊娠していると吹き込んだのも浅墓すぎるし、覚えていないにしても、同級生だった尾野の名をかたくなに呼ばず、尾野の目の前でりょうを名前で呼ぶという態度も、わざとやってんのかと思わせる。
泥棒猫騒ぎでの立ち回りにしても同様で、ママ友のドロドロ交際に免疫がないとかいう以前に、おそらく女子校育ちの木村、尾野にとっては当然の想像力が欠如しているのである。杏は共学の出身で、しかも比較的男の多い環境で暮らしてきたということなのだろう。
杏が演じる秋山侑子というキャラクターにどうにも我慢がならない視聴者も、一定以上存在するはずだ。その意味で、このドラマはママの数だけ感情移入できる多元的な構造をもっている。

さて、ことあるごとに倉科カナの攻撃に絶体絶命に陥る杏であるが、おそらく今後クライマックスまでの間に形成されていくのは、りょうとの対決関係だろう。
今回の話で杏はりょうのネットショップを手伝うことになったが、メールの転送によって自宅でも仕事ができるということになっていた。
これが決定的な伏線となって事件が起こるはずである。
これにKEIJI(EXILE)の浮気もからんで、りょうのネットショップが何か危機に陥ることを意味するが、予想はまだできない。

夫の浮気といえば、平山浩行も何を考えているのかわからない。和食が好みで、子供のときは煮しめだけで何杯もおかわりをしたというこの男は、実の子である彩香ちゃんと同じ年頃の男の子とアパート住まいをする、地味な女との家庭をもつ二重生活を送っているようだ。その笑顔にはあまり屈託も危機感もなく、どういう心臓なのかよくわからない。

そして麿顔の高橋一生のセクハラ暴露文書。部下はなぜわざわざ尾野真千子に知らせに来たのだろうか。

最後に、今週の見どころは、尾野真千子が唇をゆがめて涙を流すシーンと、山本道子が嫁・木村佳乃に、「ニョーボーノセイダカラネ」と節をつけて嫌味を言うシーンであった。

ついに来た!最大の危機|ヒロインは尾野真千子

タイトルの「最大の危機」というのはりょうとの訣別のことではなく、捨て鉢になった尾野真千子が健太君の手をひいて山に消える事件のことだった。初回の冒頭で映っていた登場人物はこの二人だったのである。

よく見ればこのドラマもすでに6回であり、クライマックスだから、もはやあれこれストーリーの中心を動かすのは難しいのかもしれない。
りょうの「ジョーカー」コンビの仲はこわれることはなく、尾野真千子が再生していく物語が中心になるように思える。
実際、尾野の登場シーンは回を重ねるごとに増え、今や杏を上回るのではないか。「名前をなくした女神」のヒロインが尾野であることが決まった回であった。
尾野真千子は河瀬直美の映画で知られてはいるものの、わりと地味な映画を中心に活動している、基本的にマイナーな女優なのだが、このドラマによって、まさにブレイクしつつある過程に入ったと言っていい。

まず、ヒロインとして、尾野はすでに絶体絶命の受難状態である。
麿顔の夫・高橋一生はDVでセクハラで痴漢という、夫としては減点されまくりでマイナス点。その影響で幼稚園での尾野の立場は瓦解し、登園拒否に陥る。父親がハラスメントにまみれていることが公知になれば、お受験も失敗は必至。心の友の杏に一緒に考えようと言われて涙まで流したのに、裏切た上に、いっこうに「一緒に考え」ているような様子はない。
息子には「なんでお母さんの子供なんだ!」と言われてしまう始末だし(お庭でお弁当を広げるシーンは今回の白眉だった)、そう言われて死にたくなるほどの罪悪感がある、といった按配である。
救いは、杏憎しということで夫婦の意思が一致するところで、この皮肉な状態は次回もヒートアップするようだ。

尾野の不幸にくらべれば、杏の置かれた状況など、もはや霞んでしまう。
これまでの流れのほとんどは杏が尾野に憎まれるためのものであり、木村佳乃はもはや杏を憎んだりする余裕もない。
木村に関していえば、幼稚園前での倉科カナの策略で杏が窮地に陥るのを見て、「またこの子は…」というウンザリ感を出しているのが面白い。しかし遠足でのお弁当はやっぱり倉科と食べるのであり、倉科がくっついてくるせいもあるのだろうが、結局木村はこうした権謀術数(笑)が日常的だったような環境に慣れているのである。それこそたぶん女子高、女子大(山吹女子学院)という環境だろう。

幼稚園最大のスキャンダル|木村佳乃のフェロモン

あれほどメインを張っていた尾野真千子の出演時間が、激減してしまった。間違いなく前半のヒロインであった扱いを考えると、反動としても、いささか極端である。

今回は珍しく「1か月後」というテロップが出たのだが、これはつまり夏休みがあったということを意味する。
ママ友地獄も夏休みだったのであり、つまり顔を合わせなければ事件は何も起こらない。そして尾野はこの1か月の間、日がな一日ソファにへたりっぱなしだったわけだ。
相変わらず髪をほどいたままのプロフィールが美しいのだが、これでは、すでにうつ病を発症していると言える。
次の人事まで自宅で待機するように、と言われた麿顔の夫・高橋一生が、通勤を再開したがどうかはよくわからないが、相変わらずセクハラを否定していたので、まだ「次の人事」は発表になっておらず、したがって自宅待機の状態が続いているのだと考えられる。
「次の人事」とはいつなのか、10月か、それとも3月か。銀行って、役所じゃあるまいし、そんなに悠長なものだろうか。
次第に「いい人」感を漂わせるようになってきた高橋であるが、これでセクハラが寃罪だということになると、バスの中で女子高生の尻を触っていた事件の意味が不明になってしまう。
どうするつもりか。

タイトルとURLをコピーしました