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フラッシュフォワード

3.0
竹内結子(フラッシュフォワード) ドラマ
竹内結子(フラッシュフォワード)

この回の邦題は「不完全な真実」となっているが、原題は「真実をくれ」というのを歌詞ふう(?)に記した「Gimme Some Truth」で、グッゲンハイムともアル・ゴアともまるで関係ない。
ディミトリたちはカラオケバーで「Like a Rolling Stones」を歌っていたが、これはこの40年間、アメリカ人が最も好み続けてきた曲である(「Gimme Some Truth」というフレーズはない)。
その後起こる地下駐車場の銃撃戦で、ディランのでもストーンズのでもなく、ディミトリたち自身のカラオケヴォーカルをBGMとして据える感覚は、日本人には、とても共感できないものなのではないかと思う。

同じように、ゲイでない者にとって、ジャニスとマヤの関係もわからない。
ジュードーの試合で出会ったこの二人は、互いが同好の士であることを一瞥で見抜くのだが、ベルクソンの言う“堅い林檎という真実”をキャッチしあうような、繊細で傷つきやすいものとして、レズビアンの関係性を小説に描いたドナルド・バーセルミの泣ける短編を思い起こさせる。

それにしても、モザイク掲示板というのはfacebookを思わせる。
アメリカではネットでは、やはり実名が基本らしいのだ。

第6話

ジャニスはオリヴィアの手術で一命をとりとめる。襲撃犯の遺体に「青い手」の印があったことから、ディミトリはある家で手を青く塗った「イアン・ラザフォード」の死体を発見。ディランは退院したら引っ越すと言われ、怒って病院を飛び出してベンフォード家へ。息子を迎えに来たロイドとマークが対面、オリヴィアも帰って来て最悪の事態に。ロイドはやっと状況を理解し、マークは「二度とこの家に来るな」と追い返す。マークはついに未来で飲酒していたことを告白し、夫婦の仲は最悪に。一方、ジャニスの容体が急変し、オリヴィアの頑張りで子宮摘出にはいたらなかったが、もう妊娠は無理と告げられる。ロイドの元に一緒に何かの研究をしていたらしいサイモンが突然現れる。ロイドは「我々の実験で2千万人が死んだ」とつぶやく。

サイモン・キャンポスという学者が登場し、ロサンジェルスに向かう夜行列車の中で金髪美女をナンパして、「二重スリット実験って知ってるかい?」と声をかけると、「穴がふたつなんでしょう、試したことあるわ」と女が答える。
サイモンは続けてシュレーディンガーの猫の話などをしているので、量子物理学的な実験によってフラッシュフォワードが引き起こされたらしい、ということがわかってきた。

前回は「Like a Rolling Stones」のカラオケが銃撃戦に重ねられるという異様なシーンがあったが、今回は、ハロウィーンの晩にジョセフ・ファインズが怪しい男たちを追跡するBGMとしてデヴィッド・ボウイの「Scary Monsters」が選ばれている。全然マッチしないと思うのだが、どういう意味なのだろうか。

ディミトリたちは、ジョセフ・ファインズが見たビジョンで壁に貼られていたメモから、手が青く塗られたイアン・ラザフォードの死体を発見するのだが、前回でクレメンテ議員が指摘したように、このような捜査手法は恣意的にすぎる。
ヴィジョンで見た映像からその証拠を集めるという手法にはパラドックスがあり、おそらく、オリヴィアがロイド・シムコーと恋に落ちる(?)ことになるのも、そもそもヴィジョンを見たことが原因であるのは間違いない。
シュレーディンガーがパラドックスと呼んだのは、量子力学における確率解釈の異常な結論のことなのだが、このドラマは、箱の中の猫のように、生きていると同時に死んでいるという重なりの中に生きる人々の人生を描いているようだ。

第7話

イアン・ラザフォードたちの自殺死体発見に、アル・ゴフのヴィジョンにも登場したMI6のフィオナ・バンクスもイギリスから駆けつける。ブルーハンドはヴィジョンを見なかった人々のクラブだった。自棄になる人々の姿に、自分はそうはなりなくないディミトリは婚約者ゾーイに真実を告げる。ゾーイは希望を捨てず信じればいいと言う。アル・ゴフは、セリアという女性を事故で死なせるヴィジョンを見ていた。思い悩んだアルは未来を変えるため、セリア宛の手紙を残して飛び降り自殺。一方、アーロンは、トレイシーの遺品であるナイフを受け取る。アーロンのヴィジョンでは彼はそれをトレイシーに渡していたが、それを届けたマイクはトレイシーはたしかに死んだと言う。しかしアーロンが帰宅するとそこには死んだはずのトレイシーがいた。

ヴィジョンを見なかった人が集う「alreadyghosts.com」ドメインは実在しているのだが、アクセスするとabc.go.comにリダイレクトしてしまうww このドメインに対して、生ける亡霊.comという字幕が出るが、捨て鉢になっているニュアンスはいまいち伝わっていないんじゃないかなあ。
ヴィジョンを見なかったという事実にこだわるディミトリと、恋人ゾーイは、結婚式の招待状印刷の打合せのために待ち合わせをする。
おぼえにくい名前のカップルはうまくいくのよ、とゾーイは言うのだが、たしかにDemetori NohとZoey Andataというのは、フツーの英語名前ではないのだろう。ディミトリはコリア系なのだろうが、ゾーイというのはどこ系なのだろうと思って調べてみた。女性名エヴァのギリシア語形ゾーエーに由来するものらしく、「生命」を表すことから動物園(zoo)の語源でもあるらしい。
サリンジャーの小説に出てくるなつかしいグラース家の五男、フラニーの兄も同じゾーイー(Zooey)である。

さて、ビジョンの中でMI6のフィオナ・バンクスと打合せをしていたアル・ゴフは、ルールを変えるんだと言って連邦捜査局ビルの屋上から飛び降りて自殺してしまった。奇跡のようなことが起こって死なないのかと思ったが、アルはあっさりと死んだ。
このようなことがこれまで実験されなかったのは不自然なのだが、ともあれ、ビジョンの未来は変更することができるということが証明されてしまった。
これ、あとで説明がつくんだろうな。

ダウンタウンのブルーハンドへ潜入するアルとディミトリ、マークだが、上司に内緒の捜査ということなのか、オフの服装で待ち合わせる。
セーター姿のアル・ゴフ、革ジャンで決めているディミトリ、そしてマークは「FBIのくせにポリスTシャツかよ!」とからかわれていた。
こういう余計なところがおかしいドラマである。

第8話

人々は「未来は変えられる」と思うようになり、マークもオリヴィアとの関係を修復してやり直そうとする。イングリッドという女性がある殺人事件を目撃。彼女が携帯で撮影した映像には、マークがヴィジョンで見た犯人と同じタトゥーが写っていた。マークは命を狙われているイングリッドをオトリに犯人を誘い出し、男を射殺。家に帰ったマークはオリヴィアに「4月29日に現れる敵を殺した。未来は変わる。」と告げる。アーロンの家に、死んだはずのトレイシーが戻ってきた。戦場で傭兵部隊「ジェリコ」が村人を虐殺するのを目撃した彼女は、口封じされるのを恐れて逃げている。ジェリコは軍と契約しており、軍も信用できない。ロイドは「ブラックアウトを引き起こしたのは我々」と公表しようとするが、サイモンがそれを止めに来る。2人はポーカーで勝負を決める。ロイドの決意は固く、イカサマの手を使ってまで勝利を得る。映像解析の結果、「容疑者ゼロ」の手に指輪があることが判明。そしてイングリッドが目撃した殺人犯の一味が、その指輪とおぼしきものを運んでいた。

ロイド・シムコーとサイモンのポーカーシーンが延々と入るが、あまり意味がない。
どうも、わざわざB級に仕上げようとしているようなドラマである。
ソマリアの件などちっとも捜査が進展しないのはどういうことか。

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