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日本の描写はやっぱりメチャクチャ(GODZILLA ゴジラの感想)
悪名高いらしいエメリッヒ版「GODZILLA」から16年ぶりだというレジェンダリー版ゴジラ映画で、一応29本目のシリーズ作品ではあるが、「モンスターヴァース」というレジェンダリーピクチャーのシリーズ第1作でもある(以降、キングコングとの抱き合わせで4本も続いている)。
ファンにとってはお馴染みらしい、このシリーズのバックボーンには、トルーマン大統領直下で巨大生物を調査研究していた「モナーク」という秘密結社の暗躍があり、原潜がゴジラと遭遇した1954年以来、60年代にかけての米ソ水爆実験はすべてゴジラを抹殺するためのものだったという衝撃の事実がさらりと語られる。
ちなみに渡辺謙演じる芹沢博士(下の名前は「猪四郎」である)もモナークの所属である。
映画の序盤は、富士山麓の雀路羅(じゃんじら)なる市で、原発直下の地震が起こって原子炉が崩壊、ジュリエット・ビノシュが逃げ遅れてメルトダウンにいたるというものだ。
監督はフクシマを念頭に置いたとのことで、雀路羅は立入禁止区域になるのだが、アメリカ人しか出てこないので、なぜアメリカの原発が日本にあるのか見ている方は混乱する。
実はモナークは原発跡地で巨大生物を育てており、それがMUTO(Massive Unidentified Terrestrial Organism:未確認巨大陸生生命体)と呼ばれる、放射能を吸収し、ゴジラに卵を産みつける寄生バチである。目覚めたMUTOは雀路羅をメチャクチャに破壊してハワイに飛び去り、さらに雌体を求めて米西海岸に向かうのだが、MUTO憎しの種本能からゴジラも太平洋を横断してそれを追う。
というわけで、サンフランシスコで3頭の怪獣の大決戦が始まるというわけ。
米軍は怪獣たちを水爆で殲滅しようとするが、MUTOは核が餌なので喜んでそれを飲み込んでしまう。核の起爆装置を解除するために投入された主人公(爆発物処理技術者)は、ついでにMUTOが産みつけた幼体を焼き払ってしまうのだが、それに気づいたMUTOがムキーッとなるのがおかしい。
ゴジラとの戦闘はなぜか明け方に行われるので、ひどく暗い。ハワイでの大立ち回りも夜間の設定でほとんど何も見えず、なぜか戦闘CGが抑えめの怪獣映画なのだった。
GODZILLA ゴジラ 見どころ
日本が誇る怪獣ゴジラを、現代のVFX技術を駆使して圧倒的なスケールで描き、世界中で大ヒットを記録した。
- 「神」としてのゴジラの再解釈
本作では、ゴジラが単なる破壊の化身ではなく、太古から存在する地球の生態系の頂点に立つ「神」のような存在として描かれる。人間が作り出した脅威(MUTO)に対抗するために現れ、人類にとっては結果的に「救世主」ともなりうる存在。その神々しさ、圧倒的な存在感、そして人類には到底及ばない威厳が、遠景からのカメラワークなどで強調されており、従来の怪獣映画とは一線を画す。 - 圧倒的なスケールと映像美
ハリウッドの最新VFX技術を駆使して描かれるゴジラや新怪獣MUTO(ムートー)の姿、そして彼らが巻き起こす大規模な破壊は圧巻。怪獣同士のバトルシーンは、その巨大さや迫力が全身で感じられるよう緻密に設計された。 - ゴジラの登場を焦らす演出
ゴジラが本格的に姿を現すまで、意図的に登場を焦らす演出。断片的な情報やシルエット、足跡などから徐々にその存在が示唆され、観客の期待感を煽り、満を持して登場するゴジラの姿と咆哮は強烈なインパクトと興奮をもたらす。 - 人間ドラマの重要性
原子力発電所の事故で家族を失った科学者ジョー・ブロディ(ブライアン・クランストン)とその息子フォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)を軸に、怪獣たちの出現に翻弄される人々の姿が描かれる。怪獣の登場はあくまで背景で、人間がどう行動し、どう生き残るのかという視点が強調された。 - 新怪獣MUTOの脅威
ゴジラと対峙する新怪獣MUTO(ムートー)は、強力な電磁パルスを発生させて電子機器を無力化するという特殊能力を持つ、人類にとっての新たな脅威。ゴジラとの激しいバトルが見どころ。 - 渡辺謙の存在感
日本人俳優として唯一主要キャストを務める渡辺謙さんが、ゴジラを研究する芹沢猪四郎博士役を演じる。ゴジラを単なる破壊者ではないと信じ、その存在意義を理解しようとするセリラや表情が作品に深みと哲学的な側面を与える。
トリビア・撮影裏話など
- ギャレス・エドワーズ監督は大のゴジラファン。日本版ゴジラのデザインや咆哮、そしてその象徴的な背びれの発光など、オリジナルへの深いリスペクトが感じられる。1954年の初代ゴジラを彷彿とさせる、どっしりとした体格
- 監督は、怪獣の巨大感を表現するために、広角レンズで怪獣を舐めるようなカットをあえて避け、遠距離からの望遠レンズを使った撮影(戦場カメラマンが遠くから撮影したような構図)を多用。怪獣の圧倒的なスケール感と、人間では太刀打ちできない「神」のような存在感を強調した
- ゴジラの咆哮は、これまでのゴジラシリーズの音源を参考にしつつ、さらに迫力とリアリティを追求して作られた
- 渡辺謙演じる芹沢猪四郎博士の名前は、初代ゴジラ(1954年)の監督である本多猪四郎と、初代ゴジラに登場する芹沢大助博士に由来
- 新怪獣MUTOのデザインは当初様々な案が出されたが、最終的には蛾のような不気味で恐ろしい姿に。メスはオスよりもはるかに大きく、空を飛び、電磁パルスを発する
- 芹沢博士は原爆投下時刻で止まった懐中時計を持っており、この時計は原爆の形見である。ゴジラの誕生が核兵器と深く関連しているというオリジナルゴジラのテーマを受け継いだもの
- 本作は、後に『キングコング: 髑髏島の巨神』『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』『ゴジラvsコング』『ゴジラxコング 新たなる帝国』と続く、巨大怪獣たちが同じ世界観で共存する「モンスターバース」シリーズの記念すべき第一作となった
GODZILLA ゴジラの人物相関図
GODZILLA ゴジラ あらすじ
1999年、フィリピンで恐竜のような生物の化石が発見され、その近くで巨大な繭が見つかる。一方、日本の原子力発電所で不可解な地震が発生し、技師のサンドラが死亡する。15年後、息子フォードは父ジョーが原発事故の真相を探るため逮捕されたことを知り、日本へ向かう。原発跡地で巨大生物「ムートー」の繭が発見され、秘密機関「モナーク」が調査する。ムートーは羽化し、ゴジラが天敵として現れる。ムートーは核燃料を捕食し、ホノルルやラスベガスを破壊する。サンフランシスコで3体の怪獣が衝突すると予想され、核弾頭が輸送されるが、ムートーに奪われる。フォードは弾頭起爆阻止のため特殊部隊に参加し、ムートーの巣を爆破する。ゴジラはムートーを倒すが、エネルギーを消耗し海へ戻る。フォードは家族と再会し、ゴジラは「救世主か?」と疑問を残し海へ消える。
GODZILLA ゴジラを観るには?
GODZILLA ゴジラのキャスト
幼少期のフォード・ブロディ – CJ・アダムス
芹沢猪四郎博士 – 渡辺謙
ジョー・ブロディ – ブライアン・クランストン
エル・ブロディ – エリザベス・オルセン
サム・ブロディ – カーソン・ボルド
ヴィヴィアン・グレアム博士 – サリー・ホーキンス
サンドラ・ブロディ – ジュリエット・ビノシュ
ウィリアム・ステンツ提督 – デヴィッド・ストラザーン
ラッセル・ハンプトン大佐 – リチャード・T・ジョーンズ
マーカス・ウォルツ少佐 – パトリック・サボンギ
降下指揮官 – ジャリッド・キーソ
マルティネス下士官 – キャサリン・ロッホ・ハグクウィスト
タカシ – 山村憲之介
スタン・ウォルシュ – ゲイリー・チョーク
ハヤト – ヒロ・カナガワ
ウィーラン – ブライアン・マーキンソン
ジェインウェイ – タイ・オルソン
ハドルストン – アル・サピエンザ
軍事分析官 – テイラー・ニコルズ
GODZILLA ゴジラのスタッフ
脚本 – マックス・ボレンスタイン、フランク・ダラボン、デヴィッド・キャラハム、ドリュー・ピアース、デヴィッド・S・ゴイヤー
原案 – デヴィッド・キャラハム
原作 – 「ゴジラ」 東宝
製作 – メアリー・ペアレント、ジョン・ジャシュニ、トーマス・タル、ブライアン・ロジャース
製作総指揮 – パトリシア・ウィッチャー、アレックス・ガルシア
『GODZILLA ゴジラ』は、日本が生んだアイコンをハリウッドがリスペクトをもって再構築し、圧倒的な映像と音響で、観客を怪獣の世界へと引き込む、見応えのある大作です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。
GODZILLA ゴジラの関連作品
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(吹替版)2019年 PrimeVideo |
ゴジラvsコング(字幕版) 2021年 PrimeVideo |
GODZILLA (エメリッヒ版)1998年 PrimeVideo |