明子が働くGSでに花形と左門が現れ、飛雄馬へのメッセージを託す。一方、懐かしの長屋に立ち寄った飛雄馬は一徹の狂気の算数に「トウチャンノバカ!」と叫んで夜の街へ逃走する。
マンションの窓辺に座り、昨夜の長屋での異常な体験を反芻する飛雄馬
「かえって84の怪物を100にするお手伝いをさせられそうだぜ・・・」
そこへ花形から花束が明子に届く。

「もしかしたら花形のやつ、姉ちゃんに惚れたのかもしれないぞ」
と飛雄馬の顔が明るくなる。

まあ、何をいうの(照)
「長いこと日影に咲き続けた姉ちゃんにも、春が来たんだよ! 彼は恋人として理想的な男だ、宿命のライバルとしてこの俺が保証するよ!」
早合点しないで――と明子は弟の手をふりほどき、

(可哀想な飛雄馬、自分の心が真っ暗だから・・・)
「もしそんな楽しいことになったら、俺が咲かせたたったひとつの花かもしれない・・・」
と飛雄馬は本当に楽しそうだったのに、

飛雄馬のばか!
「なんて情けないことをいうの! 父と子の二代にわたる戦いが、たかが姉一人の幸福のためだけにあっただなんて・・・」
明子は明子で、また、特殊なファンタジーの中にいるようなのだった。
「ふっ、姉ちゃんまでがスパルタか・・・」
「必要とあればね」
と明子はへたりこみ、
「姉さんなんかどんどん踏み越えて、あなたの栄光のための犠牲にしてもかまわないのよ」

一瞬、しらけた沈黙
(スパルタ宗教の域に入っている明子と、飛雄馬のしらけたリアクションの温度差が最高)
そういえば・・・と花形からの伝言を伝える明子だが、ここでも買いかぶりか、と飛雄馬は背を向ける。
その背中に向かって、明子は「あなたにお話しすることがあるわ」
「川上監督が、なぜあなたにあの背番号を贈ったか、考えたことなかったの?」

( ̄д ̄)エー
それは父ちゃんと監督の友情・・・
明子は、そのユニフォームを川上が持参した日に聞いた話を語り始める――
じつは川上は入団当時投手だったのである。
日華事変が始まってまだ1か月の頃、高校野球で活躍したが、当時の沢村、スタルヒンなどに霞んで投手としては大成しなかった。
昭和13年春の後楽園、スタルヒン先発で始まった阪神戦。
川上は5回にリリーフされるが、いきなり1球目から打たれ続けて3点を許し、あっという間に沢村に替えられてしまう。
春日原球場、明石球場、そして再びの後楽園球場でも川上は打たれ続ける。
鉄道員か百姓になっておけばよかった、とすら思うようになり、別府球場で代打を命じられるも、三振とふるわない。
活躍を楽しみにしている母からの手紙にも、なぜ試合に出ないのかと責められる。
同年8月、仙台青葉球場での練習中、ついに川上は外野行きを命じられる。
このままクビにしてくれたほうがよかとに…と絶望する川上だったが、荷物をまとめて故郷に帰ろうとしているところを、高校野球時代からの盟友・吉原に止められる。
打撃に生きるとたい!と勧められて再び猛練習に精を出し、一塁手に転向し、打撃一筋に生きるようになったのであった。
・・・と、ここまで何のことはない川上哲治物語で、大幅に話がズレている。
要は、投手志望だった川上の夢を継ぐのが背番号16というわけなのだった。
飛雄馬「やめてくれ、今の俺にはそれも買いかぶりだ」

この話は切り札だったのに・・・
屋上に駆けあがり、飛雄馬は期待の重さに苦悩するのだった。

次話ではこの屋上が重要な舞台に
飛雄馬がひたすら「まりつき」を始め、誰もが「気が狂った」と確信した。一徹とオズマは「そんな意気地なしは Go to Hell だ」と一蹴。飛雄馬はついに「大リーグボール2号」の閃きを得て正気を取り戻す。飛雄馬が投じた一球に、伴は「俺の目がー!」と驚愕する。(第122話|大リーグボール二号のヒント)




ご感想、ご意見をお待ちしています