『テッセラクト』ってどんな映画?
混沌とエキゾチシズムが交錯するタイ・バンコクの街を舞台に、偶然手にした謎のビデオテープから始まる、現実と虚構が逆転していく悪夢の旅路。映画『ザ・ビーチ』の原作者として世界中を熱狂させたアレックス・ガーランドの幻の同名小説を原作に、『アイズ』などでJホラーにも通じる独特の恐怖演出を確立したアジアの鬼才オキサイド・パン監督が映画化。巧みな時間軸の交差と、登場人物たちの嘘がじわじわと剥ぎ取られていく冷酷な真実が交錯する、スタイリッシュな異色群像心理サスペンス。
見どころは、バンコクのじっとりとした湿気と、登場人物たちの剥き出しのパラノイアがシンクロしていく、逃げ場のない心理サスペンス。オキサイド・パン監督とパトリック・ニーテによる脚本は、バラバラの視点から同じ時間を何度も巻き戻し、パズルのピースを埋めるように事件の全貌をあぶり出していく。取引の裏切り、隠された大金、そして「決して人には言えない過去の嘘」。異国の迷宮で、誰が敵で誰が味方かも分からない孤立無援のパニックへと追いつめられていく。張り詰めた緊張感の中で、それぞれの選択が他者の運命を残酷に狂わせていくサスペンスの連鎖。
ジョナサン・リース=マイヤーズのキレ味鋭い演技と、パン監督ならではの先鋭的なビジュアルセンスが融合したアジアン・ノワールだ。
あらすじ
バンコクのうらぶれた安ホテル。イギリス人の麻薬密売人ショーン(ジョナサン・リース=マイヤーズ)は、地元の冷酷なギャングのボスとの取引を控え、極限の焦燥と孤独のなかにいた。時を同じくして、同じホテルには、タイの子供たちの過酷な現実を調査しているイギリス人女性研究者のロサ(サスキア・リーブス)や、ストリートチルドレンの少年ウィット(アレクサンダー・レンデル)、そして謎めいた雰囲気をまとう美女(レナ・クリステンセン)らの姿があった。一見、何の繋がりもないはずの彼らだったが、ひとつの狂気的な事件をきっかけに、その運命は目に見えない蜘蛛の巣のように絡み合い始める。
キャスト
感想
原作・俳優はイギリスから、監督はタイから、そして製作・宣伝は日本人(ファントム・フィルムというのは「アメリ」を買い付けた叶井俊太郎の会社である)という、ちょっとした多国籍チームである。
四次元うんぬんというフレーズは、元の予告編には見当たらない。しかし原作の題が「四次元立方体」だからなあ。
付録の監督・俳優インタビューでは、4人の俳優が透明な立方体の中に入ってプロモーション用の写真を撮影されているシーンを見ることができる。
香港生まれのオキサイド・バンの演出、画面設計は、かなり手馴れており、安定感すら感じさせる。企画的に最大の焦点であった脚本にも目だった破綻はない。
原作者アレックス・ガーランドは「ビーチ」「28日後…」を書いた人で、ジョナサン・リース・マイヤーズは「28日後…」の主演男優だ。心理学者を演じるレナ・クリステンセンに好感。
バンコクは15年ほど前に訪れたことがあるが、ちょっとイメージがちがって無国籍アジア風である。イギリス人向けにエキゾチックに撮ってるのか。
『テッセラクト』を観るには?
『テッセラクト』作品情報
監督 – オキサイド・パン
製作 – 楠部孝、甲斐真樹、スージュン
製作総指揮 – 河村光庸、松本洋一、宮里一義
原作 – アレックス・ガーランド
脚本 – オキサイド・パン、パトリック・ニーテ
撮影 – デーチャー・スィーマントラ
編集 – オキサイド・パン
音楽 – ジェームズ・イハ
配給 – アーティストフィルム、ファントム・フィルム
公開 – 2007年6月19日
『テッセラクト』の原作
舞台はマニラ。うらぶれたホテルで、ギャングのボスを疑心暗鬼から射殺してしまうショーン。人々の心に渦巻く欲望と絶望。めらめらと燃える生と死の感覚。唯一、読者だけに覗き見ることを許された世界とは?

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