『舞台恐怖症』ってどんな映画?
サスペンスの巨匠アルフレッド・ヒッチコックが、母国イギリスに戻って撮影した劇場スリラー。殺人容疑をかけられた恋人を救おうとする演劇学校の学生イヴ(ジェーン・ワイマン)が、真犯人と疑われる大女優(マレーネ・ディートリヒ)の付き人に変装して潜入する、という「演じること」をテーマにした独創的な一作。
映画冒頭で観客を欺く「嘘の回想シーン」は当時の映画界に衝撃を与え、ヒッチコックの遊び心と実験精神を象徴するものとなった。
マレーネ・ディートリヒが放つ圧倒的なディーヴァとしてのオーラや、劇中歌『The Laziest Gal in Town』の妖艶さが、ただのミステリー以上の格調高いものにしていり。イヴの父親役、アラステア・シムの軽妙でユーモラスな演技も、物語に絶妙な緩急を与えている。
あらすじ
夫を殺したスター女優シャーロットは、愛人ジョナサンに助けを求める。ジョナサンは後始末のためにシャーロットの屋敷を訪れるが、女中に目撃されてしまい警察に追われるハメに。ジョナサンを匿うことになった友人のイブは、ジョナサンの容疑を晴らすべくシャーロットに近づくが……。
キャスト
シャーロット・インウッド – マレーネ・ディートリヒ
ウィルフリッド・スミス – マイケル・ワイルディング
ジョナサン・クーパー – リチャード・トッド
イヴの父 – アラステア・シム
イヴの母 – シビル・ソーンダイク
ネイリー – ケイ・ウォルシュ
かくれんぼの映画になるはずだった? いまいち一貫性なし。
実際には起こらなかったことの回想シーン、つまり作劇的にアンフェアな冒頭のシークエンスについて、「ヒッチコック/トリュフォー」の中で、ヒッチコックはしきりにこれを悔いている。フラッシュバックを使うことなどおよそなかった彼であるが、いったいどうしたことなのか。
要らない登場人物が散見されるなど、脚本自体がどうもいまいちであるように思う。リチャード・トッドが警察の目をくらまそうとする最初のシークエンスが象徴するように、これはかくれんぼの映画であるはずなのだが、どうも一貫しておらず、中だるみしてきて、出たり入ったりの登場人物がだんだん煩わしくなってくるのが惜しい。
ソフト・フォーカスで撮られたタクシーの中のジェーン・ワイマンは、まったくヒチコック的な美女ではないが、それでもなかなか魅力的に見える。それに続く雨のガーデンパーティもなかなかいい感じ。ただしハイライトであるべき、血のついた人形を、「バラ色の人生」を歌っているディートリッヒに見せるというシーンは、なぜかあまり面白くない。やる気がない感じがするのである。
筆者はディートリッヒは好みではないのだが、ラスト近くのシーンはやはり凄みがある。
いい味を出しているのは、ジェーンの父親役アラステア・シム。
『舞台恐怖症』を観るには?
『舞台恐怖症』作品情報
脚本 – ホイットフィールド・クック、アルマ・レヴィル
原作 – セルウィン・ジェプソン
製作 – アルフレッド・ヒッチコック
音楽 – レイトン・ルーカス
撮影 – ウィルキー・クーパー
編集 – エドワード・B・ジャーヴィス
製作会社 – ワーナー・ブラザース
配給 – ワーナー・ブラザース
公開 – アメリカ: 1950年2月23日、イギリス: 1950年8月28日、日本: 劇場未公開
上映時間 – 110分




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