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帰らざる河

マリリン・モンロー(帰らざる河) 映画
マリリン・モンロー(帰らざる河)
『帰らざる河』は、1954年のアメリカ合衆国の西部劇映画。監督はオットー・プレミンジャー、出演はロバート・ミッチャムとマリリン・モンローなど。
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帰らざる河の感想

激流」を見たのでこちらも再見。劇中ではシェナンドー川と言っているが、クレジットにカナダ政府への謝辞があり、カナダのボウ川などでの撮影らしい(クライマックスの滝がボウ滝)。

オープニング、その川の畔で何やら開墾しているロバート・ミッチャムが向かった先はゴールドラッシュの活気あふれる町だが、「ここは邪悪な町」とミッチャムに語る神父の背後で、岸にのぼり損ねた馬車からご婦人たちが次々と川に転落している画面の贅沢さには思わずワクワクしてしまう。

ミッチャムは酒場の歌手マリリン・モンローが面倒を見ていた息子を引き取りに来たのだが、実は監獄にいたらしいことが後でわかる。彼は金鉱に興味がなく農業を始めるつもりなのだが、そこへギャンブルで金鉱の権利を手に入れたイカサマ師ロリー・カルホーン(西部劇の二枚目)とモンローが筏で流されてきて、一頭しかない馬を奪われてしまう。ミッチャム父子が暮らしていた小屋は直後に先住民に焼き討ちされてしまうので、その地では農業は無理だったのではないかと思う。

金鉱の登記のためにカウンシルシティに向かったカルホーンを追って、父子はモンローを連れて筏に。そこでスクリーンプロセスによるラフティング描写になるが、これはさすがに「激流」とは比べ物にならないが、それでも、先住民の矢をかいくぐりつつ川に落ちたりしながら滝を下るクライマックスは、スタント撮影も交えた編集でまあまあ迫力があった。途中ピューマと格闘したりするのはご愛嬌ということで。

モンローとミッチャムは次第に心を通わせていくのだが、なぜかミッチャムは早まって強姦を試みたりするので結局距離は縮まらず、カウンシルシティに着くとモンローはすぐにカルホーンの元へ。と、モンローに嗜められてカウンターに銃を置いたはずのカルホーンはいきなりミッチャムに発砲(このくだりは説明不足)。しかし息子が背後からライフルで射殺する。映画前半から、少年は父親が投獄された理由について、繰り返し「背中から撃ったからなの?」と聞いていたので、このシーンには教育的な意味があるはずである。

不実ではあったが恋人を失って夢が破れ、カウンシルシティの酒場に身を落ち着けたモンローは哀切な声で「帰らざる河」を歌う。ミッチャムに付いて行きたい気持ちもあるのだろうから、ここにはケナゲな女の意地がある。歌が終わるのを待ってミッチャムが現れ、モンローを肩に担いで馬車に乗せ(文無しのはずなのに物資を荷台に満載しているので、カルホーンの登記を横取りした疑いがある)、「家に帰るぞ」と言い放つや、モンローが歌手衣装の赤い靴をそっと捨てる、というラストは胸を打つものがある。

ミッチャムの息子を演じた純真なトミー・レティグは、本作と同年から始まるTVシリーズ「名犬ラッシー」でジェフ・ミラーを演じた子役である。後年、アシュトンテイトでdBASE IIIの設計に携わる伝説的なプログラマーになったという。

帰らざる河 見どころ

  1. マリリン・モンローの新たな魅力と歌唱シーン
    「帰らざる河」は、マリリン・モンローが本格的なドラマティックな役柄に挑戦した初期作品。グラマラスでセクシーなイメージでなく、過酷な状況下で生き抜こうとする女性の強さ、母性を見せる。劇中で歌われる主題歌「帰らざる河」をはじめとする数々の歌唱シーンは圧巻。
  2. ロバート・ミッチャムのタフな演技
    ロバート・ミッチャムは、息子と静かに暮らそうとする元服役囚マット・コールダーを演じる。厳しい自然の中で生き抜くタフで息子を守る父親。寡黙でありながらも強い眼差し。
  3. 大自然が織りなすスペクタクル
    舞台となる「帰らざる河」は、ロッキー山脈を流れる激流で、雄大な自然が背景となる。カヌーでの激流下りや、動物との遭遇など、自然の脅威と美しさが描かれる。荒々しい河を下っていくシーンは臨場感あふれるスペクタクル。
  4. 人間関係の葛藤と成長
    マット、マリリン・モンロー演じる歌手のケイ、そしてマットの幼い息子マークの3人が、予期せぬ形で共に危険な旅をすることに。最初は互いに警戒し合っていた彼らが、過酷な状況を共に乗り越える中で、信頼関係を築き、家族のような絆を深めていく。裏切り者のマイク(ロリー・カルホーン)との対決が緊張感を与える。
  5. 普遍的なテーマの探求
    人間の欲望、裏切り、赦し、家族のあり方といった普遍的なテーマを探求している。過酷な状況下で人々が何を信じ、どう行動するのか。

帰らざる河 あらすじ

ゴールドラッシュに沸くアメリカ北西部で、息子マークを探すマットは、歌手ケイが世話をしていたマークと再会し、農場で生活を始める。ケイは恋人ハリーと金鉱の権利を得るが、イカサマがバレる前に登記しようと河を下る途中、マットに助けられる。ハリーは馬と食料を奪い、ケイは農場に残るが、先住民の襲撃で3人は河を下る。マットはハリーを殺すつもりで、ケイは彼を止めようとする。河下り中、先住民の襲撃やピューマの攻撃に遭いながら、カウンシル・シティーに到着。ハリーはマットを殺そうとし、マークに撃たれて死亡。ケイは歌手として働き始めるが、マットに連れられ、3人は家族として家に帰る。

帰らざる河を観るには?

帰らざる河 キャスト

マット・コールダー – ロバート・ミッチャム
ケイ・ウェストン – マリリン・モンロー
ハリー・ウェストン – ロリー・カルホーン
マーク・コールダー – トミー・レティグ
デイヴ・コルビー – マーヴィン・ヴァイ
サム・ベンソン – ダグラス・スペンサー

帰らざる河 スタッフ

監督 – オットー・プレミンジャー
脚本 – フランク・フェントン
原案 – ルイス・ランツ
製作 – スタンリー・ルービン
音楽 – シリル・J・モックリッジ、ライオネル・ニューマン(指揮)
主題歌 – 「帰らざる河」
撮影 – ジョセフ・ラシェル
編集 – ルイス・R・レフラー
製作会社・配給 – 20世紀フォックス
公開 – アメリカ 1954年4月30日、日本 1954年8月24日
上映時間 – 91分

「帰らざる河」は、西部劇のアクションやサバイバル要素に加え、マリリン・モンローの歌声と人間ドラマが融合した、見応えのある作品です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。

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