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共犯者

3.5
とよた真帆(共犯者) ドラマ
とよた真帆(共犯者)
松本清張の短編小説(週刊読売1956年11月18日号掲載、1957年2月に『森鷗外・松本清張集』(文芸評論社)に収録)を原作に、「松本清張スペシャル・共犯者」のタイトルで2006年5月9日21:30-23:24に、日本テレビ系列「DRAMA COMPLEX」枠にて放映。主人公・共犯者ともに女性の設定。ほか、1958年に大映で映画化、また上記も含めて6度テレビドラマ化されている。

共犯者の感想

本作は最新のドラマ化ではなく、西荻弓絵が脚本を共同執筆している2006年版。
原作の主人公を女性に変えたところがオリジナルで、賀来千香子が演じている。その後の2015年版ドラマでも観月ありさが演じているのだが、本作では共犯者もとよた真帆と女性。賀来との組み合わせは何やら妖しげだ。

賀来といえば、90年代に立て続けにサスペンスものを主演した後に「まかせてダーリン」(98年)だったかでセックスレスに悩む妻を演じて以来、何かズレた役が多くなった印象がある。ところが、それを裏返したような「激流〜私を憶えていますか?〜」ではクライマックスで凄みのある演技を見せたので、なかなか油断できない。

賀来千香子(共犯者)


とよた真帆の方は、実は青山真治夫人だから、これも油断ならないのである。

共犯者の見どころ

  1. 清張原作を女性視点へ大胆な転換
    原作では男性が主人公だが、本作では賀来千香子演じる女性社長・内堀江梨子が主役。不正な手段で富を築いた女性の“暗部”を掘り下げるサスペンスに仕上がっている。
  2. 一攫千金から自己破滅への心理描写
    8年前に1億円を盗んで成功した江梨子。しかし、マスコミに“親密デート”が報じられたことで共犯者・町田夏海(とよた真帆)の影が浮上。信頼していた関係が疑心暗鬼に変わり、徐々に精神が追い詰められていく。
  3. 探偵との対峙と女同士の緊張感
    室井滋演じる元探偵・若杉千香子が江梨子の依頼を受け、共犯者の捜索を開始。2人の強烈な駆け引きは「激しい心理戦」というべき緊張感がある。

共犯者のあらすじ

高級化粧品会社「ローゼ・ジャポネ」を経営する内堀江梨子(賀来千香子)は、業界のカリスマとも言われる存在。しかし、彼女の成功の裏には、8年前に起こした重大な犯罪が隠されていた。かつて江梨子は、旧知の女性・町田夏海(とよた真帆)と共に、元勤務先の金庫から1億円を盗むという犯行を犯し、その金を元手に今の事業を築いたのだ。
しかしある日、週刊誌に「江梨子と町田夏海の親密デート写真」が掲載され、隠していた過去が暴かれようとしていた。江梨子は焦り、夏海との関係が世間に露見することを恐れる。そこで彼女は元私立探偵の若杉千香子(室井滋)に、夏海の行方を捜すよう依頼する。調査が進むにつれ、過去の共犯関係と裏切りが次第に明らかになっていく。そして、追い詰められる江梨子と、現れた夏海が対峙する。彼女たちの間にあった信頼はすでに壊れ、金と秘密をめぐる女同士の“崩壊の連鎖”が始まった――。

共犯者のキャスト

内堀江梨子 – 賀来千香子
若杉千香子 – 室井滋
町田夏海 – とよた真帆
松本健 – 小橋賢児
内堀佳代子 – 加藤治子
横山剛 – 細川茂樹
鈴木さやか – 浅見れいな
倭誠一 – 佐野史郎
お好み焼き屋のママ – あいはら友子
石田太郎
社長 – 山田明郷
守山耕一郎 – 前田昌明
老人 – 伊藤正博
警備員 – 茂木和範
アナウンサー – 堤信子
ペットショップのチーフ – 六角精児
井口玲子
ペットショップ店員 – 紀瀬美香
社員 – 宗清万里子
高橋 – 飯沼千恵子
社員 – 小川信行
ウェイター – 伊庭拓哉
ウェイター – 岡田幸樹
借金取り – 浜谷康幸
借金取り – 重松隆志
8年前の知人 – るり江
浅見 – 花悠子
店主 – 三矢家ゆうじ

共犯者のスタッフ

脚本西荻弓絵大河明日香
監督上川伸廣
助監督:柿沼竹生
技術協力:映広
プロデューサー:小泉守(トータルメディアコミュニケーション)、前田伸一郎(日本テレビ)、佐藤敦(日本テレビ)
ロケ協力:ホテルオークラ神戸、神戸長田丸五市場、神戸水産物卸協同組合、神戸フィルムオフィス、倉敷観光コンベンションビューロー、よこすか芸術劇場、リーガロイヤルホテル東京 ほか
企画協力:ナック、菊地実
音楽協力:日本テレビ音楽
企画制作:日本テレビ
製作著作:トータルメディアコミュニケーション

共犯者の原作(松本清張)


あいつを消さねば――。
完全犯罪をもくろんだ男のつまずきとは。スリリングな短篇10篇。

銀行を襲い、仲間と山わけにした金で商売をはじめた内堀彦介は、
事業に成功した今、真相露顕の恐怖から5年前に別れた共犯者の監視を開始するが……。
疑心暗鬼から自滅していく男を描く「共犯者」。
妻の病気、借金、愛人とのもめごと、仕事の失敗――
たび重なる欲求不満と緊張の連続が生み出す衝動的な殺意を捉えた「発作」。
ほかに、「恐喝者」「愛と空白の共謀」など全10編を収める。

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