風花

小泉今日子(風花)
小泉今日子(風花)

鳴海章の恋愛小説(1999年6月11日講談社刊)を原作として、相米慎二監督により2001年に映画化。同年9月に他界した相米監督の遺作。製作はビーワイルド、テレビ朝日、TOKYO FM。配給はシネカノン。北海道を舞台としたロードムービーとなっている。主演は小泉今日子と浅野忠信。

風花の原作


帰る場所のない女と男と……。喪失と再生の物語――恋人から別れを告げられ、落ち込む廉司に、追い打ちをかけるように、会社から突然、リストラの宣告。同僚との送別会で泥酔した廉司だが、なぜか目が覚めた時、隣に寝ていた見知らぬ女=風俗嬢レモンと、一緒に旅することになった。希望を失い、自暴自棄になった男と女が、人生を取り戻していく道程を描く、感動の長篇。

風花の原作を読んだ人の感想

  • 性描写が生々しすぎて、余り好きではなかった。もうすぐ中学生になる息子を持つ母としては、男の子の頭の中はこんな感じなの⁉️とショックを受けた。
    Shinryo4(読書メーター)

  • 丁寧に情景や心象描写がされているが、主人公の一挙一動を細かく書きすぎて、少ししつこく感じてしまった。
    シスターさんの感想(ブクログ)

  • 少し長い物語なので、途中少しダレてしまう感があるのは否めないが、最後まで読んでみて欲しい。
    (honto)

映画 風花

あらすじ

満開の桜の樹の下で目覚めた男と女。男は文部省のエリート官僚・澤城廉司。女は30過ぎの風俗嬢・富田ゆり子。澤城はエリートながら酒を飲みだすと止まらず、必ず記憶をなくす。いまは酒で失敗し謹慎中。この日も、ここがどこなのか、隣の女が誰なのかさっぱり分からない。しかし、ゆり子の話では、彼女の故郷北海道への5年ぶりの帰郷に付き合うと約束したらしい。状況を把握できないまま澤城はゆり子とともに北海道まで旅をすることに……。

感想

積極的な意味もなく、見た映画を比べること。

というのも、偶然、「快盗ルビイ」と「風花」という2本の映画をあまり時間をおかずに見てしまった結果、端的に前者が予想以上につまらず、なにより小泉今日子をまるで魅力なく撮っており、「風花」では同じ女優のシーンひとつひとつにおける空気から表情がただごとではなかったからだ。

これは、「快盗ルビイ」がヘンリー・スレッサー風の 「おしゃれ」で現実ばなれした映画であり、一方の「風花」が、夫を亡くし子供を捨てて東京へ出奔した若妻の歓迎さらざる帰郷を描く「シリアス」な映画であることとは、まったく関係がない。
小泉今日子のピンサロ嬢などやっぱりあまりリアリティないのだが、それでも配役をオーバーフローする小泉の存在はまぎれもなく映画的なのだ。
ヒッチハイク 溺れる方舟」などと比べものにならないほどいきいきと北海道を描く「風花」は、小泉を撮るために、実際はアルコール不堪症らしい浅野忠信をべろんべろんの最悪な酒癖男として旅の道幸に添える。

「快盗ルビイ」では、新境地をねらった真田浩之を小泉今日子の相棒とするのだが、この演技は舞台向きで映画的ではなく、ここでも明暗が分かれてしまうことになる。



キャスト

冨田ゆり子(レモン):小泉今日子
澤城廉司:浅野忠信
美樹:麻生久美子
ゆり子の母:香山美子
風俗店店長:尾美としのり
廉司の上司:小日向文世
廉司の父:寺田農
温泉宿の親父:柄本明
温泉宿のおっさん:綾田俊樹
温泉宿の若い男:酒井敏也
住職:高橋長英
隣席の男:木之元亮
冨田香織:山本真亜子
冨田重之:鶴見辰吾(友情出演)
空港の芸能人:椎名桔平(友情出演)
カエルの声:笑福亭鶴瓶(声の出演)

スタッフ

監督:相米慎二
原作:鳴海章
脚本:森らいみ
撮影:町田博
美術:小川富美夫
照明:木村太朗
編集:奥原好幸
音楽:大友良英
選曲:浅梨なおこ
タイトルデザイン:葛西薫
現像:IMAGICA
スタジオ:日活撮影所
製作者:若杉正明、早河洋
企画:木村純一、古川一博
プロデューサー:椎井友紀子
特別協賛:志摩機械株式会社
企画協力:有限会社ムスタッシュ

映画 風花を観た人の感想

  • はかなさのなかに未来を見せ、どん底に落ちた二人がもがきながらもゆっくりと再生していく姿を幻想的ともいえる映像と軽妙なリズム、そしてどこか落ち着いたムードを醸し出しながらつづられるしっとりしたロードムービーという感じでした。
    映画感想「風花」(相米慎二)(くらのすけの映画日記)

  • 映画『風花』では、子どもの過渡期のあとの”大人”が描かれます。なんとか”子ども”は生き抜いた、されど現実は甘くない、”大人”の世界にも絶えず「死」はあるんですね。
    【映画】『風花』意味を求めて【相米慎二監督作品】(映画ブログ【心と映画と】)

  • “再生”のドラマとはなりますが、全編を通して“死”の影を色濃く感じます。
    没後20年・作家主義 相米慎二『風花』/名古屋でシネマ⑫(『シネマ de もんど』 ももじろう2号のブログ)

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