『日曜日が待ち遠しい!』ってどんな映画?
映画を愛し、女性を愛し続けたフランソワ・トリュフォーが、52歳という早すぎる生涯の最後に残した遺作。チャールズ・ウィリアムズのミステリー小説を原作に、敬愛するヒチコックへのオマージュを捧げつつ、トリュフォーらしい軽快なステップとチャーミングなユーモアで仕立て上げた、極上のビター&スウィートな本格ミステリー。
物語は、ある日突然、妻とその愛人を殺害した容疑をかけられてしまった不動産屋のジュリアン(ジャン=ルイ・トランティニャン)の逃亡劇から始まる。彼が無実だと信じ、警察の目を盗んで真犯人を突き止めようと、夜の街へと果敢に飛び出していくのが、彼の秘書であるバルバラ(ファニー・アルダン)だ。
見どころは、この主役ふたりの「立場が逆転した」絶妙な関係性。ジャン=ルイ演じるジュリアンは、頭が固くてちょっと頼りなく、自分のオフィスに隠れてオドオドしているだけなのに対し、トリュフォー最後のミューズであるファニー・アルダン演じるバルバラの、なんと活き活きとして小気味よいことか。トレンチコートの襟を立て、謎の売春組織や怪しげな映画館へ潜入し、元夫の新聞記者(グザヴィエ・サン=マカリー)まで巻き込んで真相に突っ走る彼女の姿は、エネルギッシュで最高にエレガントだ。
あえてモノクロで撮影された映像は、陰惨な殺人事件を描いているはずなのに、どこか南仏の乾いた風や、クラシックなハリウッド映画の匂いを運んでくる。ジャン=ピエール・カルフォン演じる不気味な神父や、どこか抜けた警察署長(フィリップ・モリエ=ジュヌー)といった癖のある脇役たちが、パズルのピースのようにはまっていくプロセスも小気味よい。
普段はちぐはぐで、口を開けば口論ばかりしていた上司と秘書が、事件の謎が解き明かされていくにつれて、お互いの本当の想いに気づいていく。
シリアスな謎解きの中に、大人の男と女の極上のラブコメディを滑り込ませたトリュフォーの手腕。幸福な余韻に包まれる、映画の魔法が美しく結晶した傑作。
あらすじ
南フランスの小さな町。不動産事務所の秘書をしているバルバラは、余暇には素人演劇の舞台にも立っている快活な女性だ。ある時、バルバラの上司であるジュリアンが、彼の妻の殺害事件の容疑者として警察にあげられてしまう。バルバラは、ひそかに思いを寄せるジュリアンを事務所の地下室にかくまい、素人探偵としてさっそうと調査に乗り出す。
キャスト
ジュリアン・ヴェルセル(不動産屋) – ジャン=ルイ・トランティニャン
クレマン弁護士: フィリップ・ロダンバッシュ” target=”_blank”>
マリー=クリスティーヌ・ヴェルセル(ジュリアンの妻) – カロリーヌ・シオル
サンテリ警察署長 – フィリップ・モリエ=ジュヌー
ベルトラン・ファーブル(バルバラの元夫で新聞記者) – グザヴィエ・サン=マカリー
クロード・マスリエ神父(最初の被害者の兄) – ジャン=ピエール・カルフォン
ポーラ・デルベク(エデン座の切符売場の女性) – アニク・ブローブル
ルイゾン(売春組織のボス) – ジャン=ルイ・リシャール
とにかく脚の映画。半地下の窓からは脚しか見えないのだ。
この忘れがたいタイトル(原作小説の題名は「土曜日に逃げろ」である)に、羨望の念を禁じ得ない。
よく映画館に通っていたころ、何度も予告編を見かけたのだが、けっきょくスクリーンでは見そびれた。予告編の中で何度もタイトルが強調される。なんて素敵なタイトルだろうと思ったものだ。
背の高いファニー・アルダンは、やはり大雑把そうで、あまり好きになれないのだが、脚はほんとにすばらしい。
これももちろん、ネストール・アルメンドロスの撮影。
『日曜日が待ち遠しい!』を観るには?
『日曜日が待ち遠しい!』作品情報
脚本 – フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン、ジャン・オーレル
原作 – チャールズ・ウィリアムズ『土曜を逃げろ』
製作 – アルマン・バルボール
音楽 – ジョルジュ・ドルリュー
撮影 – ネストール・アルメンドロス
編集 – マルチーヌ・バラケ(フランス語版)
製作会社 – レ・フィルム・デュ・キャロッス、フィルムA2、ソプロフィルム
配給 – フランス: 俳優作家協会、日本: 東宝東和
公開 – フランス: 1983年8月10日、日本: 1985年5月3日
上映時間 – 111分





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