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ハケンの品格(2007・2020)

吉谷彩子(ハケンの品格) 2020年のドラマ
吉谷彩子(ハケンの品格)
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『ハケンの品格』は、2007年1月10日~3月14日に日本テレビ系「水曜ドラマ」枠で放送。13年ぶりに続編(第2シリーズ)が2020年6月17日~8月5日に同枠で放送。主演は篠原涼子。
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『ハケンの品格』(2007)ってどんなドラマ?

篠原涼子(ハケンの品格、2007)

篠原涼子(ハケンの品格、2007)

働くことは、生きること——。
あらゆる資格と技能を持つ無敵の『スーパー派遣』が、不条理な会社組織を突っ切る痛快お仕事エンターテインメント!

中園ミホの脚本、篠原涼子の主演で社会現象を巻き起こした平成を代表するお仕事ドラマの傑作。
時給3,000円で雇われた特異な派遣社員・大前春子(篠原涼子)が、老舗食品会社「S&F」を舞台に数々の困難やトラブルを規格外のスキルで撃破していく。正社員と派遣社員の壁、格差や労働問題を軽やかに笑い飛ばしながら、人間としての誇りと働く意味を突きつける名作。

あらすじ

老舗食品会社「S&F」の営業部へ、1人の派遣社員がやってくる。彼女の名は大前春子(篠原涼子)。愛想笑いは一切せず、定時で必ず帰宅し、契約延長はしない主義を貫く「スーパー派遣」であった。
春子はクレーン車の運転からマグロの解体、助産師の資格まで、超人的な技能と資格を保有しており、社内で巻き起こる様々なトラブルを圧巻の腕前で即座に解決してみせる。
新米派遣社員の森美雪(加藤あい)や、優しいが頼りない派遣主任の里中賢介(小泉孝太郎)は春子の背中に救われていくが、派遣を露骨に見下す熱血正社員・東海林武(大泉洋)とは衝突が絶えない。
一見冷酷に見える春子だったが、仕事に対して一切の妥協を許さないその姿勢は、社内の人間関係や古い体質の組織を少しずつ変えていく——。

主なキャスト

感想

ファーストインプレッション(2010年の再放送を見て)

ドラマというのは水モノだから、時流が色濃いことによってヒットしたりすると、後で見たときになんだこりゃ、となることがある。
このドラマも、放映されたのはたかが3年前にもかかわらず、ハケンという生き方の輝かしさみたいなものはすっかり失われてしまった。
というか、そんなものははじめから捏造されたファンタジーであって、たんに化けの皮が剥がれただけに過ぎない。
時給3000円で自分の仕事だけを手早く片付け、残業を拒否して帰るスーパーハケン。
3か月働き、次の3か月は好きなことをして過ごすハケン人生。
3年前だってそんなものを信じる人が本当にいたのか、今となっては疑わしい。

しかしながら、ドラマを普通に見るかぎり、篠原涼子演じる大前春子の存在が荒唐無稽なだけで、中園ミホの脚本は、基本的にハケンの地位に同情的である。

普通(以下)の能力しかない加藤あいの年収は81万円。
一方、ハケン差別論者である大泉洋の年収は625万円、板谷由夏も520万円。
ハケンにシンパシーを感じ始める小泉孝太郎も年収580万円。

大前春子も、派遣社員における「品格」なるものも、そういった現実を忘れるためのファンタジーに過ぎないのだ。

この3年で何が変わったかといえば、見る側が、超有能であるにもかかわらず、無表情で人を人とも思わない大前春子の姿に溜飲を下げることができなくなり、不快なイメージしか感じられなくなったという点であろう。
これが文字通り捏造された対立であることに人は気づくべきだろう。
問題は、松方弘樹演じる「桐島部長」の年収が、なんと1600万円ということなのだ。

これは篠原涼子を視聴率女王に押し上げたドラマでもある。
視聴率は最低が初回の18.2%、最高は最終回の26.0%と、昨今のドラマでは比べようもない数字である。
当時ドラマなんて全然興味がなく、今頃になってドラマばかりみているわたしは、つくづくズレていると思うww

板谷由夏と安田顕が出ているので、つい「ホタルノヒカリ」を思い出してしまった。
あのドラマで、安田顕の役名が「二ツ木」だったのは、このドラマの役名「一ツ木」をもじっていたのだろうか?

第2話|権力闘争の構図

どうもドラマの意図としては正社員とハケンの権力闘争の構図にしたいようで、闘争の現場というのは、ま、こーゆーしょうもないコトばかりなのかも。
ヤキソバパンを買いに行かせるって、中学のパシリかよwww

リーマンショック前とはいえ、部長が年収1600万もらっている会社に、ステップラー付きのコピー機がないのもおかしいのだが、社員もハケンも総出でホチキス勝負って、どんだけヒマな営業部なんだ。
戻ってきた部長も、「大前さん負けちゃったの?」とか言う前に、何やってるんだ!と全員を叱責すべきだと思う。
で、コーヒーサーバーを壊したとかいうのも、総務部というものがあるはずで、いくら、ちょっと叩いたからと言ってハケンが(社員でも)弁償させられる会社なんてない。
最後は、壊したのはオレだよなんて松方弘樹が白状して、年収が高いから大丈夫的な終わり方をしていたけど、あんなものは会社の経費でしょう。

で、ホチキス勝負だが、途中、大泉洋の山のほうに黄色い紙がひらひらしていたのはナニ?
関係ないなら紛らわしい演出をするない!と言いたい。
なんて細かいところにツッコんでもしかたないのだが、2回目になっても、相変わらず登場人物の誰にも感情移入できないドラマなのであった。
超然としている篠原涼子もイヤな感じなのだが、板谷由夏の演じる社員など、実にイヤな感じで、ベースの演技が「ホタルノヒカリ」と同じなので、そーゆーヒトなのねとか思ってしまう。

第3話|大前春子は両津勘吉である

これが、このドラマで有名な「マグロ解体をする篠原涼子」ですか。
あれは資格があるらしく、検定試験をしているのは、全国鮪解体師協会という社団。
なんだ、そんな協会があるなら、解体師を探すのにあんなに苦労しないのでは?
と思ったら、設立は2009年(ドラマの2年後)でした。
専門学校などもあり、1級を目指せば口上も教えてくれる。
この社団のせいで、2007年時点での解体師という職業がどういうものなのか、わかりづらくなっているのだが、ツネさんとはハケン仲間、という一言が途中にある。
なるほどあれはハケンなのね。

ハルちゃんがなぜ解体をできるのかというとツネさんの弟子だったかららしいのだが、よく考えてみると、大前春子のスーパーハケンぶりは、
こち亀の両さんと同じである。両さんも特殊車両とか2種の免許までもってるし、マグロの解体ぐらいできそうな気がする。

ひとりでご飯を食べられない加藤あいは、江古田ちゃん言うところの猛禽であろう。
ハケン仲間のおしゃれ派閥に入るとそこは合コン専門で…
世代が変わり、今ではハケンも色々だから、大前春子みたいな人も珍しくないだろう。

最後は誰も期待していない、とってつけたような唐突なキスシーンで、
ドラマのお約束とはいえ、この後どう展開するのか急に読めなくなった。

第4話|外国語交渉の現場

春子のロシア語は

ватит!(もうたくさん!)
Кто жадничает?(ケチなのは誰!?)
Мы или вы?(私たち? それともあんたたち?)
Тогда вы сами закупайте у прои зводителя!(嫌ならアンタら、自分で生産者から買えよ)
Не издевайтесь над японцами!(日本人ナメンじゃねーよ)
Купите или нет?(買うの買わないの!?)
Купите,да?(買いなさいよ)
Согласны?(同意します?)
Хорошо.(はいOK)

と、いうことらしい。出典はこちら。
外国語で交渉、で身構えるS&F社の面々だが、実際の現場ってこんなもの。

爽快な場面であるが、さすがの大前春子も翌日は38.9°Cの発熱。
大泉洋に連れだされて厳寒の屋外で話したせいだが、その大泉も風邪、しかも有休。
ハケンの身になってみないと有休というものの有り難さはわからないだろう。
もっとも、最近の正社員は有休を使えないそうだが(ちょっと前までは、無能な社員ほど有休を使えない、だったが)。

新入社員研修で、社員は家族だという部長の講話に感動したという東海林、「一緒に働くって一緒に生きてくってことだろう?」と春子にのたまうのだが、これはどうも響かない様子。
強引に渡された携帯電話の番号(クルクルパーマのケータイとメモが)も、ゴミ箱にポイッであった。

第5話|カイシャにヒューマニズムはない

毎日居眠りで時間をつぶしている嘱託社員・小松政夫に対して、前半、篠原涼子の評価は厳しい。
大泉洋と小泉孝太郎は、いつものごとく、お前には人間としての情がないのかと正社員の論理をふりかざす。
後半、篠原涼子は考えを変え、小松政夫は会社に残すように働きかける。しかしそれは決して同情によるものではないだろう。

後腐れなく恰好よく会社を去るのはハケンの専売特許、社員は社員らしく、会社にしがみついていてください。

これが、ラスト、自分から契約の更新を辞退することを決意した小松政夫に、篠原涼子がかける言葉だが、この台詞には、日本型のカイシャにおける、ハケンと正社員それぞれの本質が言い当てられている。
今となっては、どちらにとっても不幸であることには違いないわけで、救いのない、ユーウツなドラマであると言える。

ま、しかし、限りなく戦力ゼロに近いくせにそれなりの年収の嘱託社員は、やっぱり早めにカットしたほうがいいやねー。
その追いたて役になるのは、ハケンではなく、社員である。

第6話|大前春子がだんだん人間に

いきなり大前春子の地震予知から話が始まる。ここまでいくとエスパーであるww

どうも、口では一切情を否定しながら、次第に人間関係の暖かさに馴れていく、というのが、ここ何回かのパターンのようである。
あまつさえ、この回で篠原涼子は、マーケティング課の皆が書いたバースデーカードに思わず涙してしまう。

板谷由夏は大泉洋に気がある設定かな。
小泉孝太郎の芝居は、この夏見ていた「崖っぷちのエリー」とまったくおなじである。
この人、3年以上もまったく成長していないのね。。。(^_^;)

第7話|ボスキャラ松方弘樹

しょっぱなは、名刺整理のためと称して、部長と大前春子が名刺でカルタに興じている営業部の風景である。どんだけヒマな会社なんだか。
だがこれはクライマックスの伏線となっていて、大前春子はつねにわざと負けるのである。
ハケンにはメンツも名誉も関係なく、勝負にこだわる理由がない。一方、社員はメンツがすべてなのである。
と書くと江戸時代の武士みたいだけどね。

さて、ドラマはいよいよ佳境へ。
まずは、社内外を問わずと書かれた社内コンペにハケンは参加できるのか、という他愛ない問題から。
大前の能力を見抜き、尊重もしていて、酸いも甘いも噛み分けるキャラとしての松方弘樹がハケンの敵になる、という展開は、さながらボスキャラといったところか。社風に合わないという理由で打ち切という理由で加藤あいの契約を打ち切る、というやり口は最強で、安田顕の一ツ木すら憤慨するほどのものである。
大前春子が剣道で松方弘樹を圧倒するというクライマックスは、唐突で白ける。

それにしても、小泉孝太郎が敵役とヒロインの剣道対決にハラハラする、という構図は、ついこの夏の「崖っぷちのエリー」でも、あった。
あれはわざとだったのかな…

大滝秀二はS&Fの会長か何かかね?

第8回|組織の論理の前にはハケンも社員もない

さて前回の続き。

剣道で負けた桐島部長は、森美雪の契約打ち切りは撤回したものの、自分に逆らい、森を庇った里中主任を営業部に置いておくわけにはいかないと考える。
これは完全に組織の論理であり、ここにいたって、対立軸の両端からは、ハケンでも正社員も消えている(むしろハケンのほうが、こうした環境には対応しやすいと言える)。
組織の前には有能無能も関係ないのであり、大事なのは「話がわかるかどうか」だ(桐島は里中を「言葉が通じない」と断じ、こいつに翻訳してやってくれ」と東海林に言う)。
小笠原を嘱託社員として飼っていられるのも、こうした論理の中にあるからである。

大前春子が冒頭で車の故障になすすべもないのは、この話の中で、もはや出る活躍する場面を失っていることを表す。仕方なく鯖を釣ったりしているのだが、蛇足な感じは否めない。
ついに部長を裏切ってケツをまくってしまう東海林は、どんなに楽天的な展開でも救うことはできないだろう。
契約が切れたハケンは、次の仕事を探すだけだが、組織の論理から外れた社員は、陸にあがった魚も同様である。

第9回| ラストに向けてダレ場。。。

松方弘樹のセリフ「飼い犬に手を噛まれた…」は、東映ヤクザ映画の松方ならではのものである。
小さい男と見せて、さりげない演出であった。

ここまで来るとクライマックスの頂点に当たるので、あとはほとんどブレがない。予定通りの感じである。
もはや大前春子の思わぬ能力がお話の原動力ではないから、登場する資格も犬訓練士と地味で、どちらかというとキャラを壊す方向に。
加藤あいの声まねをしながら大泉洋の電話をとるくだりなど、ミョーに可愛げのあるシーンが増えてきた。
ここへきて、なんで石田ひかりやら那須田透が出て来るのかな。あっ、ゲストか。

ちょっと最終回前のダレ場か、2話で1話分くらいの密度である。

最終話|そして新たなステージへ

最初に「再編集したものです」と出るのは、初回放送では拡大版だったのだろう。
初回と最終回を15分とか30分拡大するコトがいつから始まったのか知らないが、初回はともかく、最終回はヒドイ水増しになっていることが多いから、やめたほうがよろしい。

さて、もうハケンはこりごり…と、契約延長を自ら蹴ってしまった加藤あいが最後にすがったのが「紹介予定派遣」。
派遣期間終了後、派遣先に職業紹介することを予定している労働者派遣である。
一般的には、派遣社員として6か月以内働き、会社と合意すれば、直接雇用されるというものである。
もっとも、直接雇用とは必ずしも正社員を意味するわけではなく、アルバイトや契約社員という短期の非正規雇用でも構わない(2009年の調査では正社員56%、契約社員43%、アルバイト1%)。
派遣会社へのマージンを節約するために直接雇用の契約社員に切り替える会社も多い。
同じく2009年の調査によれば、成約率は70%だが、成約しない場合にNGを出している70%はハケン側だという。

ドラマのラストで、大前春子もまた、もはやハケンではなく、ショージ君が所長をしているS&F運輸名古屋営業所(S&Fの子会社)で、契約社員として働くことになる。
つまり、ドラマ「ハケンの品格」は、最終的にハケンの未来を展望することなく、このようにハケンという身分からひき離すことによって終わる。

正社員の成果主義導入については、異論もあり、運用も実際には難しいのだが、当たり前のようだが、契約社員やアルバイトの能力評価に異論を唱える人はいない。つまり「正社員は守られている」。
この最終回では、非正規雇用Vs.正規雇用という次のステージが示されている。
派遣村が話題になった頃、今こそ「ハケンの品格2」を制作するべきという声があがっていたが、たしかに、その後が気になると言えなくもない。

興味深いのは、本作で放送文化基金賞・橋田壽賀子賞などを獲った脚本家・中園ミホが、今季、「黄金の豚」ではなく、ほぼ同じ路線の「ナサケの女」のほうで仕事をしていることである。
「黄金の豚」は篠原&大泉コンビを起用していて、篠原は相変わらず大泉の天パーをバカにしていたりする、本作を意識したつくりになっている。

色恋関係は一応出てくるものの、最小限に抑えられたドラマで、篠原涼子が大泉洋に気があるのかないのかというのは、アイマイに終わってしまった。小泉孝太郎も篠原涼子を好きだったり、加藤あいが小泉孝太郎を好きだったり、板谷由夏が大泉洋を好きだったり、というのもあったはずだが、そのへんは全部なかったことに。

最後に、大前春子の所持資格は以下の通り。

普通自動車第一種免許
大型自動車第一種免許(ゴールド免許)
大型自動二輪免許
車両系建設機械運転者
スペイン語会話
ロシア語会話
犬訓練士
初生雛鑑別師
看護師
助産師
あん摩マッサージ指圧師
剣道四段
調理師
ふぐ調理師
食品衛生管理者
昇降機検査資格者
危険物取扱者
核燃料取扱主任者
理容師
アロマテラピー
スカイダイビング
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