2000年代の映画2003年の映画映画

ジョゼと虎と魚たち

2000年代の映画
ジョゼと虎と魚たち
『ジョゼと虎と魚たち』は、犬童一心監督による田辺聖子の短編の映画化で。2003年12月13日にシネクイント他全国順次公開。PG12指定。主演の妻夫木聡と池脇千鶴、江口のりこのベッドシーンが話題になる。ロックバンドのくるりが音楽および主題歌を担当した。第27回モントリオール世界映画祭、第39回シカゴ国際映画祭、第16回東京国際映画祭などに正式出品。

『ジョゼと虎と魚たち』ってどんな映画?

どこにでもいる普通の大学生・恒夫(妻夫木聡)と、壊れた乳母車に乗って深夜の街を徘徊する、足の不自由な少女・ジョゼ(池脇千鶴)。出会うはずのなかった2人が惹かれ合い、そしていつしか別れていくまでの日々を、田辺聖子の短編小説をベースに描いた不朽の恋愛映画だ。
公開から長い年月を経ても、この映画がなお観る者の心を掴んで離さないのは、恋愛が持つ「まぶしさ」と、それと同じくらい逃れようのない「エゴや限界」を、驚くほど誠実に映し出しているから。
ジョゼと虎と魚たち池脇千鶴が演じるジョゼは、世間から隠されるように生きてきたひねくれ者。彼女が作る美味すぎるご飯、包丁を振り回す強がり、そして恒夫の背中で見せる無防備な表情。その一つひとつが瑞々しく、だからこそ、彼女を「障害のある可哀想な少女」としてではなく、ひとりの魅力的な女性として好きになっていく恒夫の気持ちが、痛いほどリアルに伝わってくる。

ジョゼと虎と魚たち

池脇対鶴

犬童一心監督と脚本の渡辺あやが描いたのは、お仕着せの感動ポルノとは真逆の世界だ。どんなに深く愛し合っても、若さゆえのズルさや、世間の目に耐えきれなくなる重荷、そして「いつか別れる日がくる」という予感から人間は逃れられない。中盤、上野樹里演じる香苗との間で揺れる恒夫の姿や、江口のりこ演じるセフレとのだらしない日常といった、人間の「綺麗事だけではない部分」が、物語の切なさをより深いものにしている。
旅先で訪れた、魚たちが泳ぐラブホテルの暗がり。そこでジョゼが呟く「いちばん深い海の底。そこは光もへったくれもない、ただ静かなだけ」というセリフは、2人の幸福の絶頂であり、同時に終わりの始まりを告げる。
別れた後、車のハンドルを握りながら突如として声をあげて泣き崩れる恒夫。そして、電動車椅子を手に入れ、淡々と魚を焼いて日常を生きていくジョゼ。
恋愛の終わりを、これほどまでに残酷で、同時にこれほどまでに美しい「自立」として描いた傑作は他にない。くるりが歌う主題歌「ハイウェイ」の軽快なメロディが、切ない余韻をどこまでも引っ張っていく、胸に刺さって抜けない一作だ。

あらすじ

恒夫は、雀荘でアルバイトをしている大学生。最近、卓上で話題になっているのは近所に出没する婆さんのこと。その老婆は乳母車を押しているが、乳母車に乗せているものがわからないというのだ。恒夫はある日、偶然老婆に遭遇し、乳母車に乗っているのが少女であることを知る。それが、ジョゼとの出逢いだった。足の不自由なジョゼは外の世界をほとんど知らなかったが、恒夫と出会ったことで様々な経験をする。恒夫はジョゼのことを愛していたものの、障がいのある人間と向き合う責任、ジョゼを抱えきれない自分への弱さから涙を流す。

キャスト

恒夫(大学4年生) – 妻夫木聡
ジョゼ(足が不自由) – 菅野莉央)
■恒夫の主な関係者
香苗(恒夫の大学の同期生) – 上野樹里
ノリコ(恒夫のセフレ) – 江口徳子(現:江口のりこ
隆司(恒夫の弟) – 藤沢大悟
■ジョゼの主な関係者
ジョゼの祖母 – 新屋英子
幸治(自動車整備士) – 新井浩文
■その他
恒夫の友人 – 井本貴史
金井晴樹 – 藤原一裕
現場主任(リフォーム業者) – 板尾創路
本屋店員 – 荒川良々
少女フキ(小学生) – 森本更紗
近所の中年男 – 森下能幸
先輩の社員 – 佐藤佐吉
麻雀屋マスター – 陰山泰
中年女 – 真理アンヌ
中年男 – SABU
若い男 – 大倉孝二
中村靖日
西田シャトナー
遠藤雅伸(ゲーム作家)
山本浩之(当時・関西テレビアナウンサー)

池脇千鶴のどしん、に涙が出ること。

ていねいな作りは好感がもてる。
田辺聖子の原作は未読なのだが、死のにおいがより濃く漂っているものらしい。筆者は、映画にはあまり死臭を感じなかった。
映画は、原作をビミョーにアレンジしている(原作では乳母車ではなく車椅子だし、ラストは水族館ホテルで終わっているとのこと)。

ゆるゆるした関西弁が萌える池脇千鶴(実際に大阪出身の女優である)が、料理を作り終えて、どしん、と床に降りる動作が(原作では「ダイブする」と書かれているらしい)、すばらしい。
映画では二度繰り返される。
二度目のこの動作とともに彼女が画面から姿を消し、絶妙に暗転する余韻に、思わず観客はフルエて、次いで涙してしまうのである。

『ジョゼと虎と魚たち』を観るには?

『ジョゼと虎と魚たち』作品情報

監督 – 犬童一心
脚本 – 渡辺あや
製作 – 久保田修、小川真司
音楽 – くるり
主題歌 – くるり 『ハイウェイ』
撮影 – 蔦井孝洋
編集 – 上野聡一
配給 – アスミック・エース
公開 – 日本:2003年12月13日、大韓民国:2004年10月29日、シンガポール:2005年9月30日
上映時間 – 116分

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