「グッドライフ〜ありがとう、パパ。さよなら〜」ってどんなドラマ?
あらすじ
新聞記者の澤本大地は、家庭を省みず、常に仕事を優先していたが、ある日突然、妻・華織が家を出て行ってしまう。残された息子・羽雲(わく)の面倒を1人で見る事になる中で、息子から自分に向けられた無償の愛を知り、父子の絆を深めていくが、息子が白血病であることが発覚する。そして羽雲の治療が開始され予断を許さぬ一進一退の治療が進む中、父子間の絆もより一層深まっていく。やがて、ようやく羽雲の治療にも光明が見え始めた頃、大地自身の身に本人も思いもよらなかったある事実が…。
ネタバレ各話感想
ァーストインプレッション
わっ君(羽雲なんてDQNネームを付けるから、いじめられるのだ)は、“片一方お化け”を異常におそれている(今気がついたが、このお化けの名は、ある差別語を注意深く回避している)。
靴下が右と左で違うというのだが、ドラマの発端は、靴下(パパとママ)が両方揃った状態にはもうならないというわっ君の悲劇である。
反町隆史の企業戦士ぶりは、あえていつも通りというか、家庭を顧みないくせに、帰ってきて昇進を自慢したりする子供っぽさが、“少年のような”、“仕事ができる男”ぶりとして描かれる皮肉である。
頭が悪くモゴモゴ喋る相手にイライラして「俺の時間を奪うな」とのたまう決め台詞、これが似合うのは反町ならではだと思う。
わっ君は、自分が生まれた日のことを覚えているという「仮面の告白」の語り手のような子供なのだが、それによれば、反町は駆けつけた産院の入口で、おろしたての靴を濡らしたことを気に病んでいた。
反町が“いつもの反町隆史”である以上、このエピソードは父親としての情の薄さを示すものではなく、“靴を濡らさないよう気をつけつつ、妻の出産にも駆けつけようとする、完璧な男”であることを表しているにすぎない。
わっ君は両親をとりなそうと嘘をつくのだが、これがまことにこまっしゃくれていて、思わず目を背けたくなる。
あきらかに井川遥のママに甘やかされて育ったとおぼしいが、ママが2年間も離婚を考え続けてきたなら、子供は必ず感化されているはずで、ここまでパパを棄てられない父親っ子になることはあり得ないように思われる。
とすると、井川遥は一人で家庭の苦労を背負い込んできたつもりでいるのだが、じつは、ずっと以前からわっ君に棄てられていたということにならないだろうか。
井川は7年前に反町と結婚して、その後1年してわっ君を出産した。
育児ノイローゼの悩みを打ち明けようと帰りを待っていると、一面トップのネタをとった夫がホクホクと帰ってきて、しかもそれがどうも育児ノイローゼで子供を殺した女に関係するネタらしく、無神経な夫は、さらに朝のニュースを録画しておけなどと命じるので、血が逆流するような思いをした、と井川は訴えるのだが、しかし、この母親は一度たりとも、自分の孤独を夫に打ち明けたことがなかったのではあるまいか。
結婚前(もしくは出産前)はキュレーターをしていて、学芸員資格ももっている女性だし、美人だから、自尊心もさぞ高かろう。
もう額を飾る場所がないからと社長賞にも嬉しそうな顔を見せず、40歳前でデスクに昇進しようという夫がいるのだから、暮らしは裕福であり、着々と準備を進めたのであろう別居宅には、さっそく大画面テレビも設置している。と書いてみて気づいたが、最大の違和感は、おそらくこのテレビである。
それでも母親か、と反町が詰ったとおり、井川遥もまた反町同様、ひどく身勝手な都会人なのである。
原作は韓国のベストセラー小説だが、女性の地位の高さを伺わせる。
CLSとやらの新人・榮倉奈々、わっ君の担任の渡辺邦斗、意地の悪そうなナースの永池南津子、の小児科医、井川をサポートする怪しい鹿賀丈史(これは愛人と見えて、じつはそうではないのだろう)など、まだまだ人間関係はこじれていきそうだが、かなり不愉快な展開が予想されるドラマなので、見続けるかどうかは迷うところだ。初話を観ただけでこんなにたくさん書けてしまうツッコミどころの多さは、ドラマウォッチャーとしては必見のドラマかもしれないのだが。。。
第4話
初回を見てドロップアウトを宣言したドラマであるが、実は毎回欠かさず見ていたwww ツッコミどころを期待していたのであるが、その後はたいしてめざましい進展はない。
マツゲ長すぎだろう、と嘆息してしまうわっ君の演技にもだんだん慣れてきてしまったし、それに初回以来はいい子なので、ますますツッコミどころは乏しく、数少ないチャンスであったわっくんしんぶんという秀逸なネタも、どうツッコめばいいのかわからぬまま、書くべき時期を逸したのである。
お話は本格的に泣かせモードに入ってきているということなのだが、相変わらず脚本は下手くそで、意味がわからない箇所も多い。家人は、今回のあめんぼうは死んだらどこへ行くのかなー、というくだりにイライラ爆発寸前だった。
たしかにあれはひどい、文化祭の映画並みである。
このドラマの見どころは、榮倉奈々とわっ君で、この二人が演じるCMが挟まっているのはなかなか良い企画である。「美しい隣人」でも似たようなCMをやっていたが、仲間由紀恵は劇中と落差がありすぎて楽しめなかった。
榮倉奈々の笑顔(死んだ太陽君のベッドを片づけている際に、こんなときでも笑っているのねとナースに嫌味を言われていた)には、わっ君ならずとも癒される。
来週はようやく井川遥参戦の模様…
直線的であらすじを書きやすいドラマである。
昨今のドラマの主流は、複数の事件が同時に進行しており、登場人物それぞれの行動が影響しあうようなものであるが、このドラマではわっ君と反町隆史の交流以外に目立った筋がない。
井川遥と、その傍らに立つ鹿賀丈史という登場人物がいるが、ほとんど交差しないし、どちらにせよ、わっ君を目指しているので、わっ君だけを追っていれば、筋を見失うことはないのだった。
わっ君の演技は回を重ねるごとに臭みが中和され、洗練の度を増している。子役の演技というと大粒の涙が感心されがちだが、今回、わっ君は涙を流さずに複雑な子供の気持ちを表現していたので、感心した。
前回も述べたように、このドラマの見どころはわっ君と榮倉奈々である。
こんな時でも笑っているのねとナースに皮肉られた榮倉の奇妙な表情だが、まさに同じ表情特性を持っている俳優がもう一人いることに思い当たった。どんな窮地に立たされても笑っているように見える、堺雅人その人である。榮倉奈々と堺雅人の表情はほとんど同じと言ってもよい。
井川遥は、当初、自分はわっ君に棄てられたのだと言っていたが、鹿賀丈史に正直になれと言われて、自分がわっ君を棄てたことをわっ君は許していない、ということをようやく認めた。
わっ君の面会を伊原剛志に断られた井川は、イヤそうに反町に会って頼み、「何言ってるんだ、お前は羽雲を棄てたんだろう」と言われる。
視聴者の溜飲が下がるシーンだが、反町もまた鹿賀と同じことを思っていたのだ。
もっとも、わっ君が本当に井川を許していないかどうかはわからない。わっ君は家族三人で暮らすことを「お願い」したかったのだが、どんな願いでも叶えてやると張りきっている反町の顔をつぶさぬように、その願いを封印してしまったと考えられる。
結果、お願いは以下のような当たりさわりのないものになってしまった。
- マカロニペンギンに会うこと
- えんそくのおやつを買いにいくこと
- おいしいおべんとうをたべること
- あおいちゃんとデートすること
あおいちゃんは、榮倉奈々とわっ君のCMでも、わっ君が描く似顔で登場していた。
第6話
原作ではわっ君が助かり、反町が死ぬということだったが、次週よりいよいよそういう展開にチェンジするようだ。
わっ君の白血病はいわば今週がヤマだったわけで、とうとう病室に井川遥を招き入れた反町の演技が自然に見える流れができていた。
他のドラマにくらべ、同時進行するエピソードが一切ないシンプルなストーリーで、見ているほうはあれこれ気をめぐらせる必要がなく、ラクである。
あらためて見ていると、毎日交換しているらしいわっ君のパジャマが可愛い。どうぶつ好きということで、どれもどうぶつ柄なのだが、どこで売っているのだろうと思うほど素敵なものである。
韓流にくわしくないので、チョン・ウソンという人を見るのは初めて。
登場シーンがひどくもったいぶっていたので、好きな人には有名なのだろう。
第7話
子供は助かり父親が死ぬという原作の話をどこかで読んでしまっていたため、驚きを味わえなかったのは残念である。もっとも、伏線も何もないわけだが…
転調を告げるのがチョン・ウソンであるのは、原作に対する礼儀ということなのか。
チョン・ウソンは、すでに死相が濃い反町隆史に、カシコギの話をする。カシコギとは原題であるが、トミヨ(富魚)という和名の淡水魚らしい。水質変化や渇水の影響を受けやすく、絶滅の危機に瀕していると言われる。オスは水草類を集めてピンポン玉状の巣を作り、メスを誘って産卵させる。オスは受精させたのち、食べ物も摂らずに卵を守り、巣の中に新鮮な水を送るなどの世話をする。オスはメスより短命であり、それはこの子育てが原因だという。
チョン・ウソンは、母親の愛には勝てない謂としてこの魚を語るのだが、不自然であり、反町がまもなく死ぬことを知っているとしか思えない。天才的な医師だから、顔色を見ただけで末期癌だと悟ったのであろう。もしかしたら、ホテルに半日張り込んで自分を動かした井川遥の気性から、その夫が精気を吸い取られたことを見抜いたのかもしれない。
会社を辞めた反町は、北見敏之に紹介されたエンタメ誌の編集部で原稿を書くことになったが、文章が硬くて、これでは使いものにならないと突き返されていた。それは取材が裏をとっていないと感じられたからだ、と反町は言い訳していたが、叙述する内容が不確かだと、なぜ硬い文章になってしまうのか。
おそらく文脈それ自体での断定ができず、個々の単語や文章単位での最小限の断定を積み重ね、文脈が意味する内容を注意深く推定していく作業をせねばならず、それも、誠意をもって取り組むならば、複数の推定を提示することになる。
あえて絞り込まないことがジャーナリストの倫理と言えようが、編集者が指摘するように、そんなしち面倒なエンタメ記事を読みたい読者はいないだろう。
このエピソードは、反町がジャーナリストだと示すだけでなく、メディアの特性や読者像などを斟酌する思考をもたないこと、つまり記者であり、編集者ではないこと、その記者としての優秀さに不均衡な不器用な人間であること、要するに、記者を辞した今、陸に打ち上げられた魚に等しいことを示している。
たとえ末期の膵臓癌でなかろうと、驚くほど生活力がない人間なのだ。
キャリアを棄てられなかった井川遥も、おそらく同タイプの人種と考えられる。
この夫婦が破綻した理由はそこにあるのではないだろうか。
「グッドライフ〜ありがとう、パパ。さよなら〜」を観るには?
「グッドライフ〜ありがとう、パパ。さよなら〜」作品情報
キャスト
澤本 大地(報道記者) – 反町隆史
澤本 羽雲(大地と華織の息子) – 加部亜門
天宮(澤本)華織(大地の元妻で羽雲の母親) – 井川遥
澤本大地の父親 – 松重豊
澤本大地の母親 – 大川真澄
■明青医科大学付属病院
紺野 七海(チャイルド・ライフ・スペシャリスト) – 榮倉奈々
円山 湊人(小児科医) – 伊原剛志
黒木 啓二(研修医) – 渡辺邦斗
李信基教授(小児白血病の権威) – チョン・ウソン
韓国医師 – ミン・ユンスク、チェイ・ヒュン
■小児科の看護師
足立 優香 – 永池南津子
井上 英子 – 田嶌友里香
皆川 美紀 – 福田敦子
蒲田 美代子 – 春山玲那
真山 雅 – 羽村純子
婦長 – 山野海
■小児病棟患者(保護者)
藤本 太陽(白血病) – 小山颯
はな – 石井心愛
東 まり – 毛利恋子
藤本 美紀(太陽の母親) – 奥貫薫
藤本 萌(太陽の姉) – ニイナ
父親 – 新垣直人
■上桜ヶ丘小学校
細川 良二(2年2組の担任) – 荒木宏文
瀬川 あおい(羽雲の同級生) – 畑芽育
山下 陸(いじめっ子) – 椙杜翔馬
川上 海(陸の仲間) – 本田海青
谷中 空(同) – 山田瑛瑠
関根 健太(羽雲の同級生) – 関戸咲介
■産和新聞社
奥田 真一(社会部部長) – 北見敏之
児島 賢哉(社会部記者) – 金井勇太
福島 貴之(同) – RIKIYA
谷(同) – 山本龍二
大地の本社上司 – 戸田昌宏
■その他” target=”_blank”>
雪村 慎平(東京美術大学の教授) – 鹿賀丈史
水島 洋子(華織の職場の後輩) – 小橋めぐみ
スタッフ
脚本:大島里美、大久保ともみ
演出:三宅喜重(関西テレビ)、白木啓一郎(関西テレビ)
音楽:住友紀人
選曲:石井和之
技術協力:ジェニック
美術協力:フジアール
照明協力:日本照明
音響効果:スポット
編集・MA:ブル
スタジオ:レモンスタジオ
制作協力:イメージフィールド(ラインプロデューサー:井之原尊)
チーフプロデューサー:笠置高弘(関西テレビ)
プロデューサー:木村淳(関西テレビ)
アソシエイトプロデューサー:安藤和久(関西テレビ)
制作著作:関西テレビ放送





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