1982年のドラマドラマ1980年代のドラマ

時間の習俗(1982年版)

3.5
藤真利子(時間の習俗) 1982年のドラマ
藤真利子(時間の習俗)
時間の習俗(1982年版)は、『松本清張の時間の習俗』というタイトルで、1982年6月19日 21:02-22:53にTBS系列「ザ・サスペンス」枠で放送。原作では相模湖だった第一の殺人の舞台を浜名湖に設定している。

時間の習俗ってどんなドラマ?

『点と線』の続編的な、同じく三原紀一(萩原健一)と鳥飼重太郎(井川比佐志)のコンビが、北九州の和布刈神事と鎌倉を結ぶ「写真トリック」と「アリバイ」に挑いた一作。ショーケンこと萩原健一が音楽まで手掛けたエッジの効いた清張ドラマで、従来の清張ドラマのイメージを覆す萩原健一ならではの危うさと野性味を帯びた刑事が鮮烈。萩原健一と「ドンジュアン・ロックンロールバンド」が音楽を担当しており、サスペンスドラマでありながらロックの鼓動を感じさせる演出。北九州・門司の神事を舞台にしたロケと富本壮吉監督(大映テレビ出身の巨匠)による重厚な映像が、トリックの冷徹さと対照的に描かれてる。

あらすじ

関門海峡に面した門司市の古社・和布刈神社において、旧暦元旦の未明に行われる「和布刈神事」に対する、写真撮影が殺到していた。他方、浜名湖畔で交通関係業界紙の編集人・土肥武夫の死体が発見された。宿の中居は土肥が女性連れだったと言うが、女性の行方は不明だった。
三原警部補は土肥の交際人物のリストから、行動に作為の感じられる建設会社重役の峰岡周一に着目するが、峰岡には完全なアリバイがあった。

キャスト

三原紀一(警視庁の警部補) – 萩原健一
鳥飼重太郎 (福岡県警の刑事) – 井川比佐志
峰岡周一 (建設会社重役) – 中谷一郎
松村友子 (幼稚園の先生で三原の恋人) – 藤真利子
紺野桂子(峰岡の秘書) – 山口いづみ
土肥武夫(記者) – 川辺久造
土肥の妻 – 谷口香
土肥の上司 – 高原駿雄
吉村「ゲイボーイ – 松原留美子
大橋警部(静岡県警の警部) – 福田豊土
本部長 – 原田樹世土
刑事 – 山本清
刑事 – 伊東達広
刑事 – 小林尚臣
幼稚園の先生 – 藤木聖子
幼稚園の先生 – 姉崎公美
旅館の女将 – 絵沢萌子
旅館の仲居 – 神保共子
ナレーター – 寺田農

感想

清張は登場人物の使い回しを嫌ったそうだが、本作は「点と線」の三原・鳥飼コンビが再登場している珍しいパターンで、これは掲載誌「旅」の編集長の要望に押し切られたらしい。ただの時刻表トリックではつまらないと考えた清張は門司の和布刈神事を重要な場面として取り入れた。「俳句をやる人ならよく知る神事」とされているが、本作でも門司の旅館中居が「はあ?」と言っているように、地元の人でさえいつ行われているか知らない神事だったのではないか。本作によって全国的に有名になったのだと思う。

本作はショーケンと藤真利子の濡れ場から始まるという異色の清張ドラマでもある。情事のあと、ぐったりしていたショーケン(三原警部補である)が警察からの電話に慌ただしく出ていくのを藤は恨みがましく送り出す。彼女は幼稚園の先生なのだが、どうやら亡父が警察関係者だったらしい。

事件は、交通関係情報誌(掲載誌「旅」を念頭に置いているのだろう)の編集長の死体が浜名湖畔で発見され、同行していた女が姿を消したというミステリーである(「女」は名古屋のゲイボーイだったことがのちに判明する)。ショーケンは建設会社重役の峰岡(中谷一郎)に狙いを定めるが、峰岡は事件前日に九州出張中で当夜は門司の和布刈神事を撮影しており、さらに翌朝、旅館の中居を記念撮影していた。九州から浜名湖へ移動して犯行を行い、再び門司へ戻って中居を撮影することはできるが、それでは神事を撮影することはできない。ショーケンは辛抱強くこのアリバイ崩しに挑むことになる。

定期券売り場の目撃情報から購入者を一人ずつ当たって工場勤務の男を特定。男がカメラマニアで俳句が趣味だったことから、所属していた俳句誌に辿り着き、男が和布刈神事を撮影し、そのフィルムを現像に出した工場で、定期券を身分証として中谷がプリントを受け取ったことを突き止める。この一連の地道な捜査描写は清張ミステリの醍醐味をよく再現している。

ところで、実は半睡状態で観ていたので、中谷一郎の秘書の山口いづみが訳ありな感じだった理由がわからないまま終わってしまった。あれは犯行に気づいていたということなのかな。

時間の習俗 作品情報

企画:霧プロダクション
脚本:岡本克巳
監督:富本壮吉
音楽:萩原健一、ドンジュアン・ロックンロールバンド
助監督:息邦夫
撮影技術:小林節雄
照明:山川英明
編集:田賀保
現像:東京現像所
美術:川崎軍二
プロデューサー:千原博司(大映テレビ)、忠隈昌(TBS)
企画:春日千春(大映テレビ)、樋口祐三(TBS)
製作:大映テレビ、TBS

時間の習俗の原作(松本清張)

フィルムに写った、確かなアリバイ。『点と線』の名コンビが、再び「巧緻な犯罪工作」を覆す。痛快、思わず安堵の「アリバイ崩し」。
神奈川県の相模湖畔で交通関係の業界紙の社長が殺された。関係者の一人だが容疑者としては一番無色なタクシー会社の専務は、殺害の数時間後、遠く九州の和布刈(めかり)神社で行われた新年の神事を見物し、カメラに収めていたという完璧すぎるアリバイに不審を持たれる――。
『点と線』の名コンビ三原警部補と鳥飼老刑事が試行錯誤を繰返しながら巧妙なトリックを解明してゆく本格推理長編。

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