2011年のドラマドラマ2010年代のドラマ

刑事の現場

3.0
森山未來(刑事の現場) 2011年のドラマ
森山未來(刑事の現場)
『刑事の現場』シリーズは、NHK総合テレビジョン『土曜ドラマ』で放送。第1シリーズは寺尾聰主演で2008年3月に4回で放送、第2シリーズは『リミット -刑事の現場2-』のタイトルで森山未來主演で2009年7月11日~8月8日に5回で放送。NHK名古屋放送局が報道取材を基にして制作したドラマで、2005年以降、団塊世代の警察官が大量に退職することで若手警察官が主体となり「警察力」が著しく低下することが問題となり、各地で定年退職前のベテラン警察官が若手を指導する特別な取り組みの取材が脚本のベースとし、取材対象の引退警察官が実際に監修にあたったという。

「刑事の現場」ってどんなドラマ?

あらすじ

加藤啓吾は愛知県警東和署に赴任したばかりの新米刑事。赴任早々、主婦が路上で殴打される事件を担当、定年間際のベテラン刑事・伊勢崎彰一とコンビを組むことになる。

ファーストインプレッション

主婦・聡子がリストラされた弁当工場社長の証言から、日系ブラジル人・スギハラヒロキが容疑者として浮上する。通り魔的に市民を襲った事件に怒りを露わにする啓吾だが、「事件の表っ面ばかり見るな」と伊勢崎は釘をさす。

例によって予備知識なしで見始めたが、これ、面白いじゃないの。
2008年のドラマで、好評だったので続編も放映されたという。
実話をもとにしているらしいが、脚本家の名がなく、〈作〉として尾西兼一三上幸四郎の名があるだけだ。
尾西兼一といえば「太陽にほえろ!」で脚本デビューして以来、刑事物で地歩をかためてきた人である。
非常に手堅く計算された脚本で、これはケチのつけようがない。
市井の人々の生活に完全な“他者”として関わっていく刑事たちの、じっくりと腰をすえた描写は、NHKならではだが、これは一種のハードボイルドと言えよう。

森山未來の表情がとても良い。
微細な表情の動きで深い演技を披露する寺尾聰ももちろん良く、池脇千鶴もいい感じに光っている。

第2話

加藤啓吾は良介と警邏中、不審者を捕まえる。男は鵜飼公平と言い、啓吾の小学校時代の担任であった。鵜飼の挙動を怪しく感じた伊勢崎が調べると、1年前のタクシー運転手殺害現場に残されていた指紋の一つと彼の指紋が一致する。鵜飼は弁護士を通じて早期釈放を求め、副署長・桐島は拘留期限48時間内での処理を命じる。捜査の中で、意外な真相が浮かび上がる。

あれあれ、警官コスプレの出前持ちの話はどうなったのかな。放火犯と出前持ちは関係ないのだろう、おそらくはコスプレして見回りをしているうちに放火犯を発見したということなのだろうが、やや説明不足。あのくだりは不要だったような気が…(^-^;)

原田芳雄のとぼけた演技が懐かしい。
教師というのは昔の生徒をほんとに何十年たっても覚えているものなのだろうか。
森山未來の場合は、警察官の息子だし、その父親が殉職しているので、覚えていてもフシギはないけれども…。

孫娘を轢き逃げしたタクシー運転手を殺した原田に対して、寺尾聰は深々と頭を下げる。
たしかに、現実ではじゅうぶんありそうな警察の怠慢なのだが、タクシー運転手はすでに原田に殺されているので、欄干の車輌塗料だけでは、今さら轢き逃げを立証するのはたぶん不可能だろう。
寺尾は、そこまで考えて頭を下げたか。

一方、森山の父親の殉職シーンがインサートされた。目の前で起こったそのシーンを回想して寺尾が絶叫するシーンはなかなか出色もので、連ドラならではの緊迫感があった。

第3話

啓吾は瑞穂とともに覚醒剤の運び屋を張り込むことになる。対象の曽根真里子は平凡な毎日を送る専業主婦であったが、「平凡な人間などいない」と瑞穂にたしなめられる。一方、伊勢崎は啓吾が殉職したかつての同僚・加藤誠の息子と知り、戸惑っていた。伊勢崎には彼を救えなかったという大きな後悔があった。そんな中、啓吾は覚醒剤の受け渡し現場で真理子を取り逃がす大失態を犯す。

久しぶりに見る葉月里緒奈。スーパーで見かけたら絶対人目をひくにちがいない、相変わらずのいい女ぶりであるが、さすがに痩せぎす過ぎるのではなかろうか。

さて二つの事件が並行して描かれるが、互いに関係はなく、親子愛といったようなテーマでつなげようという趣向である。同じ狙いで、殉職した父親や母親に対する森山未来の思いや、それを聞いてジーンとする池脇千鶴などのシーンがある。

まず、忍成修吾担当の主婦殺人事件のサブストーリー。
この犯人は高校生の息子で、妻を殺したと自首した父親は息子を庇っていた。寺尾はわざとその父親の思いを引き出す取り調べをしてみせ、それを息子に見せて改悛の情を引き出す。父親の言葉に思わず罪を認めた息子だったが、そもそもこやつは自分が母親の喉をかき切ったにも関わらず、殺害現場に何食わぬ顔で現れて「何かあったんですか?」などと白々しい演技をしていたのだから、たとえそれが父親の指示だったとしても、たいしたタマであるには違いない。

メインは葉月里緒奈演じる主婦が覚醒剤の運び屋をやってるという事件。
音大出身で知的レベルも高そうな夫婦なのだが、葉月には万引き癖があった。という時点でちょっとずっこけるのだが、万引きを主婦仲間に見つかり、他言されたくないばかりに覚せい剤の運び屋をすることになったという。
音楽家になるとばかり思っていた夫が、こともあろうに実家の瓦屋を継ぐことになり、見知らぬ土地で生活を始めることになって知人もいない、
しかも夫の商売は必ずしも順調ではないのか、決算時期には苛々した夫がうるさいと怒鳴るので、とうとう好きなピアノを弾くのをやめてしまった…

上記のような事情が駆け足で語られるのだが、あまり納得できる感じではない。
ドラマとしては「張り込み」のリアルな描写と上記のサブストーリーに時間をとられ、突っ込み不足だったように思う。
サブストーリーのほうも上記のごとくちょっと浅いので、どうも二つの事件を並行して描くということ自体に無理があったような。
全4話だからしかたないのかもしれないが、演技も演出も良い感じなので、残念である。

「刑事の現場」を観るには?

「刑事の現場」作品情報

キャスト

■刑事の現場
伊勢崎 彰一(捜査一係係長) – 寺尾聰
加藤 啓吾(新人刑事) – 森山未來
野下 浩美(捜査二係係長) – 石倉三郎
瀬戸山 瑞穂(捜査二係刑事) – 池脇千鶴
古川 良介(啓吾と同期の刑事) – 忍成修吾
岸田 渉(捜査一係主任) – 浜田学
木島 昭太(鑑識係) – 三浦アキフミ
矢代 千夏 – 中山恵
真山 – 櫻木健一
●愛知県警本部の刑事
諸岡 – 小原雅人
安原 ‐ 佐久間哲
清水 ‐ あべかつのり
加藤 誠(啓吾の父) – 樋口浩二
加藤 節子(啓吾の母) – 御園生尊子
大島(駐在) – 苅谷俊介
守本 真二(鑑識係主任) – 宇崎竜童
桐島 奈津子(東和警察署副署長) – 真野響子
■リミット-刑事の現場2
加藤 啓吾(名古屋中央署へ転属) – 森山未來
梅木 拳(定年を控えた警部補) – 武田鉄矢
青井 茉莉亜(啓吾の婚約者) – 加藤あい
東野 恵一(刑事課長) – 杉本哲太
伊坂 聡(警部補) – 細田よしひこ
筒井 薫(庶務係) – 若村麻由美
太宰 満(課長代理) – 伊武雅刀

スタッフ

■刑事の現場
作:尾西兼一(1~2、4話)、三上幸四郎(3話)
演出:柳川強(1~2、4話)、土井祥平(3話)
警察考証:都竹則一
鑑識考証:田島幸和
■リミット-刑事の現場2
作:遊川和彦
演出:渡辺一貴松浦善之助(3~4話)
警察考証:都竹則一
鑑識考証:田島幸和

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