風よ あらしよ

吉高由里子(風よ あらしよ)
吉高由里子(風よ あらしよ)
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『風よ あらしよ』NHK BS8Kにて2022年3月31日に、NHK BSプレミアムとNHK BS4Kの「プレミアムドラマ」枠にて同年9月4日~9月18日に放送。主演は吉高由里子。ドラマを再編集した映画『風よ あらしよ 劇場版』が2024年2月9日に公開された(制作・配給:太秦株式会社)。

『風よ あらしよ』ってどんな映画?

大正という激動の狂気、そして「国」という名の檻。男尊女卑の古い因習をぶち破り、己の情熱と意志を武器に社会の不条理なルールを解体しようとした女性たち――。直木賞作家・村山由佳の評伝小説を原作に、骨太な脚本と時代の空気感を切り取る演出による大正ロマン。

見どころは、思想の自由を弾圧する国家権力との戦い、そして活動家たちのエゴと歪んだ情愛が火花を散らす愛憎だ。らいてうの夫・奥村博史(成田瑛基)をはじめ青鞜社の面々が時代の死角で声をあげる中、野枝(吉高由里子)は辻潤(稲垣吾郎)との生活を捨て、アナーキストのカリスマ・大杉栄(永山瑛太)と運命的な出会いを果たす。しかし大杉には内縁の妻である堀保子(山田真歩)、独占欲の狂気を隠さない愛人・神近市子(美波)がおり、彼らが織りなす「四角関係」は、血塗られた刃傷事件という名の最悪のパニックを引き起こす。
さらに、国家の容赦ない弾圧がじわじわと迫る。同志たちが警察や新聞記者に監視される中で野枝は大杉との間に子をもうけ、命懸けの執念を燃やし続けるが、関東大震災が東京を襲った直後、憲兵大尉・甘粕正彦(音尾琢真)の冷酷な謀略が、野枝、大杉、そして幼い甥を追いつめていく――。
震災の煙が立ち込める憲兵隊の一室での吉高由里子の叫び、永山瑛太演じる危険なアナーキスト、稲垣吾郎、音尾琢真らによる重厚なサスペンスのアンサンブルが融合した歴史大作だ。

あらすじ

いまから100年余り前、自由を希求し、操り人形になることを拒んだ女性・伊藤野枝(吉高由里子)。彼女は、親が決めた許婚との因縁をぶち破って故郷・九州から出奔。上京後、才能を認めてくれた英語教師の辻潤(稲垣吾郎)と結婚し、その母・美津(朝加真由美)に支えられながら平穏を得るかに見えた。しかし、平塚らいてう(松下奈緒)が立ち上げた編集社「青鞜」の門を叩いたことで、野枝の日常は孤立無援のパニックと時代の激流へと一転する――。

キャスト

伊藤野枝(婦人解放活動家、文筆家) - 吉高由里子
大杉栄 (思想家、後の野枝の内縁の夫)- 永山瑛太
平塚らいてう(婦人解放活動家、文筆家) - 松下奈緒
神近市子(婦人解放活動家、ジャーナリスト、大杉の愛人) - 美波
村木源次郎 (アナーキスト)- 玉置玲央
堀保子(社会運動家、大杉の内縁の妻) - 山田真歩
甘粕正彦(憲兵大尉) - 音尾琢真
渡辺政太郎(社会運動家) - 石橋蓮司
渡辺八代 (政太郎の妻)- 山下容莉枝
辻潤(思想家、翻訳家、野枝の夫) - 稲垣吾郎
辻美津(潤の母親) - 朝加真由美
保持研 (俳人、青鞜社の同人)- 栗田桃子
尾竹紅吉(青鞜社の同人) - 高畑こと美
末松福太郎(野枝の許婚) - 池田倫太朗
福太郎の父 - 渡辺哲
田村記者(新聞記者) - みのすけ
奥村博史(画家・平塚の夫) - 成田瑛基
立花秀子(旅館の女将) - 池津祥子
近藤巡査 - 前原滉
中野初 (俳人、青鞜社の同人)- 福田ユミ
和田久太郎 - 金井勇太
久板卯之助 - 芹澤興人
大杉魔子 - 加藤柚凪
橘宗一 - 岩川晴

感想

冒頭、洞窟のような映像を背景に伊藤野枝が「青鞜」に掲載した「吹けよ、あれよ、風よ、嵐よ」という詩が朗読され、エンディングで再びそれがリフレインされて、それが伊藤と大杉栄が投げ込まれた井戸の底だったという救いのない構成になっている。

2話目でフェードアウトしたらいてう(松下奈緒)や日陰茶屋事件で有名な神近市子(美波)らは太平洋戦争後も昭和を生き抜き、婦人運動家として活躍していた姿をテレビで見ていたおぼろげな記憶がある。伊藤野枝も生き延びていたら同様の存在になっていたのかどうか(ずば抜けて金にだらしないからなあ…)。

美波(風よ あらしよ)

美波(神近市子)

思えば、吉高由里子が「花子とアン」で演じた村岡花子は伊藤野枝と2歳違いだから、同世代である。平塚らいてう、辻潤、大杉栄、渡辺政太郎といった重要人物が次々と登場するのだが、3話だけの「プレミアムドラマ」では駆け足にならざるを得ない。せっかくなら朝ドラ並みの長尺でこの時代の同時代性を描いてほしかった。それにしても本作は日清戦争と日露戦争の間を舞台にしながら、甘粕正彦が現れるまでほとんど戦争の空気が感じられない。やはり3話では足りない。

これも2話でフェードアウトした辻潤はその後も一生ろくな仕事もせずに放浪して生き、パリで1年かけて大菩薩峠を読破したり、宮沢賢治の才を見出したりしていたが、最後は1944年に上落合のアパートで餓死した。父親とともに野枝に捨てられた辻まことは父と母の著作に読みふけり、押し潰されそうになりながら詩人/画家になったのだが、のちに栄と野枝の長女魔子(加藤柚凪→「監察医朝顔」のつぐみちゃん)と邂逅し、母親の面影を見て関係した、と西木正明の「夢幻の山旅」という暴露小説に書かれている(らしい)。

加藤柚凪(風よ あらしよ)

加藤柚凪(魔子)

『風よ あらしよ』を観るには?

『風よ あらしよ』作品情報

原作 – 村山由佳「風よ あらしよ」(集英社刊)
脚本 – 矢島弘一
音楽 – 梶浦由記
制作統括 – 岡本幸江
演出 – 柳川強
時代考証 – 天野隆子
きつ音症考証 – 原由紀
所作指導 – 藤間貴雅
尺八指導 – 神令
書道指導 – 金敷駸房
軍事所作指導 – 越康広
福岡ことば指導 – 芳野友美
撮影協力 – 栃木県栃木市、鹿沼市、茨城県常総市、千葉県南房総市、白子町
資料提供 – 佐野市郷土博物館

『風よ あらしよ』の原作

明治大正を駆け抜けた婦人解放運動家、アナキスト伊藤野枝。その鮮烈な生涯を描き出す、圧巻の評伝小説!
作家デビュー30周年

明治28年、福岡県今宿に生まれた伊藤野枝は、貧しく不自由な生活から抜け出そうともがいていた。「絶対、このままで終わらん。絶対に……!」野心を胸に、叔父を頼って上京した野枝は、上野高等女学校に編入。教師の辻潤との出会いをきっかけに、運命が大きく動き出し──。野枝自身、そして野枝を巡る人々──平塚らいてう、大杉栄らの視点で織りなす、圧巻の評伝小説。第55回吉川英治文学賞受賞作。

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