ネット裏の沖医師に動揺して途中降板した飛雄馬。美奈の危篤を知り診療所へ激走するもすでに遅く、美奈は帰らぬ人に。飛雄馬は絶望のあまり血だるまとなって夜の山を転げ落ちる。
しかし沖先生の態度は冷たかった。
「君は感傷的になっているだけだ。そんなことで務まるような職場じゃないんだよ・・・」
「わかっています、力仕事には自信があります!」
バカ!と先生は一喝し、
「それだけ元気があるなら、なぜ野球をしない!」←ナイスなツッコミ

だが飛雄馬は、「だめです、それは・・・」
「日高君が聞いたら泣くぞ! 大リーグボールが投げられるようになってから来たまえ!」

だ、大リーグボール・・・!
「やっと生きる道を見つけたと思ったのに・・・」
すごすご去っていく飛雄馬だった。
案じた沖先生は、翌朝旅館に行ってみたが、今朝早くお発ちになりましたと聞いて逆に安心する。
しかし多摩川グラウンドには飛雄馬の姿はなかった。

一人でサインの練習をしている伴
このとき、飛雄馬が宮崎から姿を消してからすでに1週間以上がたっていた。
明子への電話を盗み聞きした記者がつぶやく。
「記事にすれば、星君が読むかもしれませんよ・・・」


記事に驚く沖先生「見損なった、わかってくれたと思ったのに!」
記者に囲まれた川上「(クビも)ありうるかもしれません」
伴「わしは信じているぞ、決して軽はずみな真似はするなよ!」

お前は一体どこにいるんじゃい!
海岸などで聞き込みを続けていた沖先生は、「タズネアルクモサガシアタラズ」と伴に電報を打つ。

球団首脳部の緊急会議で川上が突き上げをくらう
「探さない、補強しない、もちろんクビにもしない・・・これじゃ堂々めぐりだ」
「困りますねえ、監督がこれじゃあ」
「現実にどうするんです、このままペナントレースに入るんですか?」
「それはやむをえんでしょうな」
針のむしろの川上はようやく口を開いて、
「私は星に期待しているんです。あることに真剣に打ち込む男は、勝負にも強いはずです(キリッ)」
(球団フロントが「ペナントレースどうすんの!?」と大焦りする中、完全ノーガードで待ち続ける川上のメンタルの太さ、さすが打撃の神様・・・)

そしてようやく、沖先生が美奈の墓前で飛雄馬を発見した。

がっかりしたなあ、君には!

「ダメなんです、力が抜けて・・・」
「当たり前だよ、こんなところにウロウロしていたら!」
「なにかここで、野球に代わる新しい生きがいでも見つけて・・・」

ばかーっ!
「許してください、死ねばよかったんです」
「死ね! 今からでも遅くはないよ」
先生は冷たく言い放つ。
「だが、この宮崎で死んでもらっては困る――多摩川で、死ね!」

た、多摩川で・・・
――こうしてついに飛行機に乗った飛雄馬であった・・・
「さよなら、美奈さん・・・・」
そして多摩川グラウンドに姿を現わしたユニフォーム姿の飛雄馬。
伴は喜ぶが、「俺は死にに帰ってきたんだ・・・」
そして川上に頭を下げると「帰ってくればそれでいい」と川上は短く答える。
「せめて給料を下げてください」と飛雄馬は食い下がるが、
「それは球団が決めることだ」と言って、監督はくるりと背を向けた。
飛雄馬に手を振りほどかれた伴が「どこへ行く、星!」と叫ぶと、
「外野だ・・・球拾いをするんだ・・・」
追いかけようとする伴を川上は「あれでいいんだよ」押しとどめる。
「生まれ変わるには、時間がかかるのだ・・・」

(ちゃんと飛行機に乗って帰ってきて、きっちりユニフォームに着替え、律儀に川上監督に挨拶してから外野の球拾いに向かう飛雄馬。根が真面目すぎて涙ぐましい。)
飛雄馬の救済を願う明子や伴を、一徹は「敷居をまたぐな」と冷酷に突き放す。実はすでに中日のコーチに就任し、アメリカで暴れるオズマを日本へ呼び寄せていた一徹は、当の飛雄馬が球拾いに馴染んで腑抜けているのをよそに、長屋の暗闇で木刀を抜き、実の息子を打倒する狂気の死闘を開始する。(第105話|オズマの執念)



ご感想、ご意見をお待ちしています