『白い恐怖』ってどんな映画?
ヒチコックが精神分析をテーマに描いたサイコスリラーの先駆け的な傑作です。記憶を失い、自分が殺人犯だと思い込む男(グレゴリー・ペック)と、彼の無実を信じて愛し、治療しようとする精神科医(イングリッド・バーグマン)の姿を描く。
見どころはなんといってもサルバドール・ダリがデザインを手がけた「夢のシーン」の強烈なビジュアル。目玉が描かれたカーテンをハサミで切り裂くようなシュールな映像の不気味さ、美しさ。
アカデミー作曲賞を受賞したミクロス・ローザによるテルミンの音色を用いた音楽が、心理的な不安を際立たせる。名優マイケル・チェーホフ(演技指導者としても有名)のチャーミングな老教授ぶりも、緊迫した物語の中で素晴らしいアクセントになっている。
あらすじ
精神病院の新院長に着任したエドワーズ博士。女医のピーターソンは、その正体が記憶喪失の患者・ジョンであり、エドワーズ博士のふりをしていることを見破る。その理由が、エドワーズ博士を殺してしまったからだと思い込むジョン。彼の無罪を信じるピーターソンは、エドワーズ博士の謎の死を解明するべく奔走する。
キャスト
ジョン・バランタイン「彼」 – グレゴリー・ペック
アレックス・ブルロフ博士(コンスタンスの師) – マイケル・チェーホフ
マーチソン院長 – レオ・G・キャロル
メアリー・カーマイケル(患者) –
フルーロ医師 – ジョン・エメリー
ガームズ(患者) – ノーマン・ロイド
ホテル専属の探偵 – ビル・グッドウィン
グラフ医師 – スティーヴン・ジェレイ
ハリー(病院スタッフ) – ドナルド・カーティス
ホテルロビーの男 – ウォーレス・フォード
クーリー警部補 – アート・ベイカー
ガレスピー巡査部長 – レジス・トゥーミイ
ハニシュ医師 – ポール・ハーヴェイ
この映画以来、精神病をあらわすBGMにテルミンが用いられるのが定番になったそうであります。
ヒチコックの中では好きになれない映画。たぶんグレゴリー・ペックが気に入らないのだろう。売り出し中だったのをセルズニックが起用したとおぼしいが、どうも女々しい役が似合わない気がして、見ていていらいらしてしまう。
イングリッドのほうは眼鏡姿も美しい。すでに引退していたグレタ・ガルボを起用するという案もあったようだ。
精神分析をモチーフにした映画は当時の冒険であったと思われる。
原作の映画化権を得た上で入念な取材のもとに脚本を完成させ、ダリによる夢のシーンを撮ったが、当初はこれは20分以上もあったという。
窓の外に見える、雪の降った坂道に残るソリの痕を、映画を見ている観客にわかるように映すというのは、大変難しかったのではないかという気がする。
クライマックスの巨大リヴォルヴァーは、今見ると、ご愛嬌なのだが、映画館で上映された版には赤いフィルムが数コマ挿入されていたそうな。20年前に文芸坐で見たのは、どうだったかなあ。
『白い恐怖』を観るには?
『白い恐怖』作品情報
脚本 – ベン・ヘクト、アンガス・マクファイル
原作 – フランシス・ビーディング『The House of Dr. Edwardes』
製作 – デヴィッド・O・セルズニック
音楽 – ミクロス・ローザ
撮影 – ジョージ・バーンズ
編集 – ハル・C・カーン
製作会社 – セルズニック映画、ヴァンガード・フィルムズ
配給 – アメリカ:ユナイテッド・アーティスツ、日本:SRO/東宝洋画部
公開 – アメリカ:1945年12月28日、日本:1951年11月2日
上映時間 – 111分
『白い恐怖』の原作
1928年にジョン・パーマーとヒラリー・エイダン・セイント・ジョージ・ソーンダーズの二人が、フランシス・ピーディングのペンネームで発表した。人里離れた精神病院に着任した女性医師コンスタンスは、病院を管理する医師マーチスンに好意を抱く。だが、やがて次々に怪事件が起こり、恐怖が病院を染めてゆく…。ヒッチコック監督が映画化したサスペンスの名作。





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