『レベッカ』ってどんな映画?
サスペンスの巨匠アルフレッド・ヒッチコックのハリウッド進出第1作目にして、第13回アカデミー賞作品賞に輝いた歴史的傑作。亡き前妻レベッカの影が支配する大邸宅「マンダレイ」を舞台に、後妻として迎えられた「わたし」が味わう心理的な恐怖と孤独、そして邸宅に隠された衝撃の真実を描いている。
ジュディス・アンダーソン演じるダンヴァース夫人の微動だにせず冷徹な眼光を向けるあの威圧感は「映画史上最も怖い家政婦」として語り継がれる。主演のジョーン・フォンテインが見せる繊細な不安、ローレンス・オリヴィエの貴族的ながらどこか影のある佇まいの対比が見事。
姿を見せない「レベッカ」という存在が、邸宅そのものや波の音、そして人々の記憶を通じて誰よりも強く画面を支配する……ヒッチコックの演出術とセルズニックの重厚な製作が見事に融合した一作。
あらすじ
マキシムと結婚し、広大な邸宅マンダレイを訪れた「私」は、家政婦ダンヴァース夫人が崇拝する先妻レベッカの影に追い詰められていく。しかし、海からレベッカの遺体が見つかったことで事態は急変する。マキシムは、レベッカの不実と、彼女を追い詰めた末の事故死を隠蔽した過去を告白。再審議ではレベッカの癌が発覚し、死は自殺と断定されるが、それはマキシムを破滅させようとする彼女の最期の罠だった。
キャスト
マキシム・ド・ウィンター(マンダレイの主人) – ローレンス・オリヴィエ
ダンヴァース夫人(家政婦長) – ジュディス・アンダーソン
ジャック・ファヴェル(レベッカの従兄弟で愛人) – ジョージ・サンダース
フランク・クローリー(不動産管理人) – レジナルド・デニー
ベアトリス・レイシー(マキシムの姉) – グラディス・クーパー
ジャイルズ・レイシー少佐(ベアトリスの夫) – ナイジェル・ブルース
ジュリアン大佐(警察管区長) – C・オーブリー・スミス
ベン(海岸の隠遁者) – レナード・キャリー
タブ(船大工) – ラムスデン・ヘイア
フリス(古株の執事) – エドワード・フィールディング
イーディス・ヴァン・ホッパー夫人(「わたし」の雇い主) – フローレンス・ベイツ
ベイカー医師(レベッカの主治医) – レオ・G・キャロル
レベッカ・ド・ウィンター夫人(マキシムの前妻)
緊迫の、映像なき回想シーン。
昨夜、またマンダレーの夢を見た──とフォンテーンのナレーションで始まるこの物語は、いわゆるゴシックロマンであり、サスペンスとはいささか趣を異にする。ダフネ・デュ=モーリアの原作小説は戦後日本のベストセラーであり、この映画が入ってきたほうが後であって、小説によって想像を膨らませていた日本人のマンダレー(ミャンマーの都市ではなくて、コーンウォールの荘園)のイメージは、はじめて映像化されたのだった。
もちろん劇場も含めて、何度も見ている映画なのだが、最後の部分(といっても、有名なボート小屋の場面以降だから、結構長い)の内容をまるっきり忘れていた。
おそらく、ゴシックロマンの糸がそこでぷっつり切れてしまっているからではないだろうか。
それは、主人公(名前がない)が、レベッカの鏡像であるあることをやめ、ド・ウインター夫人として開花していく部分でもある。夫が告白をおこなってからの彼女は、自信がなくておどおどしていたキャラクターとは別人のようだ。(このおどおどしている演技はヒチコックの策略によるところが大で、恋人であるヴィヴィアン・リーとの共演を望んでいたローレンス・オリヴィエがジョーンに冷たくしているのを見た監督は、スタジオの全員にジョーンにつらく当たるよう命じたのである(ということになっている)。
ヒチコックはこの映画にまったく愛着がなく、アカデミー作品賞もセルズニックが一方的に押しつけた役であった。
『レベッカ』を観るには?
『レベッカ』作品情報
脚本 – ロバート・E・シャーウッド、ジョーン・ハリソン
原案 – フィリップ・マクドナルド、マイケル・ホーガン
原作 – ダフネ・デュ=モーリア
製作 – デヴィッド・O・セルズニック
音楽 – フランツ・ワックスマン
撮影 – ジョージ・バーンズ
編集 – W・ドン・ヘイズ
製作会社 – セルズニック・インターナショナル・ピクチャーズ
配給 – アメリカ:ユナイテッド・アーティスツ、日本:東宝
公開 – アメリカ:1940年3月12日、日本:1951年4月24日
上映時間 – 130分





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