日本のいちばん長い日

戸田恵梨香(日本のいちばん長い日)
戸田恵梨香(日本のいちばん長い日)
X Facebook B! はてブ
『日本のいちばん長い日』は、2015年(平成27年)、半藤一利のノンフィクションの原田眞人による48年ぶりの再映画化(最初に映画化したのは1967年の岡本喜八版)。

『日本のいちばん長い日』ってどんな映画?

太平洋戦争末期。降伏か本土決戦か——。歴史が動いた24時間の舞台裏を描く重厚な歴史群像劇。

半藤一利のノンフィクション決定版を原田眞人監督が映画化。
1945年8月15日の玉音放送に至るまでの緊迫した閣議や陸軍内部の混迷、降伏を阻止すべくクーデターを企てる若手将校たちの葛藤を迫力のスケールで描き出した傑作史劇。

あらすじ

1945年7月、連合国からポツダム宣言受諾を迫られた日本。連日の空襲と原爆投下により国が荒廃する中、内閣総理大臣の鈴木貫太郎(山﨑努)と外相・海相らは無条件降伏による戦争終結を模索していた。しかし、本土決戦による一戦交えての終戦を訴える陸軍大臣・阿南惟幾(役所広司)ら陸軍幹部との間で閣議は難航を極める。
8月14日、昭和天皇(本木雅弘)による歴史的な「御聖断」が下り、降伏の決意と玉音放送の録音が決定。これに反対する陸軍省の畑中健二少佐(松坂桃李)ら若手将校たちは、放送阻止と戦争継続を目指してクーデター(宮城事件)を決行。皇居を占拠し、玉音盤の捜索を始めるが——。

キャスト

阿南惟幾(陸軍大臣) - 役所広司
昭和天皇 - 本木雅弘
鈴木貫太郎(内閣総理大臣) - 山﨑努
迫水久常(内閣書記官長) - 堤真一
畑中健二(陸軍少佐、軍務課員) - 松坂桃李
■宮中
香淳皇后 - 池坊由紀
木戸幸一(内大臣) - 矢島健一
平沼騏一郎(枢密院議長、元首相) - 金内喜久夫
藤田尚徳(侍従長) - 麿赤兒
三井安彌(侍従) - 植本潤
入江相政(侍従) - 茂山茂
徳川義寛(侍従) - 大藏基誠
戸田康英(侍従) - 松嶋亮太
永積寅彦(侍従) - 岩寺真志
岡部長章(侍従) - 中村靖日
侍従 - 山田啓二
蓮沼蕃(侍従武官長) - 姉川新之輔
保科武子(女官長) - 宮本裕子
■内閣
米内光政(海軍大臣、元首相) - 中村育二
東郷茂徳(外務大臣) - 近童弐吉
安井藤治(国務大臣) - 山路和弘
左近司政三(国務大臣) - 鴨川てんし
下村宏(情報局総裁) - 久保酎吉
■外務省
松本俊一(事務次官) - 長澤壮太郎
■陸軍
梅津美治郎(陸軍大将、参謀総長) - 井之上隆志
田中静壹(陸軍大将、東部軍管区司令官) - 木場勝己
高島辰彦(陸軍少将、東部軍管区参謀長) - 奥田達士
森赳(陸軍中将、近衛師団長) - 髙橋耕次郎
芳賀豊次郎(陸軍大佐、近衛師団第二連隊長) - 安藤彰則
東条英機(陸軍大将、元首相) - 中嶋しゅう
杉山元(元帥、前陸軍大臣) - 川中健次郎
土肥原賢二(陸軍大将、教育総監) - 清水一彰
大城戸三治(陸軍中将、憲兵司令官) - 平岡秀幸
吉積正雄(陸軍中将、軍務局長) - 桂憲一
荒尾興功(陸軍大佐、軍務課長) - 田中美央
水谷一生(陸軍大佐、近衛師団参謀長) - 香山栄志
林三郎(陸軍大佐) - 柏村栄行
井田正孝(陸軍中佐、軍務課員) - 大場泰正
竹下正彦(陸軍中佐、軍務課員、阿南陸軍大臣の義弟) - 関口晴雄
椎崎二郎(陸軍中佐、軍務課員) - 田島俊弥
稲葉正夫(陸軍中佐、軍務課員) - 小林且弥
白石通教 (陸軍中佐) - 本郷壮二郎
古賀秀正(陸軍少佐、近衛師団参謀) - 谷部央年
窪田兼三(陸軍少佐、通信学校教官) - 青山草太
佐々木武雄(陸軍大尉、横浜警備隊長) - 松山ケンイチ(特別出演)
上原重太郎(陸軍大尉、航空士官学校教官) - 松浦海之介
藤井政美(陸軍士官学校附属大尉) - 戸塚祥太(A.B.C-Z)
■海軍
豊田副武(海軍大将、軍令部総長) - 井上肇
大西瀧治郎(海軍中将、軍令部次長) - 嵐芳三郎
岡田啓介(海軍大将、元首相) - 吉澤健
古川(海軍少佐、米内海相副官) - 原田遊人
■阿南家
阿南綾子(阿南陸軍大臣の妻) - 神野三鈴
阿南喜美子(阿南陸軍大臣の長女)- 蓮佛美沙子
阿南惟晟(阿南陸軍大臣の次男) - 三船力也
阿南惟道(阿南陸軍大臣の五男) - 稲田都亜
秋富(阿南喜美子の婚約者) - 渡辺大
■鈴木家
鈴木たか(鈴木首相夫人) - 西山知佐
鈴木一(首相秘書官、鈴木首相の長男) - 小松和重
鈴木布美(一の妻) - 小野愛寿香
鈴木孝雄(鈴木首相の弟) - 福本清三
■NHK
館野守男(NHK放送員) - 野間口徹
保木玲子(NHK放送局員) - 戸田恵梨香(特別出演)
NHK放送局員 - 赤間麻里子
■その他
絹子(陸軍大臣官邸の女中) - キムラ緑子

感想

原作者・半藤一利の基本スタンスは「陸軍の独善的なエリート参謀たちが日本を滅ぼした」というものだが、このノンフィクションでは、その「陸軍という悪の組織」を内側から命がけで抑え込んだ防波堤として、阿南惟幾陸相が美化・称揚されている。

阿南という人は御前会議で「本土決戦」を叫び続けた人として知られるが、半藤は、そのふるまいが陸軍の暴走(クーデター)を抑えるための腹芸だったと書き、鈴木貫太郎首相をそれに乗った大狸として描いている。本作は、この二人に昭和天皇を加え(一撃講和論を唱えたことが矮小化されている)、3人の親子(父親=鈴木、長男=阿南、次男=昭和天皇)が「奇跡的に終戦を成功させた(日本が滅びずに済んだ)」という至極ブンガク的な物語である。

この点、本作(2015年の原田眞人版)も1967年の岡本喜八版も同じで、どちらもクライマックスで阿南が割腹自決する。
本作での役所広司は静かな自決シーンは、システムに翻弄された「一人の誠実な人間の孤独な幕引き」という趣だが、岡本喜八は、このシーンに大日本帝国陸軍という怪物の終焉を重ね、目をギラギラさせた三船敏郎が苦悶の表情を浮かべながら首の頸動脈を突き刺すまでをダイナミックに演出した。

いずれにせよ、阿南は暴走し続けた陸軍全体の罪を引き受け、天皇への忠誠を示すための殉教者だったという見立てであり、「そうまでしなければ解体できなかった陸軍という組織の異常性」を際立たせるのが半藤の狙いと言える。

『日本のいちばん長い日』を観るには?

※配信サービスは記事投稿時点のもので、配信が終了している場合があります

『日本のいちばん長い日』作品情報

監督 – 原田眞人
脚本 – 原田眞人
原作 – 半藤一利『日本のいちばん長い日 決定版』
製作総指揮 – 迫本淳一
音楽 – 富貴晴美
撮影 – 柴主高秀
編集 – 原田遊人
制作会社 – 松竹撮影所
製作会社 – 「日本のいちばん長い日」製作委員会
配給 – アスミック・エース、松竹
公開 – 2015年8月8日
上映時間 – 136分

『日本のいちばん長い日』の原作

あの日、日本で起きた事。起きなかった事──。
30万部突破の傑作ノンフィクション!
昭和二十年八月六日、広島に原爆投下、そして、ソ連軍の満州侵略と、最早日本の命運は尽きた…。しかるに日本政府は、徹底抗戦を叫ぶ陸軍に引きずられ、先に出されたポツダム宣言に対し判断を決められない。八月十五日をめぐる二十四時間を、綿密な取材と証言を基に再現する、史上最も長い一日を活写したノンフィクション。
文藝春秋の〈戦史研究会〉の人々が『日本のいちばん長い日』を企画し、手に入る限りの事実を収集し、これを構成した。いわばこれは〝二十四時間の維新〟である。しかもそれは主として国民大衆の目のとどかないところでおこなわれた。──大宅壮一「序」より

こちらの記事もどうぞ

ご感想、ご意見をお待ちしています