グランド・イリュージョンってどんな映画?
一見すると華やかなマジシャン映画のようでありながら、観客の認知と錯覚を利用した犯罪劇。テーマは「信じるものが真実とは限らない」という哲学である。ステージ上で観客の目の前にいながら別都市の銀行から現金を奪い、客席にばらまく。その瞬間、観客も物語の共犯者になる。現代社会の情報錯覚やSNSの信頼構造を象徴しており(メディアの情報を信じ、SNSの噂を真実だと思い込む構造はマジックの原理と同じと映画は示唆している)、観客に「見えているもの」を疑うきっかけを与える。
あらすじ
4人のマジシャン、J・ダニエル・アトラス、メリット・マッキニー、ヘンリー・リーブス、ジャック・ワイルダーの元に謎のタロットカードが届く。1年後、資産家であるアーサー・トレスラーをパトロンとして、イリュージョニストグループ”フォー・ホースメン”として活動を始めた4人は、ラスベガスでのマジックショーでこれから銀行を襲うと宣言する。
ネタバレ感想
何者かに集められた4人のイリュージョニスト――天才マジシャン、脱出マジックの女王、神懸かり的なメンタリスト、カード使いのスリ師が、謎の組織の意思により、フォー・ホースメンとして一大イリュージョンを披露する。監督は実際のマジシャンに協力を依頼し、CGを最小限に抑えて撮影。手品のテクニックや照明効果、視線誘導などを徹底的に研究したという。
最初のステージは、ラスベガスの舞台から観客をパリの銀行へテレポートさせ、そこの金庫から大量の金をベガスの舞台へテレポートさせるという大技。FBI(マーク・ラファロ)とインターポール(メラニー・ロラン)が合同捜査に踏み切るが、尻尾をつかむことはできず、取り調べも翻弄されるばかりで、証拠不十分で釈放となる。
困った捜査当局は、マジシャンの種明かしを仕事にしているサディアス(モーガン・フリーマン)に捜査協力を依頼する。
第二幕のステージが始まり、フォー・ホースメンは再びあっと驚くショーを繰り広げるのだが……そこで予期せぬ事態が展開される。果たして、FBIは彼らを逮捕できるのか?彼らの真の目的とは?そして、彼らを集めた黒幕とは…??という展開である。
これは面白いはず、と思って観始めて、実際、途中までは面白く観ていたのだが……
本作では、謎の組織=秘密結社アイの正体が明かされない(続編「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」で、その歴史やメンバー等が明らかになるらしい)。ここからネタバレになるが、インターポールのメラニー・ロランはアイのメンバーである(その過去も続編で掘り下げられる)。奇跡の脱出劇に失敗して死んだマジシャン・シュライクの娘であり、企業や保険会社に復讐するためにマジシャンたちを操っていたことがわかる。さらにモーガン・フリーマンも復讐の対象であることがほのめかされ、本作で描かれた3つの公演の裏事情なども関係しているようなのだった(ということもネタバレサイトを見るとわかってしまう)。
ということで、本作はかなり宙吊りの状態で終わることになるのだ。
トリック解説
ラスベガスの第1公演
ランダムに選ばれた観客に「襲って欲しい銀行」を答えさせ、その銀行にテレポーテーションして現金を奪うイリュージョン。
- ランダムに選んだ観客に、英数字の書かれたボールを3つ引いてもらう。
- ボールに書かれた英数字と同じ座席番号の男に「襲ってほしい銀行」を聞く。
- 男は自分の名前と「パリの銀行名」を、会場に聞こえるように答える。
- 男をステージに上げて、テレポーテーションヘルメットを被せ、引かせたトランプにサインさせる。
- テレポーテーション装置が作動して男はステージから消える。
- 男はパリの銀行にテレポーテーションし、現金の山に「サインしたトランプとショーの半券」を落とすよう指示される。
- ヘルメットに設置されたエアーダクトのスイッチを押すと、現金がラスベガスへと移動される。
- パリの銀行に警官が駆けつけるが、男が落とした「サイン付きのトランプとショーの半券」が落ちているだけ。
- ラスベガスの舞台に、エアーダクトで巻き上げたパリ銀行の現金が降り注ぐ
種明かし
- 男を観客に選ばせるトリック
観客が選んだボールを男の座席番号になるようにすり替えていた。 - 男に「パリの銀行」を選ばせるトリック
尾行・観察によって男のクレジットカードを特定。「パリの銀行」の利用者だったので選ばれた。 - ラスベガスから3秒でパリの銀行へテレポーテーションさせるトリック
テレポーテーション装置の奈落にパリの銀行に似せて作った空間を用意。暗示によってパリにテレポーテーションしたと錯覚させた。 - パリの銀行から札束を略奪した方法
銀行を襲ったのではなく、現金輸送車に潜入・ドライバーには催眠術をかけ、パリの銀行に輸送されるはずだった札束を盗んだ。 - パリの銀行をもぬけの殻にした方法
フラッシュペーパーで作成した札束を銀行に輸送。ショー開催に合わせてフラッシュペーパーが燃え切るように細工した。 - パリの銀行に直筆サイン入りトランプを残すトリック
男が利用していたクレジットカードからサインを偽造、トランプにコピーし、偽札と一緒に輸送。フラッシュペーパーの偽札だけが燃えてトランプと半券だけが残った。
ニューオーリンズの第2公演
- 各自定番のマジックを披露し、観客12人に“動くな”の合図で「アメフト選手」になる集団催眠をかける。
- 休憩中に、観客に預金残高を紙に書かせ、封筒にしまうように指示。
- 観客に自分の名前を叫ばせ、イリュージョンの主役を選ぶ。
- 選んだ観客に預金残高を思い浮かべながら1~10を数えさせる。
- 預金残高を次々に当て、「この残高は正確ではない」と言う。
- 観客全員を立たせ、預金残高を書いた紙を入れた封筒を額に当てさせ、数字に集中させる。
- アーサー・トレスラー(マイケル・ケイン”)をステージに呼び、アーサーの預金残高を当てる。
- 観客に預金残高を書いた紙が入った封筒を懐中電灯で温めさせる。
- アーサーも紙を温めると、アーサーの預金残高がどんどん減っていく。
- 封筒を温め終えた観客に新しい残高を読ませると、アーサーの残高が減った分、観客の残高が増えている。
- 観客はランダムに選ばれたのではなく、「災害の被害者で保険金が未払いの人間」を意図的に選んだと公表する。
種明かし
- アーサーの預金を盗んだ方法
移動中の飛行機で心を読むマジックで遊ぶふりをして、「飼っていた猫の名前」等アーサーの銀行ログインのヒントを集めていた。 - 観客の銀行口座を把握する方法
不明 - アーサーの金を観客に送金した方法
- 紙に書かれた数字を増やした方法
不明
不明
ニューヨークの第3公演
- ファイブポインツ廃墟の壁にホースメンが映し出される
- 壁に映し出されたホースメンがマジックについて話を始める。
- 廃墟の屋上にスポットライトが当たり、ローズとアルマ以外の捜査官は屋上へ。
- 屋上に登場したのはマネキン、フォー・ホースメンのミスディレクションだった。
- 別の廃墟にスポットライトが当たり、屋上にホースメンが登場。今夜でショーは終わりと観客に伝える。
- 廃墟の屋上を走っているところをローズに銃で撃たれる。
- 撃たれたホースメンは大量の札束になり、空に大金がばら撒かれる。
- 同時刻、サディアスが車の鍵を開けると大量の札束が車内から溢れ出し、5人目のフォー・ホースメンとして逮捕される。
種明かし
なし。
グランド・イリュージョンを観るには?
グランド・イリュージョン 作品情報
キャスト
J・ダニエル・アトラス(リーダー) – ジェシー・アイゼンバーグ
メリット・マッキニー(メンタリスト) – ウディ・ハレルソン
ヘンリー・リーブス(マジシャン) – アイラ・フィッシャー
ジャック・ワイルダー(マジシャン) – デイヴ・フランコ
アーサー・トレスラー(パトロン) – マイケル・ケイン
■捜査官
ディラン・ローズ(FBI特別捜査官) – マーク・ラファロ
アルマ・ドレイ(ICPO捜査官) – メラニー・ロラン
フラー(ローズの同僚) – マイケル・ケリー
エバンス(ローズの上司) – コモン
コーワン(ローズのライバル) – デヴィッド・ウォーショフスキー
■その他
サディアス・ブラッドリー(老マジシャン) – モーガン・フリーマン
ハーミア(ブラッドリーのアシスタント) – ジェシカ・リンジー
ライオネル・シュライク(事故死したマジシャン) – イライアス・コティーズ
エチエンヌ・フォーシエ(フランス人観光客) – ジョゼ・ガルシア
ジャスミン・トレスラー(トレスラーの妻) – カトリーナ・バルフ
コナン・オブライエン – 本人
スタッフその他
脚本 – エド・ソロモン、ボアズ・イェーキン、エドワード・リコート
原案 – ボアズ・イェーキン、エドワード・リコート
製作 – アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー、ボビー・コーエン
製作総指揮 – ボアズ・イェーキン、マイケル・シェイファー、スタン・ヴロドコウスキー
音楽 – ブライアン・タイラー
撮影 – ラリー・フォン、ミッチェル・アムンゼン
編集 – ロバート・レイトン、ヴァンサン・タベロン
製作会社 – サミット・エンターテインメント、K/Oペーパー・プロダクツ
配給 – アメリカ: ライオンズゲート、日本: KADOKAWA
公開 – アメリカ: 2013年5月30日、日本: 2013年10月25日
上映時間 – 116分(劇場公開版)、125分(エクステンデッド・エディション)



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