ハン・ヒョジュにはもっと活躍してほしかった(毒戦 BELIEVER2の感想)
前作に引き続き謎のカリスマ「イ先生」をめぐるストーリーだが、前作のラストではリュ・ジョンヨルがイ先生であるような示唆があり(つまりイ先生は存在しない)、雪原の小屋をロングで捉えたチョ・ジヌンとの対決で終わっていた。
本作はその続き(シークォール)でも、前日譚(ブリクエル)でもない、ミッドクエルというストーリー構成となっている。つまり前作のラストシーンとその直前までのシーンの間に、本作が挟まっているため、前作ラストシーンの意味が変わり(本作ではイ先生はノルウェーにいる)、観る者は混乱する。さらにリュ・ジョンヨルが演じた主要キャラを別な俳優が演じているのでなおさらわかりづらい(脚本が原因という説もある)。
さて、本作を観た目的はもともと「ハピネス-守りたいもの-」のハン・ヒョジュ 出演作を見ることだったので、ずいぶん遠回りをしたことになる。ヒョジュが演じるのはイ先生を父親のように慕う再側近ビックナイフで、そばかすだらけの外連味たっぷりのキャラ作りで、期待を煽るわりに、いささかあっさり死にすぎたのは残念。大きなレンズの眼鏡(老眼鏡?)はイ先生のものなのだが、ちょっとかっこよくないな…
舞台は韓国からタイ、ノルウェーと拡大しているが、実際には全部CGではないかと思う。
チャ・スンウォンは本作にも引き続き出演。
毒戦 BELIEVER2 見どころ
前作『毒戦 BELIEVER』の続編で、行方不明となった麻薬組織の裏切り者ラクの行方と、麻薬王「イ先生」の正体を追い続ける刑事ウォノの執念を描く。
- 前作で語られなかった空白の期間と新たな展開
前作クライマックスのヨンサン駅での血みどろの戦いから、物語の結末に至るまでの空白の期間を描く「ミッドクエル(Mid-quel)」。前作のモヤモヤとした結末の間に何があったのか、そして「イ先生」の真の正体とは何だったのか。 - チョ・ジヌン演じるウォノ刑事のさらなる執念
前作に引き続き、チョ・ジヌンが麻薬組織のボス「イ先生」を追い続ける執念の刑事ウォノを演じる。ブライアン逮捕後に姿を消したラクを探し続け、実態がつかめない麻薬組織の核心へとさらに深く、そして狂気的なまでに迫っていく。 - 新旧キャストの化学反応と怪演
前作でリュ・ジュンヨルが演じたラク役に代わり、オ・スンフンが抜擢。ラクの無機質でミステリアスな雰囲気を引き継ぎつつ、新たなアプローチでキャラクターを表現。再び姿を現すブライアン役をチャ・スンウォンが演じ、前作以上に狂気を帯びたキャラクターを熱演。中国から取り分を回収しにきた「ビッグナイフ」ことクンカル役をハン・ヒョジュが演じ、これまでの清純なイメージを覆す残忍でタフなヴィランぶりを披露。 - サスペンスとアクションの融合
前作のダークな世界観とバイオレンス描写はそのままに、各キャラクターの思惑が複雑に交錯する緊張感あふれるサスペンス、激しい銃撃戦や肉弾戦が繰り広げられるアクションが絶妙に融合。 - 「真のイ先生」の謎
最大の謎「イ先生」の正体に、より具体的に迫るのが見どころ。前作ラストで明確に示されなかった部分が補完され、観客の疑問が解消される。
トリビア・撮影裏話など
- 韓国映画としては初めて、前作の「途中」を描く「ミッドクエル」という挑戦的な形式を採用。ペク・ジョンヨル監督は、「ストーリーをパズルのように合わせていく試みが魅力的だった。『毒戦 BELIEVER』をやっと完成させる1つのパズルになる、という考えで参加した」と語る
- クンカル役のハン・ヒョジュは、これまでのイメージを覆すために、役柄に合わせた歯のディテール(黒ずみや黄ばみ)や爪の表現にまでこだわり、撮影中もその荒れたキャラクターになりきるために努力した
- 舞台は韓国だけでなく中国、タイ、ノルウェーへと広がり、国際的なスケールで展開
- 前作ラストシーンの解釈は観客に委ねられていたが、その疑問に答えを出す描写が含まれている
- Netflixでの独占配信となったことで、表現の自由度が広がり、より過激で容赦ない描写が可能になったと監督がコメントしている
リュ・ジュンヨルからオ・スンフンへのラク役の交代は公開前から大きな話題となり、賛否両論を呼んだが、オ・スンフンは彼なりの解釈で難役を演じきり、新しいラク像を作り出そうとした
毒戦 BELIEVER2の人物相関図
毒戦 BELIEVER2の人物相関図
毒戦 BELIEVER2 あらすじ
ヨンサン駅での血みどろの戦いを経てイの組織と消えたラクを追うウォノ、再び姿を現したブライアン、そして新たに登場したビッグナイフの息詰まる戦いを描く。ウォノがブライアン逮捕後に姿を消したラクを探し、実態がつかめない麻薬組織の核心へと迫る。