女の勲章(2017年)の感想
1961年の山崎豊子の原作は過去に映画化1回、ドラマ化2回で4度目の映像化となる。 「あさが来た」で叩き込まれた船場言葉が活きた玉木宏が見どころとなっているが、
京マチ子 →月丘夢路 →三田佳子 →松嶋菜々子
若尾文子 →吉村真理 →宇津宮雅代 →ミムラ
叶順子 →伊吹友木子 →山口いずみ →相武紗季
中村玉緒 →環三千世 →沢田雅美 →木南晴夏
田宮二郎 →夏目俊二 →片岡孝夫 →玉木宏
森雅之 →? →仲谷昇 →長塚京三
というキャストの変遷を見るに、大枠は大映版(監督は吉村公三郎)の田宮二郎から外していないことがわかる。ミムラより気を惹く木南晴夏は、沢田雅美の線かと思うと、親子のように似ていると思わされる。
問題は松嶋菜々子で、美しくはあるのだが、「新時代の女になるため」という説明が入って一貫して標準語を貫いているのは原作通りなのかどうか。
クライマックスでバーの止まり木で一人ほくそ笑む玉木の暗い描写が妙に良かったが、演出も脚本(浅野妙子)もいまひとつだった。
女の勲章(2017年)の見どころ
戦後の大阪を舞台に、ファッション業界で頂点を目指す女性の愛憎と野望を描いた人間ドラマ。
- 松嶋菜々子の熱演と、主人公・大庭式子の波乱の人生
松嶋菜々子演じる主人公・大庭式子は、戦後、全てを失いながらもミシン一つで洋裁学校を立ち上げ、やがてファッション業界のトップへと駆け上がっていく女性。彼女の力強くも、時には孤独で切ない人生である。成功への執念、男性たちとの関係、そして女性たちの嫉妬や裏切りに翻弄されながらも、自らの道を切り開いていく姿が圧巻。 - 山崎豊子原作の重厚なストーリー
山崎豊子作品ならではの、骨太で人間ドラマ。登場人物たちの複雑な心理、欲望、嫉妬や愛憎が渦巻く人間関係が描かれ、見応えがある。女性の社会進出や自立というテーマも掘り下げられる。 - 豪華な共演者たちと、彼らが織りなす愛憎劇
玉木宏演じる八代銀四郎は、式子を支えながらも次第に彼女を翻弄していくキーパーソン。危険な存在感が深みを与える。さらに、ミムラ、相武紗季、木南晴夏演じる式子の弟子たちとの間の、女性同士の複雑な感情や確執も見どころ。駿河太郎、江波杏子、小澤征悦、浅野ゆう子、長塚京三など実力派の豪華キャスト陣が脇を固める。 - 華やかなファッション業界と時代背景
戦後復興期の大阪を舞台に、ファッションが人々にもたらす希望や夢、そしてその裏に潜む欲望。ドラマのために特別に作られたオーダーメイドの衣装を含め、当時のファッションを再現した華やかな衣装の数々も見どころ。約60点にも及ぶ松嶋さんの衣装にも注目。当時の人々の情熱やエネルギーが伝わってくる力強い時代描写が魅力的。 - スリリングでドロドロとした展開
登場人物たちは様々な策略を巡らせる。嫉妬、裏切り、愛憎が絡み合い、常に先の読めないスリリングな展開。一見華やかな世界とは裏腹の人間の欲望の深さを描いた「ドロドロ」とした部分も魅力の一つ。
女の勲章(2017年)のあらすじ
式子(松嶋菜々子)は、ファッションショーの成功や映画『デザイナー物語』の衣装デザインを手がけ、東京の十大デザイナーにも選ばれるなど、デザイナーとして注目を集めていたが、銀四郎(玉木宏)と関係を持つ女弟子たちへの嫉妬心から心身ともに疲弊していた。そんな中、白石教授(長塚京三)と再会し、彼の言葉に影響を受け、デザイナーとしての原点に立ち戻るため、パリへ留学したいと決意する。銀四郎は当初反対するが、式子が世界的なデザイナー、ジャン・ランベール氏に会い、日本人にも着こなせるデザインの型紙を求めて行きたいという話に納得し、パリ行きを許可。しかしパリでの契約交渉の席で、式子の前に邪魔が入る。疲れ切った式子の心を癒やしてくれたのは白石だった。銀四郎や女弟子たちの思惑が絡む中、式子を待ち受ける運命は不透明なままである。
女の勲章(2017年) キャスト
八代銀四郎 – 玉木宏
津川倫子 – ミムラ
坪田かつ美 – 相武紗季
大木富枝 – 木南晴夏
野本敬太 – 駿河太郎
キヨ – 江波杏子
曾根英生 – 小澤征悦
安田兼子 – 浅野ゆう子
白石庸介 – 長塚京三
伊藤正之、ハリー杉山、迫田孝也、黒田こらん、村上かず、林紗久羅 ほか
ナレーション – 加賀美幸子
女の勲章(2017年) スタッフ
演出:西浦正記
音楽:得田真裕
主題歌:薬師丸ひろ子「追憶」(『Cinema Songs』)[6]
衣装デザイン:中井英一朗
帽子デザイン:石田欧子
ペンダントデザイン:森下まゆり
技術協力:ビデオスタッフ、共同テレビジョン、ブル
美術協力:京映アーツ
照明協力:嵯峨映画
制作管理:インナップ
スタジオ:緑山スタジオ・シティ、東映東京撮影所
ロケ協力:光明寺 (鎌倉市)、川口市立グリーンセンター、明治村、ワープステーション江戸、埼玉県立深谷商業高等学校、東京女子大学 ほか
企画協力:新潮社、山崎定樹、野上孝子
フランスロケ制作:アベイユ・フィルム
プロデュース:太田大、中山ケイ子(FCC)
制作協力:FCC
制作著作:フジテレビ