瀧内公美(敵)
瀧内公美(敵)
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『敵』は、2025年1月17日公開。脚本・監督は吉田大八、主演は長塚京三。本作は全編モノクロで撮影が行われた。

『敵』ってどんな映画?

人生の最期を、美しく静かに生きる。はずだった男の日常に現れた、見えざる“敵”とは——。

文豪・筒井康隆の同名小説を、『紙の月』『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が映画化。
熟練の老後を過ごす元教授のもとに、ある日突然忍び寄る不穏な気配と不条理な「敵」を描いた、シュールでスリリングな心理サスペンス映画。
老いか、孤独か、あるいは世界そのものか。
美しいモノクローム(または洗練された映像美)で紡がれる、ユーモアと恐怖が背中合わせとなった極上の不条理サスペンス作品。

あらすじ

元大学教授の渡辺儀助(長塚京三)は、妻に先立たれ、古風な一軒家で静かに一人暮らしを送っている。自炊し、書物を読み、几帳面で美意識の高い整った生活を慈しむ彼だったが、ある日、自宅のパソコンの画面に見覚えのないメッセージが届く。
「敵がやってくる」——。
身に覚えのない不気味な警告を皮切りに、穏やかだった彼の日常のバランスが少しずつ崩れ始める。実体のある侵入者なのか、それとも自身の老いや孤独が作り出した幻影なのか。不可解な現象と妖しい人々に取り囲まれ、渡辺は正体不明の“敵”との対峙を余儀なくされていく——。

キャスト

渡辺儀助 - 長塚京三
鷹司靖子 - 瀧内公美
菅井歩美 - 河合優実
渡辺信子 - 黒沢あすか
渡辺槙男 - 中島歩
犬丸健悟 - カトウシンスケ
髙畑遊
二瓶鮫一
髙橋洋
唯野未歩子
戸田昌宏
松永大輔
椛島光則 - 松尾諭
湯島定一 - 松尾貴史

感想

「PERFECT DAYS」に続いてルーティーン物を観てしまった。

とはいえ、こちらでは老人(長塚京三)の日常が混濁していくさまが微視眼的に描かれ、次第にルーティーンとは言えないものに変質していく話。

主人公の儀助は、ルーティーンを変えずに生活を続けたら資産がいつ尽きるのかを計算し、自裁までのタイムリミットを過ごしている老人である。思わずあっけにとられてしまうほどみみっちいこの滑稽さが、原作の面白さであり、幼児返りのような無自覚な執着を誤魔化したり、厚顔無恥な開き直りで見ないふりをしたりする、老人ならではのいやらしさを自虐的に描くのは、筒井康隆の面目躍如といったところだ。

ルーティーンを守ることは、儀助が専門とするフランス近代演劇のラシーヌに重ねられ(厳格な秩序やルールに基づいた世界)、それによって儀助は生活を完全にコントロールできていると自分自身に示して自己認識(プライド)を守るのだが、バー「夜間飛行」で出会った河合優実がデュラスの名を口にするように(河合はラシーヌの「フェードラ」が好きだとあからさまに儀助を誘惑する)、まるで原節子のような教え子(瀧内公美)へのコントロールしきれない欲望の気配が忍び寄る。庭の井戸はまだ枯れていないのかもしれないと示唆され、同時に罪悪感も生まれる。そして、いつまでたっても瀧内への欲望を成就できないことの苛立ちと、河合に300万円を騙し取られて残り時間を一気に崩壊させてしまいたいという矛盾した欲望が同時に立ち上がる。

こうしたルーティーンそのものを食い破ろうと侵食してくるのが敵ならん。

『敵』を観るには?

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『敵』作品情報

監督 – 吉田大八
脚本 – 吉田大八
原作 – 筒井康隆
製作 – 小澤祐治、江守徹
音楽 – 千葉広樹
撮影 – 四宮秀俊
編集 – 曽根俊一
制作会社 – ギークサイト
製作会社 – 「敵」製作委員会
配給 – ハピネットファントム・スタジオ、ギークピクチュアズ
公開 – 2025年1月17日
上映時間 – 108分

『敵』の原作

思い出そうとすればするほど消えてゆく夢のように、書き綴ろうとすればするほど非現実化する現実――。
渡辺儀助、75歳。大学教授の職を辞して10年。愛妻にも先立たれ、余生を勘定しつつ、ひとり悠々自適の生活を営んでいる。料理にこだわり、晩酌を楽しみ、ときには酒場にも足を運ぶ。年下の友人とは疎遠になりつつあり、好意を寄せる昔の教え子、鷹司靖子はなかなかやって来ない。やがて脳髄に敵が宿る。恍惚の予感が彼を脅かす。春になればまた皆に逢えるだろう……。哀切の傑作長編小説。

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