『ザ・ウォッチャーズ』ってどんな映画?
あらすじ
ペットショップで働く28歳のアーティストのミナは、インコを動物園に届ける道中で突然車が故障し、地図にない不気味な森に迷い込む。辺りを見回し車に戻るが、乗ってきた車が消えてしまう。どこか避難できる場所がないか探索していると、森の中にガラス張りの部屋を見つける。そこには既に、年齢の異なる男女3人がいて、毎晩訪れる謎の“何か”に監視されることになる。
感想
シャマランの未見作だと思ったら娘の作品だったでござる。イシャナは「オールド」「ノック 終末の訪問者」でセカンドユニット監督を務めており、本作がデビューとなる。制作は父親。なお、シャマランにはもうひとり娘がいて、それが「トラップ」で歌姫を演じたサレカ・ナイト・シャマラン。イシャナはサレカのMVのほとんどを撮っているという。
中盤は撮影が難しそうな鏡張りの部屋が中心なのだが、うまくトリックが使われている。4面ある壁のひとつが鏡張りという構造は舞台のように見え、4th Wallという言葉が浮かんでくる。つまり観客もまたウォッチャーズと同様に彼らをWatchしているわけだ。リアリティショーとはそういうものである。
中ダレが激しいのだが、終盤は以下でネタバレするような畳みかけ&3重底のどんでん返しがあり、後味は悪くない。
ネタバレ考察
ダコタ・ファニングは、15年前の母親の事故死を自分のせいだという罪悪感を苛まれている。
彼女は出口のない森をさまよい、ガラス張りの部屋(通称「鳥籠」)に迷い込むことになる。この森は彼女の罪悪感やトラウマの現れであり、物語は彼女がそのトラウマと向き合う過程を描くことになる。
鳥籠にはジョージナ・キャンベル、オルウェン・フエレ、オリバー・フィネガンという老若男女がおり、3つのルールをダコタに説く(このルールを守らないと死ぬ)。
- 監視者に背を向けてはいけない
- 決してドアを開けてはいけない
- 常に光の中にいろ
ガラス(日が暮れるとマジックミラー化して、外からは見えるが内側は鏡になってしまう)の向こうの暗い森から、ウォッチャーズが夜な夜な人間たちを観察している。一種のリアリティショー的な趣向で、タイトル「監視者」が改めて示される。
父親の映画だったら、それ以上の説明はないところだが、本作では(あまりぴんと来ないものの)以下のような説明がなされる。
この難攻不落の「鳥籠」を作った「教授」(ジョン・リンチ)が残したビデオによれば、彼らはケルト神話やアイルランドの民間伝承に基づく、古代の種族、いわゆる妖精の変異種(取り替え子=チェンジリング)ということがわかる。かつて人間と共存していたが、人間から隠れる存在となったという。ここで観客は、いきなりダークファンタジーの世界に放り込まれることになる。
そもそも、彼らがなぜ人間を観察するのかというと、人間の生活や姿を模倣しようとしているためである(ダコタが運んでいる、鳥籠の中の黄色いジョウオウインコが口真似をするのはこのメタファーである)。ダコタは終盤に聖人復活のタペストリーを発見するが、文明が妖精とともにあったという壮大なファンタジーがここで提示されているのだ。
ウォッチャーズの存在は、本作に5年先立つジョーダン・ピールの「アス」の地底人を思わせる。というか、人間にそっくりな者として成り代わろうとするという点でそっくりである。
終盤、ようやくの思いで森を抜けることができた3人(ダニエルは捕まって逃げられなかった)。街道を行くバスに乗り込むところで終わるのかと思ったら、話はまだ続く。
まず教授の遺言(すべての記録を消去してほしい)を叶えるためにダコタは研究室を訪れ、論文を読んで、教授の妻がオルウェン・フエレと同じ顔であることを発見する。ダコタはジョージナの家に向かうが、案の定、オルウェン・フエレは来ていない。実は彼女はウォッチャーズと人間の混合種(ハーフリング)だったのだ(ハーフリングは変身能力に長け、日光も克服できる)。自在に顔姿を変えられるオルウェンがやってきて、2人は絶対絶命になるが、ハーフリングであるがゆえに他の妖精に追放されたのだろうとダコタに喝破され、ひるんで去っていく(ハーフリングはウォッチャーズの中でも異端なのだ)。
ラストは、街路の中に佇むハーフリングの少女を意味深に映して(ダコタもまたハーフリングかもしれないというほのめかし)、映画は終わる。
『ザ・ウォッチャーズ』を観るには?
『ザ・ウォッチャーズ』作品情報
キャスト
キアラ(神経質な女性) – ジョージナ・キャンベル
マデリン(鳥籠のリーダー) – オルウェン・フエレ
ダニエル(最年少の青年) – オリバー・フィネガン
ジョン(キアラの夫) – アリスター・ブラマー
ローリー・キルマーティン教授(鳥籠の創設者) – ジョン・リンチ
スタッフその他
脚本 – イシャナ・ナイト・シャマラン
原作 – A・M・シャイン『The Watchers』
製作 – M・ナイト・シャマラン、アシュウィン・ラジャン、ニミット・マンカド
製作総指揮 – ジョー・ホームウッド
音楽 – アベル・コジェニオウスキ
撮影 – イーライ・アレンソン
編集 – ヨープ・テル・ブルフ
製作会社 – ブラインディング・エッジ・ピクチャーズ、Inimitable Pictures
配給 – アメリカ: ニュー・ライン・シネマ、日本: ワーナー・ブラザース映画
公開 – アメリカ: 2024年6月7日、日本: 2024年6月21日
上映時間 – 102分



コメント