『バチ当たり修道院の最期』ってどんな映画?
場末のクラブ歌手が麻薬のオーバードーズで死んだ恋人の容疑から逃れるために駆け込んだ場所。そこは、世間の常識から完全にドロップアウトした尼僧たちが暮らす、あまりにも不道徳で愛おしい修道院だった――。ペドロ・アルモドバル監督が初期に放った、毒気とポップな色彩が炸裂するキッチュでアヴァンギャルドな異色コメディ『バチ当たり修道院の最期』だ。
神に仕える神聖な場所のはずの修道院にいるのは、名前からして尋常ではない癖だらけの尼僧たち。
クラブ歌手のヨランダ(クリスティーナ・サンチェス・パスクァル)を温かく、いや、どこか邪な情熱を持って迎え入れる尼長(フリエタ・セラーノ)は、なんと重度の麻薬中毒。さらに、中庭で密かにトラを飼っている「墜落尼」(カルメン・マウラ)、売れないポルノ小説を偽名で執筆している「どふねずみ尼」(チュス・ランブレアベ)、LSDのトリップに耽る「肥溜尼」(マリサ・パレデス)など、世間の倫理観を笑い飛ばすような型破りな顔ぶれが次々と登場する。
見どころは、侯爵夫人からの献金がストップし、資金難で閉鎖へと追い込まれていく修道院を、彼女たちがそれぞれのやり方でなんとか維持しようと奮闘する「ハチャメチャな悪あがき」。カルメン・マウラやマリサ・パレデス、セシリア・ロスといった、のちに監督のミューズとなる名女優たちが、のちの洗練された佇まいからは想像もつかないほど泥臭く、エネルギッシュに「はみ出し者の聖域」を演じている。尼長がヨランダへの狂おしい愛と執着に身を焦がし、恐喝にまで手を染めて暴走していく中盤からの展開は、おバカ度満点でありながら、どこか哀愁が漂う。赤やピンクといった情熱的な色彩が画面を彩り、厳かなはずの礼拝堂でボレロが歌われ、麻薬の煙が立ち込める。
カトリックの国スペインのタブーを軽々と踏みにじりながら、どんなにみっともなくても、孤独に抗って生きていく人間を全肯定する。アルモドバルの原点ともいえる、パンク精神と狂気の愛がギュッと詰まった、一度観たら忘れられないカルト的な魅力に満ちた一作。
あらすじ
スペインのある修道院は、資金難で閉鎖寸前だった。そこの修道女たちは、なんとか修道院を維持しようと努力する。そこへ恋人をヘロイン中毒で死なせて警察に追われる身になった、ナイトクラブの歌手・ヨランダがやってきた。
キャスト
尼長 – フリエタ・セラーノ
墜落尼 – カルメン・マウラ
どふねずみ尼 – チュス・ランブレアベ
肥溜尼 – マリサ・パレデス
メルセデス – セシリア・ロス
アルモドバル初期の傑作。なんという映画を撮るのだ。
恋人を死なせたヤク中のクラブ歌手が転げ込んだ修道院が舞台で、待ち受けた院長は主人公を部屋に案内するや、いきなり腕をまくってヘロインを打つ。尼僧たちは虎を飼ってたり(この大きな虎がかわいい!)、官能小説を書いていたり。ちなみに、それぞれの呼び名(あだ名ではない)は肥溜め尼、ドブ鼠尼、堕落尼、毒蛇尼などである。イッちゃってる女を描いたら天下一品のアルモドバルだが、ここまでメチャクチャな設定にもかかわらず、たんたんと筋を進めるのは並大抵のバランス感覚ではないと思う。
ウーピー・ゴールドバーグの『天使にラブ・ソングを』などとは比較にならぬほど楽しい尼僧映画である。
特典として収録されている予告編も傑作。
『バチ当たり修道院の最期』を観るには?
『バチ当たり修道院の最期』作品情報
脚本 – ペドロ・アルモドバル
製作 – ルイス・カルボ
音楽 – カム・エスパーニャ
撮影 – アンヘル=ルイス・フェルナンデス
編集 – ホセ・サルセド
配給 – ユーロスペース
公開 – スペイン:1983年3月10日、日本:1989年12月9日
上映時間 – 114分

![\バチ当たり修道院の最期[DVD]はコチラ/](https://dramatic-impress.net/wp-content/uploads/91-2y3xe3L._AC_SL1500_-726x1024.jpg)


コメント