『共犯者(2015年版)』ってどんなドラマ?
整形と完全犯罪で成功を掴んだ美貌の女社長。
封印したはずの過去と共犯者の影が、女をじわじわと疑心暗鬼の狂気へと追い詰めていく
昭和のミステリー文学の最高峰・松本清張の傑作短編小説『共犯者』を、舞台を現代に置き換えてドラマ化。
観月ありさが新境地となる「殺人犯」役に初挑戦し、全身整形で美貌を手に入れた末に過去の共犯関係に怯え、自らの疑心暗鬼によって破滅へと転落していく女性の哀しい業と心理サスペンスを描き出す。
あらすじ
内堀美輪(観月ありさ)は、7年前に美容整形外科医・秋月義彦(寺島進)の施術によって完璧に美しい顔を手に入れて秋月と結婚したが、激しいモラハラやDVに苦しめられる。追いつめられた美輪は、元造園業者の町田武治(山本耕史)と恋仲になるが、夫・義彦に発覚し、殴り殺されようとしたところを二人で返り討ちにする。
その後7年が過ぎ、美輪は秋月に遺産で化粧品会社「ニンファ・ミワ」を立ち上げ、大成功を収めて時代の寵児となっていた。そんなとき、町田の姿を見かけた美輪は、 過去の秘密が露見することを恐れ、社員で元探偵の竹岡良子(仲里依紗)に町田の素行調査を依頼。しかし調査を進めるうちに、良子は美輪と町田が隠している「7年前の事件」の真相に気づき、美輪に巨額の金銭を要求。美輪は再び町田に良子の殺害を持ちかけるが、かつてとは違い、二人の関係には狂いが生じて物語は衝撃の結末へ。
キャスト
内堀美輪(化粧品会社社長) - 観月ありさ
町田武治(元造園業者) - 山本耕史
竹岡良子(美輪の部下で元探偵) - 仲里依紗
村田桂子(美輪の秘書) - YOU
野沢香奈 - 今井咲貴
小川弘幸 - 西村元貴
杉本 - ビートきよし
高橋友也 - 土屋裕一
ウェイター - 錦はやと
細野弘 - カムイ
島尾健作(刑事) - 大地康雄
秋月義彦(美輪の夫) - 寺島進
見どころ
観月ありさの「初の殺人犯役」と体当たりの演技
当時、24年連続で連続ドラマの主演を張っていた観月ありさが、“殺人犯”を演じたのはこの作品が初めて。これまでの明るいイメージを封印し、「整形で手に入れた完璧な美貌」「DVに苦しむ絶望」「夫を殺害する迫力の乱闘シーン」、そして「過去の影に怯える冷徹な女社長」という多面的な役柄を体当たりで演じた。
仲里依紗の怪演
美輪を追い詰める元探偵の社員・竹岡良子役を演じる仲里依紗のサスペンスフルな演技が見どころ。
最初は美輪を慕う従順な部下のように見せかけながら、秘密を握った瞬間に牙を剥き、巨額の金を要求する恐ろしい脅迫者へと豹変。美輪と良子の、息の詰まるような女同士の心理戦とパワーバランスの逆転劇が強烈なインパクトを残す。
山本耕史さんとの「新婚同士」のラブシーンと共犯関係
美輪の共犯者・町田を演じるのは山本耕史。このドラマの放送直前(2015年8月)に山本と観月はそれぞれプライベートで結婚したばかりの「リアル新婚同士」。公私ともに親交の深い二人が、劇中では重い秘密を共有し、運命を共にする泥沼の愛憎劇(ラブシーンや殺害計画)をシリアスに演じるというギャップも話題になった。
「過去」を共有する人間同士の、崩れゆく心理サスペンス
松本清張作品ならではの「因果応報」の緊張感。
7年前の事件を闇に葬り、死に物狂いで掴み取った「偽りの成功と美貌」。それがたった一人の「共犯者(町田)」の目撃や、ネットの書き込みをきっかけに、ドミノ倒しのように崩壊していく恐怖。「守るものが多すぎる成功者」だからこそ、追い詰められていくスリルが全編を通して描かれている。
感想
1958年に根上淳主演、田中重雄監督で映画化され、その後も6回もテレビドラマ化されている(1960年、1962年、1964年、1983年、2006年、2015年)が、2006年の賀来千香子版(西荻弓絵脚本である)からなぜか主役が女になり、本作もそれを踏襲している。
清張の原作は、貧困にあえぐ主人公が年下の同僚と銀行強盗を行い、金を折半して二度と会わないと約束して別れ、その金を元手に福岡で事業を起こして成功したものの、共犯の元同僚がいつか金に困って自分を脅しに来るのではないかと疑心暗鬼になる話である。
私設の調査員に調べさせると、元同僚は落ちぶれて乞食同然の暮らしをしながら、大阪、神戸、岡山、尾道と西へ向かっているらしい。自分を脅すために福岡に向かっていると思い込んだ主人公は、下関に到着したとの報告を受けて現地の公園に行くが、彼はすでに病死していた。ほっとしたものの、今度は秘密を嗅ぎつけた調査員が主人公を脅しはじめる――という無類に面白いストーリーは、さすが清張である。
本作では、成功した美容整形外科医の寺島進が、冴えない掃除婦の観月ありさに目をとめ、観月を整形美女にした上で結婚したところまでは良かったが(意味不明な設定だが)、この寺島がモラハラ夫で、観月は庭師の山本耕史といい仲になる。
寺島が嫌うために家で食べられない焼鳥を公園で食べているところを、山本に声をかけられるというこの出会いも相当に変である。観月は片手には缶ビールも持っていた。
二人は寺島を殺して金庫の金を奪い、その金で観月は化粧品会社を立ち上げ、成功する。ある日、山本の姿をみかけた観月は、探偵事務所で働いていたという社員の仲里依紗に頼んで、山本の現在の状況を調べ始める、という流れになっている。
仲里依紗
2015年のドラマだからそんなに古くないのだが、若々しい観月が可愛らしく、仲里依紗(当時26歳)はなんだか輪郭がぼけている(すでに2014年の「昨夜のカレー、明日のパン」をはじめ、いくつかのドラマでヒロインを務めているはずだが)。
『共犯者(2015年版)』を観るには?
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『共犯者(2015年版)』作品情報
脚本 – 浅野妙子
監督 – 水谷俊之
造園指導 – 水梨孝治
医療指導 – 加藤晴之輔
海中映像 – F’S GAME
技斗 – 高瀬将嗣
技術協力 – フォーチュン
美術協力 – BEENS
ポスプロ – アムレック
プロデュース – 中川順平、黒沢淳、金澤友也
製作 – テレビ東京、BSジャパン、テレパック
『共犯者(2015年版)』の原作
あいつを消さねば――。
完全犯罪をもくろんだ男のつまずきとは。スリリングな短篇10篇。
銀行を襲い、仲間と山わけにした金で商売をはじめた内堀彦介は、
事業に成功した今、真相露顕の恐怖から5年前に別れた共犯者の監視を開始するが……。
疑心暗鬼から自滅していく男を描く「共犯者」。
妻の病気、借金、愛人とのもめごと、仕事の失敗――
たび重なる欲求不満と緊張の連続が生み出す衝動的な殺意を捉えた「発作」。
ほかに、「恐喝者」「愛と空白の共謀」など全10編を収める。



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