1980年代の映画1988年の映画映画

アリス

4.0
クリスティナ・コホウトヴァー(アリス) 1980年代の映画
クリスティナ・コホウトヴァー(アリス)
『アリス』(原題:Něco z Alenky)は、1988年にスイス、イギリス、ドイツによって製作されたチェコスロバキア映画。ヤン・シュヴァンクマイエル監督で、同監督の初長編映画。

『アリス』ってどんな映画?

チェコのアニメーション作家ヤン・シュヴァンクマイエルによる初の長編作品であり、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を類まれなる想像力で再構築したダーク・ファンタジーの傑作。
実写とストップモーション・アニメーションを組み合わせた独特の手法は今見ても全く古びることなく、むしろCG全盛の現代においてその「手触り」や「不気味な美しさ」がより際立つ。
おがくずを食べる白ウサギ、剥製や骨、古い日用品が命を持って動き出す悪夢のような世界観。クリスティナ・コホウトヴァーの無機質な愛らしさと、シュヴァンクマイエル特有のフェティッシュな演出が融合し、原作が持つ毒とシュールレアリスムをこれ以上ない形で描き出している。

キャスト

荒々しい音の洪水は、この世のものではない狂躁そのもの。

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(マーティン・ガードナー)

詳注アリス 完全決定版(マーティン・ガードナー)
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あなたの知らないアリスのすべてがこの一冊に

先日見たばかりなのにまた見てしまった。

キャロルが「黄金の昼下がり」をともにしたというアリス・リデルは、彼による写真を見るかぎり、黒髪・おかっぱの少女なのだが、テニエルの絵によって物語の主人公となると、長い金髪の少女となる。この映画のアリスも同様だし、ディズニーのアリスもそうだ。

アリスの物語があらゆるクリエイターのマインドに訴えてやまないのは(筆者は、2冊のアリスの注釈本としては、あのうさん臭いイギリス人マーティン・ガードナーのものを愛読している)、ある夢の元型のようなものがそこにあるからだろう。たとえディズニーが描こうと、このお話はやっぱり悪夢なのだということをシュヴァンクマイエルの映画は思い起こさせる。

登場するキャラクターはうたたねしているアリスの部屋に散乱しているぬいぐるみ等々なのだが、ウサギはそうではなく、その証拠に目が醒めても「ウサギの家」のガラスは割れたままで中には何もいない。だからその腹がやぶれて裂け目からおがくずがこぼれるのはおかしいのだが、ウサギ(剥製のように見えるが違うのだろうか)は、意にも介さず、懐中時計の表面についたおがくずを白い手袋をはめた指先で何度も拭う。

シュヴァンクマイエルのアニメーションは何よりも音が積み重なっていくドタバタがすごく、その狂躁さに思わず笑ってしまう。この映画は特にそれが顕著。

『アリス』を観るには?

『アリス』作品情報

監督 – ヤン・シュヴァンクマイエル
脚本 – ヤン・シュヴァンクマイエル
製作 – ピーター・クリスティアン・フューター、ヤン・シュヴァンクマイエル
撮影 – ミロスラフ・シュパーラ
編集 – マリエ・ゼマノヴァ
公開 – アメリカ: 1988年8月3日、日本: 1989年7月23日
上映時間 – 86分

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