すべての終わりの感想
見終えてからネットで感想を渉猟してみたら「観るな」の嵐で、基本、情報なしに映画を観る口としてはこういうのは困ってしまう。もっとも、あまりに評判が悪いからといった理由で本作を観る人も多いようだ。
シアトルに旅立つ婚約者サム(カテリーナ・グレアム)をシカゴ空港で見送った足で、主人公ウィル(テオ・ジェームズ)が義父母宅の晩餐に呼ばれるところから映画は始まるのだが、のっけから、両者の折り合いが悪いことを知っているのに、なぜ単身で敵地に乗り込むことになったのかが謎である。しかも、じつはウィルには結婚とサムの妊娠を知らせるというミッションがあったのだが、案の定それを果たせぬまま晩餐は終わったのだった。
元海兵隊の義父トム(フォレスト・ウィテカー)の目には、弁護士のウィルが頼りなく見えるらしく、シカゴから遠いシアトルに二人が住もうとしているのも気に入らない。シアトルで音信を断ったサムを救出するために、この二人がシカゴからシアトルまでの3000kmをキャデラックで横断するロードムービーとして映画は続いていく。
西海岸で何が起こったのかは明らかではなく、テレビやネットなどの電波は遮断され、途切れ途切れの短波から聞こえてくるのは「第三次世界大戦」「北朝鮮」「中国」などの不穏な単語のみ。軍は高速道路を閉鎖し、戦闘機が超低空で飛んでいる。
そんな中で早々に暴徒に襲われ、トムはあばらを折り、車も破損。二人は先住民居住区で車を修理、修理工リッキー(グレイス・ドープ)が同行することになる(なぜこの娘を連れていこうとするのか、まったく意味がわからない)。
三人は旅を続けるが、自分たちのせいで横転した車を放置したり身勝手な判断を繰り返すトムに、リッキーはついていけない様子。その後、ウィルの友人宅を訪ねたり(このエピソードの意味も不明)、燃え盛る山の中でのガソリン争奪戦などがあり、リッキーはとうとう逃げ出してしまう。何のために投入されたキャラクターなのか?
最後まで見るとそれがクライマックスだったことに気づくのだが、橋を封鎖する地元の武装集団との戦闘が唐突に始まる。当初は銃に弾をこめることもできなかったウィルはいつのまにか「マトリックス」並みの運転技術と射撃術を身につけており、みごと封鎖を突破。しかしトムはあばらの傷が悪化し、ついに死んでしまう。キャデラックも壊れ、ウィルはトムの遺体ごとキャデラックに火を放ち、その後いろいろあって、出発後6日目にウィルはシアトルに到着する。
雪のように灰が降るシアトルの描写は圧巻ではあるが、そんなに手間をかけたものとは思われない。サムは隣人ジェレマイアに保護されていたのだが、この男は陰謀論者で、今起こっているのは自然災害ではなく人工的なものだと主張する。またサムに横恋慕してウィルを撃とうとしたため、ウィルは彼を射殺し、おりしも襲ってきた土石流から逃れて、サムとひたすら車を飛ばすのだった。
というところで映画は唐突に終わり、エエーということになる。原題「How it ends」は、世界の終わりのことではなく、この唐突な「(映画の)終わり方」を指しているのでは、と勘ぐりたくなる。
上記したとおり、意味不明の登場人物リッキーをはじめ無駄なエピソードが多く、本作は駄作の誹りを免れえないだろう。死に際にトムがウィルを認めるくだりなども埋没している。ラストのジェレマイアも不要な人物であり、しかしそうやって削ぎ落としていくと、ほとんど何も残らない映画なのである。
一連の異常現象(コンパスが狂い、空にオーロラ、渡り鳥の異常行動など)の原因は最後まで明示されないのだが、さしあたり最後に主人公たちを襲っているのは土石流らしいので、これはカスケード山脈の噴火(セントへレンズを含めアメリカで噴火というといつもここである)、もしくはオレゴン州沖のアレクシアル海中火山の噴火ではないかと考えられる。知らんけど。
すべての終わりのあらすじ
弁護士ウィルの婚約者サムがシアトルで音信不通に。サムを救うため、ウィルは険悪な仲の義父のトムと異変の続くシアトルへ車で向かう。軍の封鎖や暴徒の襲撃を乗り越え、道中で修理工の女性リッキーを仲間に加えるが、天変地異による磁気の狂いや事故が彼らを追い詰めていく。途中の町での友人との再会やサムの留守電録音が焦燥感を煽る中、ガソリン強盗との死闘があり、心を折られたリッキーは去り、残されたウィルとトムは満身創痍で西へと進み続けるが…
すべての終わりを観るには?
すべての終わり キャスト
トム(サムの父親で元海兵隊) – フォレスト・ウィテカー
サム(ウィルの婚約者) – カテリーナ・グレアム
ポーラ(トムの妻、サムの母親) – ニコール・アリ・パーカー
リッキー(先住民解放区に住む整備士) – グレイス・ドーヴ
メグ(ウィルの友人の妻) – ケリー・ビシェ
ジェレマイア(サムの隣人) – マーク・オブライエン
すべての終わり 作品情報
脚本 – ブルックス・マクラーレン
製作 – タイ・ダンカン、ポール・シフ、ケリー・マコーミック、パトリック・ニュウォール
製作総指揮 – ダニエル・ベッカーマン、イアン・ディマーマン、ブルックス・マクラーレン、ニック・メイヤー
音楽 – アトリ・オーヴァーソン
撮影 – ペーテル・フリッケンバリ
編集 – ジェイソン・バランタイン
製作会社 – ポール・シフ・プロダクションズ、シエラ/アフィニティ
配給 – Netflix
公開 – 2018年7月13日
上映時間 – 113分


