『15時17分、パリ行き』ってとんな映画?
2015年にアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリス内で発生したタリス銃乱射事件と、事件に立ち向かった3人の若者を描く。主演の3人は実際にタリス銃乱射事件に巻き込まれた3人を本人役として起用。キャッチコピーは『その時、3人の若者が乗ったのは運命の列車だった』。
あらすじ
2015年8月21日、アムステルダム発の高速列車タリスが目的地のパリへ向けて出発した。フランス国境内に入ったのち、突如イスラム過激派の男が自動小銃を発砲し、車内はパニックに。恐れた乗務員が乗務員室へ逃げ込むなか、同乗していたヨーロッパ旅行中のアメリカ人の3人の若者が、500人を超える乗客を守るために立ち上がる。
タリス銃乱射事件とは
1月の「シャルリー・エブド襲撃事件」(テロリストが編集長、風刺漫画家、コラムニスト、警察官など12人を殺害)、11月の「パリ同時多発テロ」(死者130名、負傷者300超)など、2015年はフランスでのテロ事件が相次いだ年であった。タリス銃乱射事件もそのひとつである。
2015年8月21日、乗客554名を乗せたアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリスの車内トイレでイスラーム過激派の男が自動小銃AK-47に弾丸を装填した。その音に気づいた乗客がトイレから出てきた男を取り押さえようとしたが、男は発砲し、フランス系アメリカ人の乗客は重傷を負った。
乗客のアメリカ軍人2名と、アメリカ人大学生、フランス在住のイギリス人ビジネスマンの男性が男を取り押さえ、制圧に成功した。アメリカ空軍の軍曹はナイフで切り付けられ、首と手を負傷した。
鉄道乗務員は乗務員室に逃げ込み、乗客たちが扉を叩いても扉を開かなかったといい、乗客は誰もが殺されることを覚悟したという。
アメリカ人3名は友人、幼馴染で、オレゴン州軍特技兵がアフガニスタン駐留から帰国祝いのヨーロッパ旅行でタリスに乗車していた。
犯人はモロッコ国籍の26歳のイスラーム過激派で情報機関にもマークされていた。所持していた武器はAK-47以外に複数のナイフ、拳銃。
フランス政府は、犯人を制圧したアメリカ人たちの行動を「非常事態において偉大な勇気を示した」と讃え、レジオン・ドヌール勲章が授与した。オバマ合衆国大統領も「英雄的な行動で悲劇を防いだ」と称賛し、ホワイトハウスに招待した。
軍人たちは、事件後軍務に復帰している。アレック・スカーラトスは共和党から下院選挙に出馬し、オレゴン州4区から当選した。
ネタバレ感想
イーストウッド88歳の作で、老境に至って関心を深める「実在の英雄」を描いた映画である。ただ、アメリカではサスペンスを求める客からは酷評された。これは主役の3人(本人がキャストされた)の演技に加え、観光のシーンなどが長く、肝心の事件シーンまで延々待たされたことによる。
「グラン・トリノ」などでも無名の俳優をあえて起用しているが、元来イーストウッドは俳優への演技指導に関心がないと言われる。本人を起用したのは事件の正確な再現を重視したからだろうか(事件シークエンスでは3人以外の乗客も本人が起用されている)。そう思うと、むしろ俳優を起用せずにここまでのものを撮れることに驚くべきではないのか。
AK-47を構えた男が1号車に侵入した時点でアレクは「今だ、行け」とスペンサーをけしかけているが、どう見ても犬死にのタイミングである。しかし男の銃はなぜか不発だったためスペンサーは得意の裸絞めに持ち込めた。弾が出なかったことは「奇跡だ」の一言で片付けられており、こうした伏線皆無の細かな事実の積み重ねがサスペンスを超えた緊迫感を生み出している。
『15時17分、パリ行き』を観るには?
『15時17分、パリ行き』作品情報
キャスト
アンソニー・サドラー(本人)
アレク・スカラトス
ジョイス・エスケル(スペンサーの母) – ジュディ・グリア
ハイディ・スカラトス(アレクの母) – ジェナ・フィッシャー
アイユーブ・ハッザーニ(銃乱射事件の犯人) – レイ・コラサーニ
マーク・ムーガリアン(列車の乗客、本人)
イザベラ・リサチャー・ムーガリアン(マークの妻、本人)
クリス・ノーマン
ヘンリー先生 – P・J・バーン
コーチ・マーリー – トニー・ヘイル
マイケル・エイカーズ校長 – トーマス・レノン
少年時代のスペンサー – ウィリアム・ジェニングズ
少年時代のアンソニー – ポール=ミケル・ウィリアムズ
少年時代のアレク – ブライス・ガイザー
リサ – アリサ・アラパッチ
スタッフ
脚本 – ドロシー・ブライスカル
原作 – ジェフリー・E・スターン、スペンサー・ストーン、アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス『The 15:17 to Paris: The True Story of a Terrorist, a Train, and Three American Soldiers』
製作総指揮 – ブルース・バーマン
製作 – ジェシカ・メイヤー、ティム・ムーア、クリスティナ・リヴェラ、クリント・イーストウッド
製作総指揮 – ブルース・バーマン
音楽 – クリスチャン・ジェイコブ、トーマス・ニューマン
撮影 – トム・スターン
編集 – ブル・マーリー



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