前回の日記からはや半年が経ってしまった。
しかも書いたのは10月8日までの入院生活で、その後の11月7日~19日の摘出手術入院のことを書いていない(今カレンダーを確認しないと日付すら覚えていなかった)。最初の退院から手術までひと月あったわけだが、その頃の心境もよく覚えていない。家に帰ったら妻が食べ物を異様に制限しはじめて(退院前に管理栄養士からの食事指導レクチャーがあったのである)、家系ラーメンなどは一生食べてはいけないと言われ、閉口した記憶がある。
摘出手術
そして、手術はやっぱり苦しかった。
前の晩から泊まって朝からオペ室に連れてこられたときは、ちょっとドラマの場面のようで、それなりにワクワクしたのだが、案の定、麻酔であっという間に眠ってしまった。ICUのベッドで目を覚ましたときにはすでに翌日の明け方だった。
あとから聞いた話では、幼児の頃に処置した盲腸手術がかなりいい加減だったらしく、その後始末に相当の手間がかかったらしい。
痛みなどはないのだが、ガチガチにかためられて動けず、むくみ防止の靴下がごわごわして気持ち悪い。ペニスに管が通されて、尿意があるようなないような感じになっているのも不快だった。気にし始めると再び眠ることもできなくなり、まんじりともせずに病室に戻れる昼を待ったのだが、入院生活を通じて、そのときが一番つらかったような気がする。
……そして始まった二度目の入院生活については、もはやあまり覚えていない。
今度は窓際のベッドになったのだが、痛みのほうはさして気にならなかった。背中だったか腹だったかに何かが装着されていて、痛いときはそこから伸びているスイッチを押すと鎮痛剤(?)が注入されるのである。
一番記憶に残っているのは、隣の老人がやたらと騒ぐことだった。
この老人(といっても、漏れ聞こえる看護士との会話によれば、俺とたいして変わらないのだった)は、脳の外科手術を受けるために入院しているのだが、ここは一体どこなのか、なぜ入院することになったのかといった些事をすぐに忘れてしまうので、昼夜を問わず、「あのう……すみませーん……」と看護士を呼びつけては説明を乞うのである。ナースコールのボタンを頑強に使わないので、これがうるさいのである。
ひとしきり説明を受けてようやく眠ったかと思うと、今度は爆音のいびき(本当にすごい音なのだ)が始まるといった塩梅で、いい加減こちらがノイローゼになりそうだったので、眠剤を出してもらったのだが、これは意識が朦朧とするだけでちっとも安眠できるものではなかった(一度でやめてしまった)。
今回は、喫煙騒ぎも起こさず全体的に最後までいい子にしていたのだが、そういった事情で睡眠不足になったので、昼のうちに買っておいたカップワンタンを夜中に食べたりして、眠気が来るのを明け方まで待たねばならなかった。極秘ミッションのごとく詰め所の前を避けて(病床は回廊式になっている)、点滴スタンドを押してお湯を注ぎに面会ラウンジに行っていた。
最後のほうは、前述の鎮痛剤ボタンも点滴も外れたので、まったくフリーの状態で院内を歩き回ることができた(リハビリの人が来て、歩け歩けというので、ぐるぐる回廊を歩くのである)。
退院前に内視鏡検査をした、先立って、腸をキレイにするために食事を抜いてから2リットルの下剤を飲む。30分ほどかけて飲んではトイレに行くのだが、俺の場合、いくら飲んでもなかなかキレイにならないので困った。
そして検査は麻酔なしで、これは初めて経験するような苦しさだった。後ろからぐりぐりと突っ込んだカメラが曲がり角にさしかかるたびに、下痢の際に感じるような鋭く逃げ場のない痛みがあるので、気が気ではない思いをした。
抗がん剤が始まる
そして退院後、12月10に一泊入院して、再度、CTと内視鏡の検査をした。また下剤である。
以下は、その結果を受けての担当医師との会話である(もはや何日だったのかわからない)。
担当医師 今回、ポリープも全部取ってきました。で、まあ大腸に限らずですが、癌はステージ1から4まであって、それを決める要素は3つあります。
ひとつは、ガンがどれぐらいの深さまで大きくなっているか。内側の粘膜から大きくなってどんどん下に進んでいくので、それがどこまで行ってるのかということ。
次に、周りのリンパ節に何個の癌が乗っかってるのかということ。
そしていわゆる肝臓とか肺に遠隔転移していないかどうかということ。遠隔転位があったら、小っちゃい癌だとしても自動的にステージ4になります。逆にいうと、馬鹿でかい癌でも転移してなければステージ4にはなりません。
今回は転移していないので、ステージ1~3のどれかで、腫瘍の大きさ、リンパ節に飛んでいるのかどうかが診断要素になります。
まず大きさですが、取った中でも一番でかいものを基準にします。大きさとしては55mm台、5cm×4cmぐらいはありました。ここにT4Aと書いてありますが、Tは深さで1~4まであり、4はその外側の漿膜まで癌細胞がいってるけれども、周りの臓器には浸潤してないということです。外側の枠に顔を出すと周りの臓にくっつき出します。何もない所にあったので、顔出してるけど周りにはありませんでした。
次にリンパ節ですが、N1Aが1/22と書いてあります。リンパ節を22箇取ってきたうちの1個に癌細胞があったということです。というわけで、ステージは3。癌の大きさにかかわらず、リンパ節に一個でも癌が乗ってたら、ステージ3になります。
個人的には、ステージ3の中でもランクがあると思っています。
どういうことかというと、今回、大腸をパツパツンと取ってきたんですけど、これを用している客陥というのがこんな感じであるんですね。大腸の場合はリンパ節が3つに分かれるんですよ。感覚的に、要はこっちに行くと中枢はになってくるので。ここにリンパ節Tがあるのと、ここにリンパTがあったのではちょっと話が違う。正直、今回あった場所って、癌がある真横ぐらいのところに、銀が腫れてて、こことここはないんですよ。とはいえ、リンパ節に乗ってるのは間違いないので、 まあ不幸中の幸いかなと思うんですが。いずれにせよT3になってくるので。
それで、ステージ3の場合、補助的な抗がん剤治療の適用になります。リンパ節に癌細胞が乗っているので、もしかしたらもっと先のリンパ節にも癌細胞があるかもしれないので、それをやっつけるために抗がん剤をやりましょうと推奨されているわけです。
どういうことをするかというと、大体4、5ヶ月ぐらいかけて点滴と飲み薬の併用療法をします。1日目に3、4時間かけて点滴をし、その日の夜から2週間、薬を飲んで、その後は1週間お休み。これを1サイクルとして、全部で6サイクル続ける。
抗がん剤治療には副作用があります。一番多いのは手足のしびれですが、問題はそれが蓄積されていくことで、1サイクル目でポーンと出た症状が1週間お休みして一度良くなっても、2サイクル目でまたポンと出て、どんどん階段状にしびれが強くなってきます。冷たい風とか当たるだけで結構痛かったりします。あとは味がわからなくなることが多い。何でも同じ味がする、美味しくなくなるとか。これもその症状が残っちゃうんですよね、そういう抹梢神経障害とか味覚障害、あとは食欲がなくなっちゃったり、下痢が出ることもあります。そういった合併症が起きやすい。




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