『亡国のイージス』ってどんな映画?
最新鋭のイージス艦が、某国の工作員と手を組んだ自衛官たちによって乗っ取られる。東京湾を射程にとらえた特殊兵器「グソー」の脅威を前に、日本政府が機能不全に陥っていく恐怖を描いた、福井晴敏の小説の映画化だ。
本作の真の主役は、国家という大きなシステムではなく、極限状態の戦艦という密室に閉じ込められた男たちの「意地と親子の情」である。
反乱の首謀者である副長・宮津の背後にある、亡き息子(笠原秀幸)への執着と、狂気に取りつかれた夫を静かに見つめる妻・芳恵(原田美枝子)の存在。国家を揺るがす大テロの引き金が、実はひとりの父親の、やり場のないあまりにも私的な絶望から始まっているという構図が切ない。
見どころは、緊迫する政府対策本部で繰り広げられる、冷徹な大人たちの化かし合い。飄々としつつもすべてを見透かしたような内閣情報官の瀬戸(岸部一徳)の眼光、非情な決断を下していく防衛庁長官(佐々木勝彦)らの重厚な芝居が、ポリティカル・サスペンスとしてのリアリティを支えている。
光石研や中村育二ら、脇を固める実力派たちが演じるイージス艦の乗員たちが、それぞれの「正義」を胸に葛藤し、命を散らしていく艦内の攻防戦は息づまる臨場感を煽る。
米軍や政府の思惑が複雑に絡み合う中、残された者たちが守ろうとしたのは国家の威信か、それとも守るべき個人の命か。荒れ狂う海の上、鋼鉄の要塞の中で男たちがぶつけ合う剥き出しの信念に胸を熱くさせられる一作だ。
あらすじ
日本政府に対して叛乱を起こし、東京湾へ向かう護衛艦「いそかぜ」を舞台に、残された先任伍長の仙石と、潜入捜査官の如月が未曾有のテロを阻止しようと奔走する緊迫の軍事サスペンス。
訓練指導と称して乗り込んできたFTG(海上訓練指導隊)の正体は某国工作員ホ・ヨンファ率いるテロリストで、副長の宮津ら「いそかぜ」の幹部たちも彼らと結託して艦を占拠。宮津の目的は、防大生だった息子の死を巡る政府の陰謀と、米軍の猛毒化学兵器「GUSOH(グソー)」の存在を公表させることだった。一般の隊員たちが離艦させられるなか、艦内に残った仙石は、敵に拘束されていた本物の防衛庁情報局員(DAIS)の如月を救出し、共闘を開始。
東京都心を標的に定められた化学兵器の発射を阻止するため、二人は圧倒的多数の反乱軍を相手にゲリラ戦を展開。航空自衛隊による「いそかぜ」撃沈のタイムリミットが刻一刻と迫るなか、仙石と如月は次第に固い絆で結ばれ、国家の命運を懸けた最終決戦へと挑む。
キャスト
瀬戸和馬(内閣情報官) – 岸部一徳
小林政彦(DAIS局員) – 松岡俊介
服部駿(DAIS局員) – 池内万作
佐伯修一(防衛庁長官) – 佐々木勝彦
明石智司(警察庁長官) – 平泉成
木島祐孝(統合幕僚会議議長) – 天田俊明
湊本仁志(海上幕僚長) – 鹿内孝
宮崎(国土交通大臣) – 春田純一
汀(自治大臣兼国家公安委員長) – 平野稔
外務大臣 – 小川隆市
若狭祥司(「いそかぜ」掌帆長・海曹長) – 光石研
酒井宏之(「いそかぜ」機関長・三等海佐) – 中沢青六
横田利一(「いそかぜ」航海長・一等海尉) – 中村育二
年配の警官 – 佐川満男
宮津隆史(宮津弘隆の息子・防大生) – 笠原秀幸
仙石頼子(仙石恒史の妻) – 松本圭未
仙石佳織(仙石恒史の娘) – 菱山美幸
如月行の母 – 小松みゆき
海ほたるで「いそかぜ」を目撃する男 – 大河内浩
「いそかぜ」乗員 – 松尾諭
この時点では、松竹は完全に勘違いしている。

チェ・ミンソ
ひどく破綻した映画で、ひとつも面白いところはない。原作にあった、もっと面白くなりそうなシーンは一体どこへ行ってしまったのか。
「ローレライ」「戦国自衛隊1549」(この映画化も壮絶な駄作だった)に続き、かなり戦略的にメディア露出のタイミングを調整していた福井氏だが(お会いしたことがあるが、小説家というのとはちょっと違う、切れるタイプの人だった)、肝心の映画がこんなんでほんとうによかったのかな。原作小説のレベルが日本人ばなれしたクオリティだっただけに、たいへん惜しまれる。日本映画ブームにのって制作されたわけだが、この時点では、松竹は完全に勘違いしている。




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