第3逃亡者ってどんな映画?
サスペンスの巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督がイギリス時代に手がけた傑作の一つ。ジョセフィン・テイの小説『ロウソクのために一シリングを』を大胆に脚色した、軽快かつスリリングなロードムービー的サスペンス。
ヒッチコック得意の「間違えられた男」のプロットが、若々しいデリック・デ・マーニーとノヴァ・ピルビームのコンビによって、ユーモアを交えて描かれる。ラストシーンで真犯人の「まばたき」を捉える驚異的なクレーンショットは、2026年の今見ても、映画術の極致として語り継がれるべき魔法のような名シーン。
警察署長の娘が容疑者を助けてしまうという設定の妙や、道中で出会う個性的な人々(特にウィルじいさん!)の描写など、イギリス時代のヒッチコックならではの魅力も詰まっている。
あらすじ
映画女優クリスティンの死体を偶然発見した青年ロバートは、殺人犯と誤解されて逮捕されてしまうが逃亡、警察に追われながらも、警察署長の娘エリカの助けを借りながら真犯人を探し出して自らの潔白を証明しようと奮闘する。
キャスト
エリカ・バーゴイン(警察署長の娘) – ノヴァ・ピルビーム
バーゴイン大佐(警察署長。エリカの父) – パーシー・マーモント
ウィルじいさん(事件の鍵を握る男) – エドワード・リグビー
マーガレット(エリカの叔母) – メアリー・クレア
ケント警部補 – ジョン・ロングデン
ガイ(クリスティンの嫉妬深い夫。ドラマー) – ジョージ・カーゾン
ベイジル(エリカの叔父。マーガレットの夫) – ベイジル・ラドフォード
クリスティン・クレイ(映画女優) – パメラ・カーメ
冒頭で海岸に死体が打ち上げられるシーン。後年の「鳥」を思わせる異様な緊張感。
原作のジョセフィン・ティは日本では「時の娘」で有名。他の翻訳はほとんどないのではないか。ストーリーはオーソドックスなミステリで、全体的に時代を感じさせるゆるゆるした展開なのだが、冒頭で海岸に死体が打ち上げられるシーンでは、飛んでいるかもめがパッと映る一瞬が挿入され、異様な緊張感をかもしだしている。
ヒチコックがお気に入りなのは、中盤の「伯母さんの誕生パーティに紛れ込んでしまい、逃げたいのになかなか逃げられない」というシークエンスであるらしいのだが、今見ると結構中だるみしていてわざとらしい。
有名なのはクライマックスのホテルのボールルームでのクレーン撮影。天井近くからパーティバンドとダンスする人々とテーブルについて真犯人を探しているノヴァ・ビルブームたちが俯瞰で映っているのだが、キャメラはぐぐーっと高度を変えてある一点に近づいていき、バンドでドラムを叩いている男の、しきりに目をしばたたかせている表情が画面いっぱいに広がる。
深夜、駅の操車場の列車の間に自動車を停めておいたが、寝坊したために、朝になって列車が皆いなくなってしまい、隠しておいたつもりの車が丸見えになってしまう、なんてくだりもちょっと面白い。
第3逃亡者を観るには?
第3逃亡者 作品情報
脚本 – チャールズ・ベネット、エドウィン・グリーンウッド、アンソニー・アームストロング、ジェラルド・サヴォリ(台詞)、アルマ・レヴィル(撮影用台本)
原作 – ジョセフィン・テイ『ロウソクのために一シリングを』
製作 – エドワード・ブラック
音楽 – ルイス・レヴィ
撮影 – バーナード・ノールズ
編集 – チャールズ・フレンド
製作会社 – ゴーモン・ブリティッシュ
配給 – イギリス:GFD、日本:IP
公開 – イギリス:1937年11月(ロンドン)、日本:1977年1月8日
上映時間 – 84分




コメント